4 紅い剣と蒼い爪
「ここか?」
「たぶん・・・」
アクロ達の目の前には、怪しい雰囲気の店が一つ。
ここは路地裏を行ったり来たりした末にたどり着いた店。
「入ってみるか」「うっ、うん・・・」
アクロはビクビクしながら、シェンのシャツの裾をつまんだ。
「なんだよ、怖いのかよ」
「こっ、怖い分けないだろぉ、ぜんっぜん平気だよ。」
アクロはぶるぶると震えながら言った、声が裏返っている。
「はっ、しゃぁねぇなぁ、シッカリ掴まっとけよ」
シェンは前髪をかき上げながら、アクロの手を取った。
アクロは手を振り払おうとしたが、力が強く離せなかった。
「放せ」と言おうとしたがシェンがずんずんと言ってしまうため、言えなかった。
「すみませ~ん!」
シェンが、店の人を呼び出そうと、声を張り上げた。
「くっくっくっく、そんなに大声を出さなくても聞こえてるよォ、お譲ちゃんとお坊ちゃん」
と、仄暗い店の奥から、語尾が高くなるような声が聞こえてきた。
ぬっと目の前に現れたのは、紫色の髪を背中に下ろした、喪服の様な服装の男。
「くっくっくっく、来るのも分かってたしィ、来たのも分かってたァ、待ってたよォ」
言うと、男は厭らしい(いや)笑みを浮かべた。
「あの、ここ、ナイフを売ってるって聞いたんですけど・・・」
アクロはビクビクと震えながら男に聞いた。
「くっくっ、あァァァ、誰に聞いたんだいィ?まぁいいやァ、ちゃんと、君のためにとって置いたんだよォ?」
と言いながら男は、店の奥に行き、少しして戻って来た。
「くっくっ、これこれェ、《血染ノ剣》ってやつらしいんだァ、くっくっくっく。」
男は細長い箱をアクロに差し出した。
「んでェ、これがァ、君のだよォ・・・何て言うかなァ、えっとォ《青い爪》?」
「ネーミングセンスがひでぇよ!!」
シェンは叫んだ。
「嘘だよォ、《聖海ノ爪》だよォ?」
男はうざったくシェンに言った。
「あ、あの、これいくらですか?」
アクロはたじたじと聞いた。
「くっくっくっく、あげるよぉ、君たちのために取っておいたんだァ、勝手に持って行きなァ、後ォ、これもあげるよォ」
男は、深紅のフワフワとした服を、アクロに手渡した。
「これは?」
「あとあと必要になると思うからねェ、それもあげるよォ」
言うが早いか、男は店の奥にまた戻ってしまった。
「・・・・・・帰るか。」
「・・・・・・うん。」
アクロ達はその場を立ち去った。
つっづくぅ~ww