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スクライディ  作者: 柊里
3/11

ヒカリ

雲一つ無いよく晴れた日。

久々にオレ達2班は全員揃って休暇がとれた。

こんなのはどれ位振りだっけ。

つっても、オレに日にち数えるって習慣は無いから分かんないけどさ。

とりあえずそんな訳で、三人でまったりしてた。

まぁ実際、けいはまったりっつーよりも、何考えてんだか分かんないし、かすみだって今は放心状態。

で、オレは1人寂しく次の仕事のシナリオを読んでたんだ。

そんな暗い雰囲気の部屋に、11班の真麻(まあさ)、No.2、(ゆめ)が来た。

…つーか、ドア蹴飛ばして(真麻)飛び込んで(夢)ドア立てた(No.2)ってとこだな。

「ねーねー、ゆう~!暇してるでしょー?お話しよー♪」

常時ハイテンション女、夢が部屋に入ってくるなり、ハートマークをぶっ放して言った。……もとい叫んでオレに飛び付いてきた。さて、今日は何秒持つか?

「それでねー、夢達、三人に聞きたいことあんの~!聞いていい??」

バカ丸出しでマシンガンのように言葉を吐き出す夢。

「実はね~一日の時間の中でどれが一番好きかってゆうことでねー」

聞いていい??とか言ったくせに、そのまま一人で喋りたおす。

「ちょっと、雄!!聞いてんの!?」

「聞いてるよ。ってか、んな馬鹿げた事聞くためにここまで来たのか?」

「うん♪答え……」

お、来たなフリーズ。

今日はいつもより早めか。仕事してきた後なんだろうな。

「雄、そろそろだと思うよ」

フリーズした夢を、無関係を装って(意味ねぇし)見ていた真麻が、焦った素振りも見せず微笑んで現状を述べる。

「いや、もう手遅れだよ」

No.2が呟いた途端に、部屋の空気が一変した。

どんな風にかってのはそちらの想像にお任せするよ。

ヒントだけ言っとくと、夢は二重人格者だ。

そして裏の夢…ユーカと言うらしいが、その子は……無言で部屋を荒しまくる。


 どしゃ

  どすベキッ  

 ドン がらっしゃー


がごつっ!!!


…………しばしの沈黙、そして

「あっれぇ? ちょっと眠ってる間に、部屋がボロボロ!! まったくぅ~」

「はいはい、お前の部屋じゃないからいーだろ」


まぁ、こうやってオレ達の部屋はボロボロになっていく訳だ。

真麻とN0.2は腹黒いから、自分たちの部屋じゃ絶対裏を出させない。

というか、裏が出てきそうだと思ったら必ずここにくるんだ。

でも、いい加減止めさせねぇと……部屋崩れるし。

え? じゃあ、ここでも裏を出させなきゃいいじゃんって?

それがさ、しないと話が進まねぇんだよ。

裏は表にも影響があるらしくて、裏が出た後の夢は若干静かになる。

その若干の差で、会話が成り立つか成り立たないかが決まるって訳さ。

無駄知識はこの辺にして、会話を続けようか。

「で?一日で一番好きな時間?」

「そーなの!答えてっ♪」

一番好きな時間、ね。

「真夜中」

「え~?No.2と同じでいいの、慧ちゃん?」

「夢。それってどういう意味?」

いや、怖ぇぞNo.2。目が据わってるし。

ホント夢は怖いもの知らずだな。

「真麻は?」

「んー、私は朝かなぁ。何か新しいことが始まりそうな感じ」

「そう」

慧が話すのは相変わらず短いし。

単語の会話してて楽しいのか?謎だ。

「でさ!雄はいつなの!?」

なんでオレに振るかね、コイツは。

……あぁ、他のヤツはあんま反応返さないから、か。

なんせいつも相手してやってる霞が無反応だからな。

ったく、仕方ねぇか。

「夕方が、好きだったよ。だけど、今は一番キライだ。」

だって、夕方は終わりだろう?

昔は一番好きだった。

尤も『好き』っていう感情なんて、最近になって名前をつけただけだけど。

好きだとか嫌いだとか、そんな事考えるのも馬鹿らしいと思っていた時もあった。

でも、オレはそれを克服したから。

今は今。昔は昔。

そう割り切れなくて悩んでいる仲間を、オレは沢山知ってるけどさ。

だけど、オレはオレだから。

苦しんで、諦めて、でも諦められなくて、割り切って、そして最後には希望を持ちな。

オレはそうやって、日の光を見れたんだから。


なぁ、慧。過去は過去なんだって、そう思えよ。

「今は、昼が好きだな」

なぁ、霞。これが運命なんだって、簡単に諦めるなよ。

「太陽の光に照らされてると、全部が上手くいきそうな気がするだろ?」

昔のオレだったら、きっと鼻で笑ってた。

全てが上手くいくなんて事ありえねぇ、って。

でも、今は違うから。

大体んな事思ってたら、こんな仕事やっていけないしな。


今日は、雲一つ無いよく晴れた日。

久々に昔のことを思い出した。

「ま、昼が雄らしいよね」

「あはは。でも全部って楽天的すぎでしょ」

No.2や真麻のからかいも、気遣いだって分かってる。

スクライディでは、過去の話は禁句だから。

「まーな。実は昔のオレは妖怪マニアだったんだよ。だから夕方が好きだったんだけどさ」

でもこの程度だったらいいだろ?

こうやってヒントを出す位、仲間として当然だしな。

「本当に、昔は馬鹿なガキだったよ」

それは、今だからこそ言えるセリフ。

絶えず冷笑を浮かべていた頃のオレからは、考えられないセリフ。


スクライディの主要キャラは、あと一人で出そろいます。

今回のヒカリは前2話と違って前向きな感じで。

私の力量じゃギャグにはできませんでしたが…それぐらいの軽い気持ちで書きました。

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