07 チュートリアルまおうぐんだもん。って頭の中の幼女ネムに言わせちゃう。
僧侶一家族襲撃イベントはマノンの村から見て王都の反対側になる。移動に時間が必要なので、テキパキ準備を整えて向かう必要があるかな。
タイミングの調整は王都でやってもいいし。
このイベントを終わらせれば、マノン16歳時の暗殺覚醒イベントまでは特に何もないはず。しかも暗殺イベは僕が起こすヤツだから、2人で旅でもしてたらスルー出来るんじゃないかな。
今後の予定を考えながら、ダンジョンの魔物専用ルートに入る。
エレベーターが使えるんだよね。好きな階層へ自由に移動可能なので、できるだけ長く利用させてもらいたいところ。
半月ほど稼ぎ用ダンジョンに入り浸って、装備の更新や偽装用アイテムの素材を集めた。
マノンパーティメンバー候補の僧侶は、子爵家のお嬢だ。
もし助ける時に見つかっても、子爵家からの要請を拒否できるような物が必要になる。僕はこっそりお助けするつもりではあるけど、悪魔系のチームが襲ってたはずだからなあ。
ハデハデな戦闘になりそうな予感はある。
なので宰相直属の暗部に成りすます感じにしようかと。任務の途中なので、護衛は無理ですみたいに誤魔化して逃げる予定。それなら子爵家からの要請でもNOと言えるはず。
宰相は確か侯爵家。その紋章の入った短剣でも作っちゃえば、どうにかなりそうだなって。ゲームの知識が役立ってるよ。
念のために風の精霊に調べて来てもらうつもりだけど。
この子爵家お嬢はマノンに依存するタイプのキャラだった。
絶対に合わせてはいけないと僕は考えてる。
だから今回はマノンを連れて行かずに、1人で処理することにした。
ゲームだったらテキパキフラグ回収なのに、現実だとフラグ回避なのが笑えてきた。マノンに転生してたら、もっと楽だったかもなーとか思う。
でもそれだと二次創作的なアレコレは、魔王軍側と出来なそう。
死亡フラグがチラついても、ネムに転生したのは良いことかもしれないな。楽しくなるであろう未来を、ニヤニヤしながら考えちゃう自分がいる。
ポーカーフェイス、いい仕事しています。
◆
「レッサーデーモンとガーゴイル?」
現場に到着すると新事実が発覚。
ウチの魔王サマの軍には、いないタイプだった。
他の魔王軍が暗躍してる設定?
だって魔王軍絶対殺すマンになった、この子爵家のお嬢はウチの魔王軍に攻撃を仕掛けるマノンの所に入る設定だし。
追加DLC用の設定とかなんだろうか。魔王軍プレイしたい人用とか?
開発秘話とかキャラのフレーバーテキストを、全部知ってるわけじゃないからなあ。でも追加DLCの情報はなかったはず。この現実になったラストレガリアの世界で、運営に弄ばれると命の危険が……。
「そうだとしても頑張るしかないのが現状かあ」
木の精霊は敵の捕獲。
風の精霊と水の精霊は敵内部からの処理が手っ取り早いかな。
敵は飛んでるしさ。
僕は囮になって攪乱しよう。
「GO!」
魔力もたっぷり与えて、できるだけ速やかに始末していこう。子爵家一行に流れ弾が行くと面倒だしね。
少し離れた場所で発見できたのはラッキーだった。
しかし結局は派手な音を出すことになった。
これはどうしようもないかな。
だって敵が使うんだもの。
爆炎と爆発の魔法。
「デ、デーモン!?」
「何が起きているのだッ?」
「怯むな! エンチャントウェポンッ!!」
子爵家の護衛には申し訳ないんだけど、僕の獲物です。
捕まえてるのも僕だし、ナギとハパも仕込み終わったし。
「もう終わりますので手出し無用にお願いします」
2人の精霊が中で膨張したら、討伐完了だ。
つまり子爵のところに連れて行かれるわけで。
言い訳を用意しておいて良かったな。
ただ、この悪魔のチーム。
チームというかガーゴイル。
ガーゴイルを使う魔王軍は、あとで出てくる魔王の兵なんだよな。
ウチの魔王サマが、マノンにやられたあとの敵。
PvEルートに出てくる、孤島の魔王軍の兵だ。
なので今の人間たちには、どうしようもないくらいの敵だったりする。
ウチの魔王軍……チュートリアルまおうぐんだもん。
って頭の中の幼女ネムに言わせちゃう。
まあ、そんな魔王軍だから言わないほうが良いかもしれないな。王国軍も強化されないと犠牲が出るだけだし。
「こ、これは……閣下の……ッ?」
「申し訳ございません。任務の途中でありますれば」
「そうか、そうだな。詮無いことを言った。励まれよ」
「はは。失礼いたします」
シュバッと去るよ。
護衛なんて断るよ。
贋作の短剣を用意しておいて良かった。
早くマノンとのんびりしたいから、テキパキ行動を心掛けてた。直近のフラグは回避したから、これで1年位はマノンの修行に付き合えるかな。
二刀流のマノン、楽しみだし。
僕個人としては剣と盾装備だったんだけど、二刀流はカッコいいのでゲーム実況をよく見てた。
雷と聖の属性をエンチャントしたムーブは、カッコ良すぎだからね。
「マノンには、ぜひ習得して欲しい」
ゴブリン兵団をいくつか潰して行けばマノンの成長に繋がるだろう。
そんな思いと行動が裏目に出たのか。
想定外の事態が起こってしまった。
マノンの修行を始めて4年。
彼女が15歳の時。
勇者の存在が魔王軍に知られる。
勇者と魔王は対の存在。
修業したせいで、勇者としての格が上がったのか?
僕に暗殺の指令が出されることはなく、ゴブリンキング率いる兵団に村の殲滅指令が出されていた。
シナリオが変わってしまったようだ。
急いで村に向かわなくては。
ただ、焦って出るのは疑問を持たれる可能性があるか?
勇者は僕の獲物、と誤魔化してから出撃したほうが良いかもしれないな。




