正夢
その夜、俺は夢を見た。
季節は冬だった。近所の桜並木の道で、俺は少し離れたところにいる蓮池と向かい合って立っていた。冬なので桜の木には花も葉もついておらず、淋しげな雰囲気だった。
夢の中では、俺は蓮池が何処か遠くに行ってしまうという話を友達づてに聞いて、その件で蓮池を問い詰めているところだった。
「蓮池、お前は一体どこに行ってしまうんだ!!」
俺が聞くと、蓮池が答えた。
「詳しいことは言えない。でも私は、遠くにいかなければならないの。」
俺の目には、涙が溢れてきた。
「どうして言ってくれなかったんだ!!」
俺が聞くと、蓮池は
「ごめんなさい!!」
といって、背を向けて走り去ってしまった。
「蓮池~!!」
俺は、泣きながら叫んだ。
擦ると、景色が切り替わった。暗い天井が見えた。夢だったのか。でも、ここは…
そうか、今は修学旅行中だった。
その後、俺は着替えて朝食会場に向かった。俺は無意識に、蓮池の姿を探した。しかし…見つからない。
俺は、嫌な予感がした。冷静に考えれば、蓮池は体調不良で部屋で休んでいるだけかもしれない。しかし俺は、蓮池が夢で見た通り何処か遠くに行ってしまった気がしてならなかった。根拠はない。しかし、蓮池がこの建物の中にいるとは、何故か思えなかったのだ。