病に願掛け
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
運命的な出会いをしました。
春と言われて私が真っ先に浮かぶのは、花粉である。如何せん花粉症故にこの時期は地獄である。鼻は詰まるし、喉は痛めるし、寝れないし。……最悪である。
そして今、花粉症から来たのか、旗またまた何処かで拾ったのか、体調が悪い。くしゃみ、鼻詰まり、喉の痛み。節々の痛み、若干の倦怠感。これらが一斉に私の身を襲っている。
そんな時に偶然にも、とある社を見つけた。
ビルの隙間の細道を抜けると、こじんまりとした空間。そこに何処か現代的で愛らしい境内がちょこんと乗っている。どうやらひな祭りの催しを行っている様で、木の葉を飾る様に桃色の短冊がぶら下がっている。
御祭神は、ただの一柱を覗いて存じ上げる方々だった。これも何かの縁だろう。という事で、参拝を行う事にした。
――三狐神様、……そして見知らぬ一柱様。今はお眠りと存じます。ですがとりあえず挨拶だけ失礼を致します。
そうして帰りの電車に乗り込んでいると従姉妹から電報が届いた。話によると、明日遠くの神社へ行く予定だから、君も来るようにとの事だった。
風邪を拗らせかけているが、私も行って大丈夫かと聞いたところ、尚のこと来るように。と帰ってきた。……まぁ、クラス全員が流行り病で倒れる最中、元気に登校かますような輩である。今のは一種の通過儀礼である。そして私はじっとしていると病態が悪化する質である。相互関係は成り立っている。
今回訪れる社は、機会があれば何度か訪れる場所。縁結び、縁切り、健康長寿の御利益で有名な場所だった。私の身が身なので思い浮かぶのは、天狗様こと耐冬花様とはったい粉の関係。何でも耐冬花様が撒くはったい粉に触れると、一年無病息災で過ごせるとかなんとか。
いや、本当、とりあえず麦焦がし貰おう。そして食べられるだけ食べて好きなことしよう。
笹の葉が揺れる赤い鳥居を潜ると、ひとひらの羽が落ちてきた真上を見上げていると、軽快な音を立てて、此処の御祭神が舞い降りる。
「やぁ、また病気したみたいだね。でも大丈夫。すぐに治るよ。俺がいるからね。はったい粉はちゃんと食べるように」
そう仰って、ニコニコ笑っていらっしゃる。
昔からそうだ。私が体を壊すと、巡り巡らせて落雁をお与えになる。何処で私の体調を推し量っているのかは疑問だが、まぁ放浪癖のある方だし、何処かで拾ったのだろう。
私が軽く会釈すると、また翼を広げて遠くへと飛び立たれる。
参拝を終わらせて、近くの喫茶ではったい粉を頬張っていると、昨日の話を思い出した。
「風邪拗らせたらさぁ、たまたま近くに神社見掛けたんだよ」
はったい粉食べたから大丈夫。病院やってないから、貴方だけが頼りなんだ。そう思いながら、昨日も願掛けしたことを思い出す。
「へぇ、なんて言う神社」
私は端末を操作して、昨日訪れた神社の公式サイトを開く。画像に出る真昼の眩しさと、夜に見る微睡みはまた違った印象を齎す。夜の方が、可愛い気がする。雪洞の橙とか。
そう思っていると、従姉妹は嬉しそうに目を見開いた。
「御祭神は……三狐神様と○○様か……。縁があるね。○○様、耐冬花様の奥さんだよ」
花粉症なのか、風邪なのか分からないのですが、今回は『病』をテーマにしたかったので、『風邪』と定義しました。
初めて訪れる神社では御祭神一通り見てから参拝するのですが、何故かこの時、お名前をボッコり忘れてしまいました。
『えーっと、三狐神様と、○○様と、見知らぬ方』
んでもって、出た後に再度確認したら知ってる方でした。
……間違えた理由は漢字しか見てなくて、読み仮名をろくすっぽ読まなかったからです。……申し訳御座いません。
この小説での仮名は『耐冬花様』ですが、そのモデルとなった方の奥さんです。
史実はファンキー過ぎるので、あえて口を噤みます。
その繋がりか、突発的に遠出することになりました。
はったい粉食べます。