悪魔の黒・後 【フレリア】
暴力的な描写があります。ご注意ください。
「どうしたんだい?フレリア?今日は調子が悪いのかな?」
目の前の男はニヤニヤしながら私の手を握る。だらしなく太った風貌からは想像もつかない程しっかりと固定された手は微動だにせず、私の背に嫌な汗が流れる。
「タ…タギー様。いつも手加減なさってたの?」
歯を食いしばって腕を倒そうとしても、男の腕は一つも動かない。
「いやいや、そんな事無いよ。いつも"他の事"に夢中でね、そっちを考えると腕に集中出来なかっただけさ」
「他の…事?」
喋りながらでも男の腕が一つも動く様子がなく、私は力の差を痛感する。
「あぁ、今日は遂にそれが成就しそうでねぇ…フレリア。私の腕もパンパンに力が入るよ。…おっと!」
そう言った瞬間、男は腕相撲していた方とは反対の腕で私の左の手首を掴んだ。そしてそのまま自身のズボンの前に私の手を当てる。
「!!!何を?!やめて!」
意味が分からず、思わず大きな声が出る。
「おっとすまないね。つい焦ってしまった。しかしフレリア…」
私は彼に掴まれた両手を振り解こうと必死に力を入れる。しかしどちらの手も振り解く事が出来ず、そうしている間に荒い息遣いで男は私の耳元に口を寄せる。
「フレリア、君はまるで子ウサギのように…弱い」
そう言うと男は私の両腕を頭の上にまとめあげた。相手は片手で私を押さえつけているだけのはずなのに、驚いた私が両腕を解こうと動かしてもびくともしない。
私はそこでようやく言い知れぬ恐怖に襲われる。
「タギー様!!こ、降参ですわ!やっぱり力ではまだまだ敵いませんの…ね?」
震えを悟られぬように、わざと明るい口調で話すが、男の力は少しも弱まらない。そしてその不気味さが私の恐怖を大きく膨らませる。
「フレリア…君から誘っておいて試合放棄はいけないね。これはペナルティが一つだ」
あはは、と男は笑いながら私に拳を振り上げる。
ゴリ、という音と共に、顔に爆弾でも当たったかのような痛み。鼻から何かがツゥ…と流れて、顔の中心が心臓になったようにドクドクと痛みが脈打つ。
笑顔と男と鼻血。その全てがあまりにも非現実過ぎて、怖さも考えも追いつかない。
「おぉ!可愛らしいフレリア…!何という事だ!」
私の鼻から流れる液体を、男は私の顔に擦りつける。それは血生臭い匂いがして、私の心臓が早鐘を打つ。
「あぁフレリア…!君の美しい顔が汚れてしまった…!私が清めてやろう」
そう言って目の前の男はベロリと私の顔を舐める。
全身の毛穴が開いたような悪寒が走り、私は足をバタつかせる。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…!!
全身で拒絶反応を示す私に、男は一瞬眉を顰めて平手で私の頬を打つ。耳の奥がキンッと鳴って、痛みと恐怖で目眩がする。
その時に拘束されていた手は離されたけれど、私の体は動かない。
「…いい!その表情…いいよフレリア!何と無力で愚かな娘だ!」
男は自分の涎と私の血を口から流して笑いながら、両手で私の顔を鷲掴みにして再びべろべろと舐め始める。
相手の胸を両腕で押すけれど、肥えた体は微動だにせず、そのまま無遠慮に私のスカートをめくり上げた。
「いや…やめて…」
口の中に自分の血が流れ込んでくる。痛みと気持ち悪さと、これから起こる最悪な予感。すぐに逃げなければならないのに、腰が抜けて動けない。
「大丈夫だフレリア。最高の思い出にしてやろう」