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パステルカラーストーム プロローグ

新編開始です。よろしくお願いいたします。

 期末試験も終わり、十二月ももう終盤だ。しんと冷え込む晴れた日が続く中、朝練は日課として続いている。だいたい毎日アヤメが起こしにきてくれて、グラウンドに行くとナズナが居るという感じだ。最近はちょっとだけ体力がついてきた気がして楽しい。

 走り終えてから、息を整えるのにグラウンドを一周歩く。アヤメと二人、時々ナズナも含めて三人で、他愛もない会話をしながら過ごすこの時間が、私は気に入っている。


「来週からもう冬休みだね。二人はどうするの?」


 ナズナが軽快なステップを踏みながら聞いてくる。動的ストレッチって言うんだっけこういうの。なんだかかっこよく見えたので真似してみたことがあるが、サクラだとふしぎなおどりにしかならなかったので早々に止めた。


「私は…正月には一度帰ることになると思います」


 そう言うアヤメの表情はちょっと固い。ゲームでは優秀であるが故に家族とあまりうまくいっていない描写があったし、色々思うところがあるのだろう。


「そうなんだ。やっぱり実家に帰る人が多いよねえ。サクラも?」

「えーと、たぶん」


 どうしたらいいんだろうね?

 ナズナに聞かれて、改めて考えてみる。私の中のサクラの記憶は曖昧で、それもエクストラに関わるものが中心だ。ぶっちゃけ家族の記憶が無い。ゲームでは一人っ子で両親は健在、家族仲は良いと言う描写だったけど、実家がどこかすら分からないのだ。

 学校という閉じられた空間で過ごしているうちはよかったが、いざ冬休みとなるとどうしたものだろう。ゲームでは冬休み関係なくクリスマスイベントやら正月限定ガチャやらが出てきたが、年末年始関係なく活動が続くなんてブラック企業もびっくりだ。…いや私の職場は…。まあそんな話はいいとして。

 実家や両親の名前くらいは、調べれば分かると思う。最悪担任の先生に言って学籍簿か何か見せてもらえば確認できる。だがそれからどうする?全く知らない人の所に、家族として帰る?なんだかミステリーとかでありそうなシチュエーションだ。 そもそもここって日本なのか?昔の日本っぽい舞台設定ではあるけど、学校名はアカメデイア。正体不明のエクストラと戦う我等アクセプタント。学校から離れて実家までの間に何があるのか想像もつかない。


「ナズナ先輩はどうするんですか?」

「僕も一度は顔を出しに戻るつもり。まあ、1週間くらいはゆっくりしてくるかな」


 あまり深掘りされても困るので、質問で返してしまった。なんだかもやもやする。アヤメとナズナ、大切な人達にも言えない、私の秘密。

 こんなに気が乗らない冬休みは初めてだ。私の心とは裏腹に、澄み渡った冬空には雲一つなく、煉瓦造りの校舎は朝日に照らされ窓ガラスをきらきら輝かせていた。

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