真昼の流星群 9
1時間目の授業が終わる頃に、ざわっと肌が粟立つような感覚が走る。エクストラだ。アヤメと目が合うと、「気をつけて」と口が動いた。先生に断りを入れて教室を出る。
まだ授業中で人気のない廊下で杖を出し、変身する。戦装束になると、どこにエクストラがいるのかはっきり分かる。今度は第二グラウンドの向こう、山の方から来るみたいだ。カンナとマユミが先に向かっているのを感じる。校舎を出ると、私も第二グラウンドに向かって走った。
第二グラウンドにはもう他の3人が揃っていた。マユミがサクラに気付き、手を振ってくる。集まって何か相談しているようだが、どこか雰囲気がおかしい。
「サクラ。エクストラはどこにいると思う?」
近づくなりマユミに質問された。感じる気配はグラウンドの枯れ薄の向こう、今は枯れ枝となった森の方向だ。
「あっち、ですね」
指差すと、マユミは困ったように眉を下げた。カンナは頭の後ろで手を組み、ナズナはサクラが指差したのと同じ方角を見ている。
「やっぱりそうじゃん?あっちなのは間違いないし〜」
「うん…私も同じ、なんだけど…」
「何かあったんですか?」
事情が掴めずに質問すると、マユミが説明してくれた。
気配を感じると同時に、カンナが森の中に突っ込んでいった。マユミもそれを追い、ナズナが後から合流した。
森に入ると、エクストラの気配が濃くなる。いつもなら姿が見え始める頃なのに、何も見えない。ただ気配だけが強まっていく状況に危険を感じ、いったん見晴らしのいいフェンス側まで戻ってきたところだそうだ。
「いるのは間違いないんだけど、何も見当たらなくて。どうしようか話し合ってたの」
「簡単簡単。見つけるまで進めばいいんだって〜」
「それで囲まれたらどうするの。森の中じゃ私の弓も扱いにくいし」
「なんだか嫌な感じだよね。僕もあんまり進みすぎない方がいいと思う」
敵が見つからないなら見つけるまで進めばいいと言うカンナを、マユミとナズナで止めている所だったようだ。サクラとしてもカンナが突っ込みすぎれば確実にやられるので、いったん様子見に賛成である。
それにしても、索敵能力が高いマユミと野生の勘で敵を見つけ出すカンナでも発見できないのか。そんな敵って…。
「…マユミ先輩。エクストラの気配、近付いてきてませんか?」
「え?ええ。森から出てきているくらいに感じるんだけど、何も見えなくて」
改めて気配のする方を見る。サクラの目にも、揺れる枯れ薄の海しか見えない。今にも雨が降り出しそうな重苦しい空の下、緊張だけが高まっていく。
見えない敵。該当するイベントストーリーが一つあった。数あるイベントの中でワースト1。ぶっちぎり不人気で、同じパターンのイベントは二度と開催されなかったやつ。
私達は、イベントストーリー「真昼の流星群」の只中にいた。
ようやくタイトル回収です。




