十五夜ハロウィンパーティ 9
午後に入ってから、エクストラ単体の出現が2件。15時前に小規模な群れが出現したが、これはグラウンドに誘導するまでもなくカズラとアヤメの前衛が撃退した。今のところサクラは立っているだけである。
いったん落ち着いたようなので、また食堂に集合する。放課後にはおやつも提供されている。今日の生菓子はカスタードプリンと羊羹の2択だ。他に大きめのアーモンドとチョコチップのクッキーがある。私はカスタードプリンと紅茶を選び、アヤメは羊羹に緑茶。サカキはプリンで、カズラは…全部載せって選択肢もあるのか。お盆の上が賑やかだ。
午後の授業が終わったばかりで、食堂は閑散としている。洗い物の音が響く中、束の間のティータイムだ。少し固めのプリンがうれしい。砂糖少なめのちょっと渋い紅茶がよく合う。
「今までのパターンからいって、これから数が増えていくと思う。あんまり遅い時間まで続かなきゃいいんだけど」
カズラがプリンと羊羹をあっという間に飲み込みつつ話す。エクストラの出現パターンはゲームと同じく、だんだん強くなっていって最後にボス、という流れのようだ。次くらいからはサクラの出番もあるはず。
「なんだか出方が妙に単調な気もしますね。全部同じ所から出て、まっすぐ私達を目指しているような」
アヤメが羊羹を薄く切り分けながら応じる。確かに出現ポイントは同じ獣道で、私達が即応しているのもあるだろうが脇目も振らずに向かってきているようにも思える。
「まあ予測が立つのは助かるよ。突然パターンが変わる可能性もあるから油断はしないで」
「はい」
食堂の時計は3時半を指している。あと2時間もすれば日が暮れて、月が昇り始める。そこからが本番だ。
今のサクラの強さはどんなもんなんだろう。『百花乱舞』は何もしていなくても出撃メンバーに入っていれば経験値が加算されるシステムだ。各ステージの貢献度に応じてMVPボーナスがあったりするが、全く成長しないということはない。ゲームと違ってカード毎に強さが違うとかは無いだろうが、キャラに応じたレベルみたいなものはあるんじゃないかと踏んでいる。
考え込みながら紅茶をちびちび舐めていたら、横から手を握られた。見るとアヤメが優しく微笑んでいる。難しい顔をしていたのを不安がっていると思われたんだろうか。口の端を上げて笑みを返すと、満足そうにお茶を口にした。今日はなんだか彼氏ムーブ多いな。
「私は一度カンナ達の所に行ってくる。皆は寮に戻っててもいいけど、あんまり離れないようにして」
あれだけあったおやつを片付け、カズラが立ち上がる。この世界にはスマホはないので、連絡を取り合うのも大変だ。アクセプタント同士はある程度お互いの位置が分かるのでまだいいが、普通は約束していなければすれ違いになってしまう事も多い。
まだおやつを食べ終えていない私達は、そのまま食堂に残ることにした。ゆっくりプリンをつついていると、アヤメが切り分けた羊羹を一つ差し出してきたのでそのままいただく。甘めの漉し餡が美味しい。紅茶にも合う味だなあ。お返しにプリンを…と思ったが、ちょっと取り分けるのが難しい。さすがにぐずぐずになったのを食べさせるのは気が引ける。
それにしてもエクストラとの戦闘中なのに、こんなに呑気に過ごしていていいんだろうか。ピリピリしてればいいってもんでもないけど。




