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04 写実描写



アッシュフィールド家の令嬢、ウィリディシア様は第1王子ソルティード様の婚約者……将来の王妃様だ。

彼女は魔術師としても、薬学の研究者としても優秀で、学術学園卒業後も講師として残り、薬学を教えながら研究を続けている。

私はまだ学生であるが、ウィリディシア様の研究のお手伝いをしている。


ウィリディシア様はご自宅にも研究室を作り、休日でさえも熱心に研究に勤しんでいる。

ご自宅での研究は趣味の一環とおっしゃっているが、助手としてそんなウィリディシア様を放ってはおけない。



「マチルダ様、今日も素敵です」

「貴女たちの腕が良いからよ……リザ、ドナ」


瞳とお揃いの茜色のリボンにドレス。

片目が金色の不気味な娘の私でも、彼女たちの手にかかればそれなりに見えるから不思議だ。


「本当は真っ先にユスティート様にお見せしたいのですよ、私たちは」

「お嬢様、ダメですよ。そんなにアッシュフィールド家に通い詰めてはユスティート様が嫉妬してしまいます」

「アッシュフィールド家にはシルヴェスター様やスピルス様がいらっしゃいますからね」


スピルスという言葉に、身体が跳ねた。

あの夢の後、彼に会うのは正直怖い。

けれど怯えた表情を浮かべてしまっては、リザとドナが心配してしまうだろう。

私は精一杯の笑顔を浮かべた。



自室を出て玄関に向かう途中、私に向かって謎の物体が飛び掛かってきた。

寸でのところで、一人の少年がそれを阻止する。


「ありがとう、アルビオン」

「いや、今のはこっちが悪い……というか、コイツが悪い」


真っ白な短髪にルビーのような真っ赤な瞳を持つ1つ年下の少年が、捕縛したスライムをつねっていた。

私に飛び掛かってきたスライムは、お構いなしに少年の肩の上でピョンピョン跳ねている。

……スライムをつねってお仕置きになるのだろうか?


「アンタの婚約者」

「……?」

「ユスティート王子、昨日ティアニー家にいた。明後日までティアニー家に泊まるらしい」


顔を出せということなのだろうか?


「ありがとう、教えてくれて」

「……いや」


アルビオンは無愛想だが、優しい少年だ。

彼は、ピンコット家の者ではない。

かつて滅ぼされたアリスティア王国の生き残りだ。


私の両親が運営する学園には、国外の者でも入学ができる。

国外の生徒の為の寮もしっかり完備している。

アルビオンは、騎士学校入学の為にラスティル王国へ来た。

それだけなら、特に珍しいことではない。

問題は、真っ白な短髪にルビーのような真っ赤な瞳という彼の容姿だ。


ラスティル王国には……いえ、この世界には、こんな伝説がある。






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