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05 輪廻転生



【ティアニー家/マチルダ・ピンコット】


「そうか……ナイジェルとアデルは、もう……」


陛下は頭を抱えている。

私も母を思うと胸が痛い。


「ナイジェルとアデル、そしてマドリーンが俺とスヴェン、ディアドラを逃がしてくれた。だが、ディアドラは城に残った。そしてフィニスが転移術式を使って城へ応援に向かった」

「父上が俺の固有魔法『領域』を魔改造して作ったアレですね」

「魔改造とか言うな。……まぁ、そうだ。地下の聖地と俺の私室の隠し部屋を繋いでいる」


セオドア陛下の固有魔法は『再構築』だった。

属性魔法、固有魔法関係なく、他者の魔法に手を加えて『再構築』することができる。


「同じ頃、スピルス・リッジウェイによるアッシュフィールド家襲撃事件が起こった」

「姉さんがソルティード様のノートを託して、僕を逃がしてくれました。僕は負傷したままピンコット家に転がり込み、アレクシス様から治療を受けました」


シルヴェスターさんが悔しそうに唇を噛む。

肩に止まるレイさんも何処か心配そうだ。


「その件について……」


私はまた口を開く。


「私の固有魔法《写実描写》でウィリディシア様の死の様子を見ました。ウィリディシア様を殺したのはスピルスさんではありません。スピルスさんと魔法戦を繰り広げているウィリディシア様を、マードック家のノア様が後ろから刺しました」

「…………ノア、が?」


ノア叔父様のお兄様でもあるスヴェン叔父様が唸るような声を上げた。


「ですが、そのノア様も何処か暗い場所で殺されている光景を見ました。私の父アレクシスとピンコット家に残ったユズキさんの死も。そしてノア様の亡骸から青いオーブが、父アレクシスの亡骸から赤いオーブが現れ、スピルスさんがそれを手にしていました」


ティアニー家のリビングが静まり返る。

陛下とスヴェンさんは顔を見合わせ、頷いた。


「オーブはラスティル王国を守る為の防衛術式だ」


陛下が口を開いた。


「この防衛術式が機能していれば、ラスティル王国全域まで及ぶ範囲魔法を抑制、効果範囲を狭めることができる」


防衛術式……。

両親からは何も聞いていない。


「防衛術式を機能させる為のオーブは、『始まりの四家』の者と俺がそれぞれ所持している」

「『始まりの四家』でオーブを所持しているのはナイジェル様、フィニス、兄アレクシス、ノアの4人だ」

「このオーブは所持者が死なないと現れない。そして、所持者に『金目の病』を発症させ、前世を思い出させる」


前世……私は『写実描写』で垣間見るだけで、思い出したわけではないのだけれど、その存在は把握していた。


「シルヴェスター君。君は《リッジウェイの惨劇》の時に前世を思い出したんだったな?」

「はい」


頷き立ち上がったシルヴェスターさんの瞳が金色になる。


「あの時リッジウェイの屋敷の離れにいた者も全員、金目となり、前世を思い出しました」


シルヴェスターさんは静かに語ると、座った。

瞳が元の色に戻る。


「離れにいたのはディアドラ様、ジェラルドさん、母と姉と僕です」

「辛いことを思い出させてしまってすまなかった」


陛下が溜め息を吐く。


「俺たちはどうやら、同じ時代の同じ国からこの世界に転生してきているようだ。しかも前世で罪を犯したり、不遇の死を遂げた者ばかりだ」


陛下は私たちを見回した後、窓の外へと視線を向けた。


「さながらこの世界は20世紀末~21世紀日本の配所……流刑地だな。異世界配所、というヤツか」




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