04 輪廻転生
【夢/マチルダ・ピンコット】
「《ファイアアロー》」
「《ウォーターウォール》」
スピルスさんが放った炎の矢を、ウィリディシア様はすかさず水の壁で防ぐ。
「《薬物精製》《筋弛緩剤付与》《アイスニードル》」
ウィリディシア様は水の壁に《薬物精製》と氷魔法を同時使用し、細かい氷の針へと変化させるとスピルスさんへと放つ……が。
「…………え?」
ゴホッと、ウィリディシア様は吐血した。
彼女の後ろにいたのは……。
「ノア、様……」
ノア叔父様だった。
「な……ぜ…………」
後ろから刺されたウィリディシア様は床に倒れ込む。
「危ないところでしたよ。助けてくださってありがとうございました、ノア・マードック様」
術者の死亡により、氷の針は跡形もなく溶けてゆく。
笑顔を浮かべるスピルスさん。
ノア叔父様はスピルスさんの味方だった?
だったら、さっきの映像は?
あのオーブは、一体……。
*
【ティアニー家/マチルダ・ピンコット】
目を覚ますと、ユスティート様がいた。
顔色が良くない。
私に何かを言おうとして、躊躇い、口をパクパクと動かしている。
「お父様は、亡くなったんですね。ピンコットのお屋敷も燃えて……」
ユスティート様は俯いた後、コクリと頷いた。
「君が悲鳴を上げて意識を失った後、キョウと一緒に確認に行った。ピンコット邸は、もう……」
「ユスティート様、ありがとうございます」
ソルティード様亡き後、王位継承者となるのはユスティート様だ。
そのユスティート様が、危険を省みずピンコット邸まで足を運んでくれた。
私はユスティート様を抱き締める。
「私はもう大丈夫です。父の死も、ユズキさんの死も見ました」
「ユズキ?」
そうか、ユスティート様はユズキさんを知らないのか。
「アルビオンに、ピンコット邸のことは伝えましたか?」
「あぁ。彼は達観しているというか、何と言うか……少しとっつきにくいね」
不意に溢れたユスティート様の本音に思わずクスリと笑う。
もう、大丈夫だ。
私は落ち着いている。
「ユスティート様、お願いがあります。スヴェン様と、出来ればセオドア陛下とお話がしたいです」
*
【ティアニー家/ユスティート】
リビングに、ティアニー邸に滞在している面々が集まった。
ラスティル国王 セオドア。
マードック家当主 スヴェン・マードック。
ラスティル王国第2王子 ヴァニタス。
アッシュフィールド家令息 シルヴェスター。
ピンコット家令嬢 マチルダ。
ピンコット家居候 アルビオン。
それから僕、ユスティートと。
聖地の主メモリアと、その弟分のキョウ。
「まず、俺たちから報告させてもらう」
父セオドアが口を開いた。
「始まりはソルティード襲撃事件だ。ウィリディシア嬢に会う為にアッシュフィールド家に向かったソルティードの馬車が何者かによる襲撃を受けた。ソルティードは護衛のジェラルド共々死亡したと城へ連絡が入った」
スヴェン氏がほんの少し、悲しげに俯いた。
当然だ、一人息子を失ったのだから。
「続いて、予言者シェリルによるクーデターが起こった。彼女は玉座を奪おうとした。宰相ナイジェルとその妻マドリーン、ピンコット家のアデルが彼女に立ち向かったが……」
「母はナイジェル様と共に殺害されたと、ピンコット家に知らせが届きました」
国王である父セオドアに対しても臆せず、凛とした態度でマチルダは発言する。
そんな彼女の姿は美しく、凛々しい。




