AのアホはアホのA、Bの美人は美人のB「B」のバカはバカのB、Aの姉は姉の「A」
「いやマジで電車で騒ぐとかありえないでしょ」
「あら、あなたはそんな心の小さい人間だったかしら?」
「はぁ?いやそう思っちゃったんだもの、しょうがないやん」
=====
AのアホはアホのA、Bの美人は美人のB
BのバカはバカのB Aの姉は姉のA
=====
「あなたは仮にも彼らよりも上位な教育を受けてきたのでしょう、だったらあれくらいの低俗な行い、黙認しなさい」
「でもそれは俺がイライラしたのとはまた別の話だろ」
「同じことよ。あなたは彼らよりも上に立つ人間よ。それは私が証明する。そして、上に立つものは総じて下にいるものを守るものよ。上に立つべきあなたが、言葉と言う暴力で下にいるものを蔑むのはよくないと思うわ」
「別に俺上に立ってねぇし」
「立っているのよ、認めて?」
「いやだ、なんかお前のいう事は、人を見下している気がする」
「それは違うわ。見下す心は汚い感情からくるの、それがないあなたは、ただ上から下を見ているだけよ」
「だからそれを見下していると言っているんだ」
「あなたからは汚れが伝わってこない、つまりあなたは見下してはいないわ」
「それはアンタの理論だろ? 俺はそうは思わねぇ」
「正解だとはだれも言ってないわ。つまり外れであるという事も、証明できないわ」
「あいかわらずメンドクセェなおまえ。へぃへぃ、悪かったよ俺がわりぃい~よ」
「………汚いわね」
「ちゃんと毎日風呂はいってますぅ~」
「まぁいいわ、あなたが汚くなるのは、私といる時だけなら、私はそれでいいから」
「おまえほんとにいみわかんねぇよな? 何考えてんの」
「あなたの、人間の、人としてあるべき姿よ」
「はぁ? 素質は 性格は 適正は ? 俺の人権まで踏まえて、ちゃんとしっかり俺の個人の「俺」をみて、言ってくれてんの?」
「そうよ」
「っは! 俺と言う人の、あるべき姿ってのはなんとアンタが全部示してくれてるっていうのかよ?」
「そうよ」
「ウソだろ? つまりはあれか、お前が俺の全てを理解したうえで、しっかりと将来の道筋をキッチリ考えてくれてるってのかよ?」
「そうよ」
「どうして俺のすべてが、分かるっていうんだよ?」
「………」
「まず、人って言うのは誰かに言われて人になるものじゃねえだろ? 時には人の話を聞くことも必要かもしれねぇが。それら大まかを鵜呑みにして自分以外の誰かの言葉で己を形成するものじゃねぇだろ、つまり俺という人格も、あんたにぜんぶ言われて形作られるものじゃねぇ。俺と言う存在も、自分自身で証明するものだ、時にアンタの言葉を借りるかもしれねぇが、全部じゃねぇ」
「………」
「それにそもそも、アンタはどうやって俺のすべてを知ることができうるんだよ」
「私がBの、上に立つ存在だから」
「それはおまえが、Aが姉貴なだけだろうが」
「そうよ、私があなたのお姉ちゃんだから」
「答えになってねぇ。姉貴なだけで人は、アンタは年下の人間の心を読むことはできない」
「年下は無理よ、範囲が広すぎるもの。貴方に対してだけよ、アタシが全てを知ることができるのは」
「言ったなオイ! じゃあ今俺が何を考えているのか当ててみろよ?」
「低俗な挑発ね、嫌いじゃないけど私は好きでもないわ。次からはやめてちょうだい」
「うぐぅ、やめん! 俺は曲げない、んなことより俺が今何を考えているのかあててみろよ!?」
二人の声がハモる。
「「本当はわかんないじゃないのか?」」
「っおぉ………って今のは誰でも予想できただろ、もっと前後の文脈で発想できないようなことを当てろよ」
「私は当てたわ、事実あたっていた、違うかしら? 貴方の要望に沿った私は孫うことなき聖者を全うしたわ」
「どっからくるんだよその自信………」
「なのにあなたは横暴にもまだ心を読めといってくる。無限の道へはさじ加減一つね、ゴールはあるのかしら? それとも私に、あなたの心をそんなに読んでほしいの?」
「はぁ? そもそもアンタのその、なんだ? 特殊能力を示すためにやってんだろうが、なんで上からなんだよ」
「あなたこそ恩着せがましいわ。アタシがあなたの心を読めるのは不変の真理。立証しようがしまいが、事実は変わらない。証明してもらう必要性はないわ」
「………俺は信用しない、アンタは心を読むことができない」
「あなたは理不尽なことを言うのね」
「アタシが ある と言うものの存在を、あなたは 否定 する」
「それはとっても ひどいこと だと私は思うわ」
「うっせぇな、だって信じられないんだし」
「そうやってあなたは私のことも知ろうとしないのだわ…」
「………」
「あなたは知ろうとしないだけ、そこに存在する事実から目を背けているだけよ」
「だったら証明してみろよ」
「さっきしたわ」
「あれは誰だってできる」
「そうね、でも私は納得しないわ」
「はぁ? なににだよ」
「あなたはさっき心を読めと私に言った、私は要望通りにあなたの心をよんだわ。でもあなたはそれでは納得しなかった。次もまた心を読んだとして、次もあなたが納得する保証はないわ」
「はぁ? じゃあなんだよ」
「私も、むやみにあなたの事を風潮したくないのよ」
「はぁ? 俺の情報を俺に教えたくないってどういう状況だよ、じょうこう」
「『したくないわ』という、『私が嫌だと思うこと』を、あなたはさせようとしている、という事よ」
「じゃあ心は読まないってことかよ?」
「正確には口には出したくない、したくない、が正しいわ」
「じゃあ俺はどうやってあんたが心を読めるっていう現実を観測できるんだよ」
「知らなくてもいいんじゃないかしら?」
「………俺はお前が変な事をいったせいで夜も眠れなくなったらどうする?夜な夜な俺はお前の心にのぞかれているという恐怖心はどうすればいい?」
(さすがに面と向かってじゃないと心は読めないわよ)
「それは提案なのかしら、脅迫なのかしら、独り言かしら?」
「流れからして独り言なわけねぇだろ。 俺の受けた心の傷はぁ? どう責任とってくれるっていうんだよ」
「私はあなたが傷ついたことで、そんな見返りを求めるような人間になって欲しくないわ」
「っぐぅ………傷つけた本人がよくいうぜ………ってか俺が傷ついていることくらい、心読んで察しろよ」
「あら? 心を読むなんて、信じていないのではなかったの? それに私はむやみにあなたの心の情報を口に出すことはしないわ」
「………もういい」
「そう………」
*********
………提案
聞くわ
さっきのは脅迫、はっきり言ってまともな人間のやる事じゃなかった
そう
悪かった
いいわ、あなたが失敗する相手が私でよかった
やべぇ、やっぱり気持ちわりぃなアンタ
私が傷つく、この心はどうすればいいのかしら?
それは提案か、それとも脅迫か? それともただのボヤキか?
傷ついた私を見て、あなたの良心が痛まないのなら、何も問題はないわ。これは単に道徳的な問題よ
はらたつなぁ
じゃああれだ、言っとくけど、俺もあんたの心のこと分かるから
そんなとってつけた言い方しないで欲しいわ、分かってくれるのならもっと感情を込めていって欲しい。あなたに私のことは分からないわっ
だからなんで俺が分からないのが分かるんだよ! お前は俺の心じゃないだろうが
さっきから言っているわ。私はあなたが私のことを分からないことくらい、分かるわ
お前の心を俺が読めるのが証明できないように、アンタが俺の心を読めない(る?)ことも証明できないはずだ
それは否よ、私は貴方の心が読めるもの
それはおまえだけの世界の話だ、俺には共感できない
あなたが知ろうとしないだけよ
アンタが教えないだけだ
私は教えたくないからよ、あなたは知りたくないわけではないじゃない。フェアじゃないわ
はぁ? そうだ、アンタは俺の姉貴なんだろ? じゃあ上に立つ存在として俺に教えてくれよ
私はむやみあなたに、やたらことを教えたくないのよ
そう! それがおかしい、なんで教えようとしないんだよ。あれやん、独占禁止法
きっと意味が違うわ。 では、どうやって教えればいいのかしら
だから俺が思っていることを言えっての
さっきいったじゃない
あぁあああ! なんだお前
あなたの『お姉ちゃん』よ
なんでそこだけはしっかり答えるんだよ、あとお姉ちゃん言うのやめろ
いやよ
ため息………はぁぁぁぁあ。 んで? 俺はいま何を考えているんだ?
………あなた自身とても混乱しているようね、非常にぐちゃぐちゃよ
俺はいま自分でもなにを考えているのか分からないから、おれに教えてくれ
人と言うのは誰かに言われて人になるものではない、のだったかしら?
俺と言う存在も、自分自身で証明するものだ、時にアンタの言葉を借りるかもしれねぇが、全部じゃねぇ
私が教えてあげるという仁徳も、もちろんあなたの力よ。 だからあなたは自分の力で自分を形成するの
だから私はあなたに、あなたの考えていることを教えたくないの、あなたには自分の考えで、自分だけの力で、自分を作っていって欲しい
じゃあ俺にとやかく言って来るなよ、うっとうしぃ
わたしがあなたを見守るのは
あなたが人間としてダメな行動をしていたら、私はあなたを正す義務………違うわ、私が正してあげたいからよ
俺には「自分の考えで俺を作って欲しい」んじゃなかったのかよ? 俺はあんたに教えてもらう事なんて一つもない
それでも間違っている行動は逃すわけには行かないわ
それはあまりにも独りよがりな考えだ
あなたがそう思っているだけだわ
アンタがそう思っているだけだ
提案、脅迫、提示、相談、あなたはまだ人としてある行為をしてないわ
………
そうよ、お願い。人に物事を頼むときは、まずお願いをしなければ
あなたはさっきから受け身だったわ、それはこれから上に立っていく人としてあるまじき行為よ
お願いすれば上に立つ人間でも教えてもらえるのかよ? てかまず上に立つってなんだよ
私があなたよりも上にいるからよ、だから教えてあげられる
………はぁ、悪かった。 確かに人間としては、教えてもらう態度じゃなかった………
分かってくれればいいわ
俺のすべてをどうして分かるのか、俺に教えてくれ
お姉ちゃん?
は?
お姉ちゃん?
は??
お姉ちゃん?
なんでそこだけ頑ななんだよ? べつにいいじゃんそこは
私だって人間だもの、少しは仁徳的に外れることだってするわ
それが小さなアンタのエゴでよかったよ
そうよ、殺人とか強盗とかテロるを犯している人に比べれば、お姉ちゃんと呼んでもらいたいという生理的欲求くらい許されると思うの(ドン!!)
(きゅうにハッキリ言うな………ほんで規模ちっさっ。というかマズローが提唱している自己実現理論における最も低次の基本的欲求が「お姉ちゃん」と呼んでもらうことなのかこの人…)
てかなんでおれのこと知るために俺はこんな必死になっているんだ??? ていうか違う、俺のことは別に俺自信が証明して、人格を形成していけばいいんだ。dakara,いまここで俺が知りたいのは俺のことなんかじゃない………
………
あんたが俺の心を、本当に読めているのかどうか。アンタのことだ
そう?
姉貴、俺の心が本当に読めるのか証明してくれ
お姉ちゃん?
なんでだよ? 今の流れからしてセーフじゃん、妥協しろよ
まだ私に妥協をさせるの? これでも人生まっすぐに生きてきたのよ?
だからなんだよ
少しくらい報われてもいいのではないかしら? (ちょっとだけ口が可愛いくなる)
………なんだよそれ。少し待て、いや、まってくれ
………コクリ
はぁっ………ね、姉ちゃん
ふぅっぅぅ
俺の心が本当に読めるのか証明してくれ!
………どうやって?
ズゴォー! だから今俺が考えていることをアンタが言ってくれればいいんだよ、
おねぇ――
まてよ!? いま考えるからまて、急に言うな
………
いいぞ
………
どした?
………私は、私があなたの心を読んで、それをむやみやたらと口に出すのは嫌よ、と言ったはずなのだけれど
いえよぉーーーー!! なんで言わないんだよ!! 何急にまた変な事言い出したの?
私がいやと思うことを、あなたは私が無償でやってくれると思うの?
………一理ある
でしょう? だからお姉ちゃんって、ちゃんと呼んでほしいの
はぁーー? 言ったじゃんーっ
『お』、が抜けていたわ、私はそれに神経を注いでいたのだからしっかり聞こえていたわ。あなたは確かに「姉ちゃんとしたい」って言っていないわ
っち、妙なところで………てかそんなもんに神経使うなよ、したいって何?
あなたは、あなたが人に頼みごとをしたときに、あなたは何も考えず、ただ黙ってみているつもり? 神経は? 使わないかしら?
(ピザって十回言ってもらって、ごめん聞いてなかったって言うようなものか?)
………理にかなっているな
そしてこれは交換条件、あなたが私のことをお’姉ちゃんと呼んでくれたら、
私はあなたの言うように、あなたの考えていることを、あなたのタイミングで言うと約束するわ
これは、また………約束ときた
人間として、この言葉の意味することは分かるわよね?
あぁ………だからこそ、決断が鈍る
そんなに呼びたくないのかしら? 私の提示した条件では、不服かしら?
いや、ちょっと、待て考える
これで呼べなかったらそれは俺へたれすぎるだろ
だからといってこれで呼んでもなんか年齢として負けた気がするんだよなぁ
だがもういい
「おねえちゃん! 俺の心読んでくださぁぁい!」
「Bは私のことが大好き」
「ぶっ飛ばすぞお前」
「んう?」
「はぁ? なに? 今のが答え?」
「そうだけれど、なにかしら?」
「いやいや大ありだよ、だれがそんなaboutな思考読めといったよ
ちゃんと分かりやすく一文字脳みそに浮かべてただろう? なんでそれを読まないんだよ」
「その一文字よりも、多分姉が好きな感情が勝っていたのじゃないかしら?」
「いやいや、別に好きでもねぇし嫌いでもねぇし! 確かにちょっと思うこともってぁあああああ!!」
「?」
「俺はあんたがすきじゃない、だから俺の脳にはそれは浮かばないはずだ」
「でも出てたわよ?」
「じゃぁせめてもっと照れてくんない?? いたたまれないんだけど?」
「そうなるから思考を読みたくなかったのよ」テレテレ
「だれがそんなグレーゾーンのとこ読み取れっていったよ!? 俺の脳の一番上のとこにでっかく「ざ」って浮かべてただろうが!」
「それよりも お姉ちゃんのことが好きの方が強かったのじゃないかしら?」
「せえええええい!! さっきとセリフ変わってるし! それに好きじゃないっからぁ!?」
「それはあなたが気づいていないだけじゃないかしら」
「なんでアンタが俺の脳にケチつけてくるんだよ。 人生で初だわこんな経験」
なに? おれが脳みそに「ざ」を浮かべていたら、お前は「ざ」を浮かべていない! って
なんでお前なんかに俺の脳中が分かんだよ!
「それはお姉ちゃんだから」
「もう黙れよお前」
*********
B、あなたのアイスを分けてほしいのだけれど?
はぁ、なんで?
私も食べたいのよ
………買ってくれば? もう半分くっちまったし
一口だけでいいのよ、くれないかしら?
はあ? なんでそんなピンポイントに欲しがるんだよ、一口くらい我慢しろよじゃあ
でも欲しいわ
なんかわからんけど、あげたくない
そう………残念 シュン
なぜか滅茶苦茶負けた感がやばい
………
なんで俺が罪の意識にさいなまれなければならないんだたかだかアイスごときで
俺はあいつの思っていることが分かるぞ、どうせ
いいわよ別に、ただそれはあなたの心が乏しすぎるわ。もう何を言っても無駄なのでしょうけど とか
私は何も言わないわ、ただあなたが自分で気づくべきことだから とか
人として、頼み事はなるべく受けるものだわ とか
私が食べたいと言ったのに、それに反するあなたの心はどう考えてもひねくれているわ とか
おめぇだってそうやって俺を苦しめている時点で充分性格悪いわ!!
? 急にどうしたのよ
わぁったよ! やるよ! あげればいいんだろ!
なんで怒っているのかは不確かではあるけど………ありがとう、とっても嬉しいわ
どんだけアイスくいてぇだよ、ん! やる!
艶やかな髪を、片手でたくし上げ
いやに色っぽい姿勢で近づいてくる
頂きます、あむ………(上からすっぽり口に含んで、それをそのまま上にあげるだけ。噛んだりはしていない)
はぁ、なんかちょっと溶けちゃったし、なんか疲れた………てかお前自分でスップーン持てよ
あっふぅ………ごめなさい、私が変な事言ったせいで、溶けてしまったようね
別にいいよぉ、もう………勝手に時間くったのは俺のせいだし。発端はあんただけど 悩んで時間をロスしたのは紛れもなく俺の判断なんだし
新しいの、私が買ってこようか?
んぇ?
新しいの、私が買ってこようか?
じゃぁ最初っからそうしろよおおおおおおおお???
今はもう満足したから、買いに行ける気力があるわ
はぁ? なんで? そんなに一口のアイスが原動力だった? アイスが無いとアンタはアイス買いに行けないの?
では言ってくるわ
ちょっとまてええええええいいいい!!
BはAの腕をつかみ引き留める
っぅ………なにかしら?
なにかしら、じゃねぇよ! それ買いに行ったら、なんかこう、なんか無駄になった気がするじゃん!
よくわからないのだけど
いいよわかんなくて………はぁ、だいぶ溶けちまった
ごめんなさい
正直に謝れるのは美徳だよ。でもこの場合はもうどうしようもできねぇ。もういいよぉ
………
とっとと食うか
………
あ~ん―――ねぇ?
なにかしら
最後の一口くらい残ってるけど、食べる?
いらないわ
さっきまでの意欲どこいったんだよ、一口くったら満足か? いみわかんねぇ
ごちそうさま
ああそうかよ………
………
てかこのやり取りが、もうもったいねぇ
………じーー
あーん。あのさぁ!?
なにかしら
さっきからずっと俺のアイス見てんじゃん! 何? そんなに欲しいの!?
いらないわ
じゃあ人がアイスくうってんのにマジマジ見ることはないんじゃない?
確かに失礼だったわ、ごめんなさい。それでも少し気になることがあって
なんだよきになる事って!? 俺にも分かるように………
ただ、私が食べたアイスのスプーンを――
俺が食うのが気になるんだな………? つまり間接を気にしていると
私まだ喋っていたのだけれど?
そうだな、ちょっと無神経だったか? てか、きになるくらいなら俺からアイスもらうなよ
だったらホラ、やるよ、もう溶けてるけど
いらないわ
なんでだよおおおおおお!? 食えよ!!
だって私は一口でいいもの
約束まもりすぎだろ!? なんだお前、融通きか無さすぎだろ、あれか? ここをまっすぐ行ったところにある店っていったら本当に家ごと突っ切ってまっすぐ買い物に行くロボットかお前は!! 食えよ!!
そこまで言うなら食べるけど
そこまでってなに!? おれ別に食べてほしくはないよ? なに、それ、まるで俺が食べろって言うから仕方なく食べるわ、っていう空気!!
違うの?
違うだろっ!? だっておまえずっと見てんじゃん! 俺が、あんたが食べたアイス食べるのが、いやなんじゃねぇの?
嫌じゃないわ、だったらそもそもあなたからアイスを貰わないわ
そうだよね………じゃああああなんでずっとこっちみてくるんだよおおおおおお!! 謎だわ!!!
だから気になることがあるのよ
なんなんだよその気になることってぇ
あなたが私の食べたアイスを食べるのかということよ (ちゃんと食べてくれるか)
気にしてんじゃんんんんんんんん!!
気にはしてるわね
じゃあ、だからあげるって言ってるじゃぁん!
いらないわ
なんでぇぇぇ? 分からない、俺分からないよもぅ!
あなたが食べてくれれば、私はもう見つめたりしないわ
食べればいいの?
ええ、そうよ
最初っからそういってよぉぉ、恥ずかしいから言わなかったけど、絶対この人、間接キス気にしてんだって思うじゃん!
してるわよ?
はぁあーー!? じゃあ食べれないよぉぉぉぉぉお
気にはしているけど、いやじゃないわ
くいにきぃよぉぉぉぉぉぉぉ! こっちみんなよ! きにしているけどいやじゃないってなに? 不明なんだけど
でも食べるまでは見つめるわ
なにがそんなに気に入らないの?
あなたが食べるか食べないか気になるだけ、気に入らない訳ではないわ
別にくえるからね?
では食べて頂戴
こっち見ないでっ食べにくい
それが気になるのに、見てはダメなの?
後で食べたってちゃんと言うから
言うだけではダメよ、ちゃんと食べてくれないと
食うよ! 食ったうえでちゃんと報告するよ?
でも欲を言えば、私は自分の目で確かめたいわ
もういいよもういいよもういいよもうくうよくうよくえばいいんだろぉお!? わかったわかったわかりましたぁあああ!!
………どうしたのよ急に
はい、たべたぁ!! どうだ、食ったぞざまぁみろ!! もう帰ってこないもんね!! お腹減ってても、間接でも、
もう姉貴はアイスたべれませーーーーん!! 残念でしたぁぁ!!
ん………ありがとうっ
え…? ………どういたしまして
私、あなたのこと、やっぱりわからないわ
俺、アンタのこと、さっぱりわからないよ
あと、食べ物を口に含みながら喋るのはよくないわ
あぁ、すんません
*********
っていう出来事の時も、アンタは俺の思考読めていたんじゃないの? なんかそうでもなさげだったけど
あなたが私の舐めたアイスを食べてくれるかで必死で、あなたの考えなんてのぞけれる余裕なんてなかったわ
俺が食べるか食べないか、その思考を読み取ればよかったじゃん
しようとしたけど、あなたの手と口が気になって集中できなかったのよ
姉ちゃんぜったいそれおかしいって
そうよ、私は変よ?
*********
そんな相手に対して あいつ や お前などと 敬称するのは少し育ちが悪いと思われるのも無理はないと思っている
だが一ヶ月くらい彼女と暮らしてみれば、きっとその考えは変わってくれるものだと。 俺は信じている
俺の誕生日を、姉貴が最高の思い出を必要最高限の資質で用意してくれた、晩御飯もささやかながら豪勢であり、つまりは嬉しかったのだが。その後のはなしである
そのまえに姉に対して称賛を、
あの姉貴はあんなナリして意外と義理堅い。約束は守るし、一度決めたこともなあなあで解決して結果をだすような化け物だ。その分人としてはちょっと人間味が無くなって味気なく、たまに俺も気持ち悪いと感じてしまう。共感もできず心も離れる
でも、究極のたかみに目指そうとする、あるいはもうすでに達している姉貴は、俺にとってまぁ尊敬できる人ではある。アルティメットすぎて不気味だけど、そういうことで、俺の姉は、とにかくやばいと褒めておく
ちょっ、だいぶ変だけど
話を折ってすまない、その後の話である
ーーーーーーーー
「Bぃ、着替えたら私の部屋に来なさい」
「重い雰囲気かもすなよ………わかった」
ーーーーーーーー
ご飯食べ終わって風呂に行こうとしていた俺に、とっても真剣な姉がなんか言ってきた
ダイレクトに言って、姉は感情を表に出す人じゃない、だから真剣さが伝わるってことは、相当真剣ということに繋がる
つまりは、それだけ事態が切迫する出来事が、彼女にはあったということだ
控えめに言って不安しかない
にもかかわらずアイツは必要不可欠な事だけ言ってどっかいった、てか部屋にいったんだろう
引き留める強さも、俺にはなかったが
でも実は予想できなかったわけではない
とうとう来た
あいつがただの、普通の女に見えないことは分かっていたけど
だが普通とは違うという普遍性が感じられるだけで、いったいどこが違うのかと言うまでは今までわからなかった
今日はそれが解明される日なのかもしれない
あるいは、
あの姉貴はマジで何考えているかわからないから、今夜俺を殺すとか企てていてもおかしくねえな
だって本当に犯罪おかしそうな顔する時あるし。 あの、ふと耳をかきあげる仕草的な感じで
ちょっと料理をしている時だけ微笑む姉………みたいな
その描写に包丁がなかったら最高
一応警戒はしておくか
部屋に行かねえっていう手もあるけど、やっぱ知りてぇしなぁ。謎
それに「わかった」と答えてしまった分、契約は交されているわけであって、
それを反故にするのは人として褒められることではない
なんだかんだでアイツの人間としてのあるべき姿っていうのは俺も共感できる部分でもあるから
俺は行こうと思う
姉貴のいう事は大半滅茶苦茶でも、人としての筋は一本通っていると俺は評価している
だから大丈夫だとは思うが。俺がそれを考えるまでが、アイツの思いどおりなのだとしたら、生物学的に反抗したくなってくる
まぁそれをいったら元も甲もない。そんなんじゃ、もう、なにも信用できなくなってしまうから、そこまでは邪推しないけど
少なくとも今回の一連が、俺にとってマイナスな出来事でないことを願うばかりである
アイツがもし本当に、おれの全てをわかっているつもりであるならば、それぐらいは期待してもいいだろう
入るぞ コンコン
どうぞ
(おい、予想を超えるにしても、やさしさってものはねぇのかよ)
部屋には真っ白い布団と真っ白い枕が置いてあり、その上には白い着物を着た姉がチョコンと正座していた
威厳や恐怖が超越してもうわけ分からないことになっている。 早速俺の脳も、まっしろまっしぐら
てかまず普通の部屋にこの違和感ばんばんの純白ぃ寝具はなんだ? いまから誰か切腹でもするのか? 姉貴正座しているし
え? マジで? 一応この空間のなかにいる人物は俺と姉貴だけど………
非科学的なものだけど、一番ハラキリしそうな”雰囲気”を醸し出しているのは姉貴
まぁもちろん、逆に俺を殺すために正装したという線も無きにしも非ずなのだが
やべぇ、本当に怖くなってきた。どうしよう、踵返そうかな足が震えるぅぅぅぅ
「限度があるのではないのかしら?」
「いや、アンタからその発言が出てくること自体、限度だよ」
「あんまりあなたの心をさらけ出したくないのだけれど………」
「はぁ?」
「あなた今、あなたが私を 介錯 または私があなたを 殺傷 するのではないかと考えていたわね」
「すっげぇなおい、その通りまんまだよ」
「この状況でどうやったらそのような発想が得られるのかしら」
「この短い期間でまともにこの現場の答えが導き出せれる奴もなかなかぶっ飛んでいると思うけど、
俺の思考回路、なかなかいい線言っていたと思うんだが?」
「あなたはそんなに骨肉の兄弟争いをしたいのかしら?」
「そんなわけねぇよ」
「私もよ………驚いたわ、流石にそこまでされると込み上げてくるものがあるわ」
「姉貴が? 昂る感情ちゃんともってんだ?」
「私がなにに対して悲しみを抱くか? あなたなら分かるのではないかしら」
「そもそもあんたが悲しみを抱いたことなんて………」しかし俺の皮肉はそこで止まる
「ひどいわ」
「おれ………えっとぉ」
「………」
滅多に目をきょどらせない姉貴が、珍しく隙をみせた瞬間だ
その小数点にも満たない刹那のなか、俺の目は、しっかり目の前の人物の視線のゆくえを捉えていた
「それも、姉貴の能力でわかったのか?」
「能力でもなんでもないわ、あなたのことを見ていれば分かる事よ」
俺の、足の踝
そこには刀が入っている場所だ
いやどこの映画やねん、はこの際おいておこう
「ごめん、流石にこれはないよな」
「ええ、少し堪えたわ」
表情の乏しい彼女が、心なしか怒っているように見える
じぶんでも相当な事をしたのだなと、今更ながらに自責の念が込み上げてくる
「ミスったな、ごめん」
「いいえ、私の配慮も足りなかったわ」
現在、話題に上がっているのは、俺が隠し持っていた刀についてだ
この場合疑問に思われることは、では、なぜ俺がそんなものを姉貴の部屋に持ってきたのか? ということにある
姉貴は悪くねえ、俺は元々アンタを傷つけるために持ってきたわけではない
何事にも備えが欲しかった、これは最悪の最低、それも災厄の想定をした場合のみ使うつもりだった
だからなにもなければ存在が発覚することもなかった、その時には俺のすべての感謝をもって人生に謝礼をのべるつもりだった だが、
知られたことによって存在が発覚した
「本当に俺のことが分かるんだな」
「もう少し信じてもらう努力をしてもよかったかもしれないわ」
俺は立ちあがって足から小太刀を取り出し、彼女の目の前に差し出す、自分は一歩下がったところで腰を下ろす
刀と言う武器の存在を、姉貴に知られなければ、事は円滑に進んだ。これは仮に災厄が訪れなかったとしたらという仮定の上成り立つが
そう、知られなければ全てはきっと平穏に終えたはずだった 核の抑止力みたいなもんだな
刀と言う武器は、時にそれだけで相手を傷つける事にだってなりうるのだ
でもそれはあくまで存在を知られた場合に限られる、だから俺もそれを狙って今回これを持ち出してきたのだ
しかし、俺の中での誤算が一つあった
姉貴が本当に俺の心を読むことができるのか、できないのか。それをもう少し真剣に考えて動くべきだった
俺はこれを できない ものとして計算していた、だから結果として間違った公式が当てはめられてしまったのだ
正解は否 できる だったのである
その末、俺の行為は彼女を傷つけることになり、より状況も、いいとは言えない
彼女がゆっくりと立ちあがる、いつの間に入ったのか髪は水けを帯び湿っていた。場違いにも綺麗だと思った
置いた小太刀を拾いえて、俺の前にゆっくり差し出す
これでたとえ切られても、俺は彼女にそれだけの遺憾を与えたのだからと納得できるまである
「」
ぺちり!と次の瞬間、頬を軽く叩かれる
実際は痛くなかった、だが、反射的にでた言葉が、
「いってぇっ?」
「あなたのためを思えば、もっと強く叩いた方がいいのだけれど」
「??? え? なに?」
「冗談も休み休みにしてほしいわ」
「………」
「「場違いにも綺麗だと思った」は嬉しかったのに」
「………………いや、勝手に思考を読むなよ」
「介錯って何よ? 殺傷って何よ? 私はそんなことをさせるためにあなたを呼んだわけじゃないわ」
「………」
「それに、これでたとえ切られてもって、なに? 例にしても縁起が悪すぎるわ、たとえ想像でもそんな
こと考えないで」
「………わるかった」
「私があなたを傷つけるなんてあるわけないじゃない」
「………ごめん」
「きわめつけに。あなたは私が、あなたが武器を持ってきたことで私が傷ついてるって思ってるようだけれど」
「………いや、事実―――」
「そこじゃないわよ」
「っ………」
「あなたがお守りでその小太刀を持ってきたことくらい分かるわよ、だれでも分かるわよ」
「! 姉貴………」
「それは父さんの形見、私が知らないとでも思ったの?」
「」
「あなたは私からくる気迫を感じ取ってくれて、それに対し真摯に答えようとしてくれた。ただ、私に対して少し恐怖心があったようね、今思えば私も全然感情をコントロールできてなかったわ、だから少し怖く見せてしまった
それは私の落ち度もある。
だから、家宝を持つことで、疑似的に勇気をつけた」
「そこまでわかってくれているなら………じゃぁ」
「私のことを、そこまで信頼してなかったなんて………思わなかったわ」
「え?」
「信頼は心を読んで簡単にわかる事ではないのよ、でも、いま分かったわ」
「いや、姉貴ぃ」
ゆっくりと近づいてくる
顔は真剣そのもの
むしろそこに集中しすぎて、他の感情が読み込みできないほどに
「調べなさい」両手を広げる
「っへ?」
「いまあなた、また変な事されると思ったでしょ?」
「え? いや、あの………」
「今の件は水に流すわ、その代わり、あなたも私のことを読みなさい」
「は? だから俺は姉貴の事を読むことができないって」
「カラダを調べなさい」
「は?」
「私のカラダを調べなさい」
「………普通に言えよじゃあ、あん、姉貴が何もあぶねぇもん持ってないかチェックしろってことだな?」
「そうよ」
「ちゃんとそうだって伝えてよ」
「私は伝えたわ………それが、だめなのかしら」
「………じゃぁ、失礼するぞ」
「優しくお願いね」
「だからっ、まぁいいや」
「………」
「もう一度しっかり謝っておく」
「そう」
「ごめんな、姉貴」
「それは私のからだから怪しいものが出なかった時に言いなさい」
「そうじゃねえだろ、べつに触ることに謝っている訳じゃねよ」
「知っているわ」
「でも、アンタがいくら思考を読めようが、実際に口に出さなきゃいけないこともあると俺は思っている」
「正しい答えね」
「なんで上なんだよ。………だから姉貴、人間として、いや、兄弟として。信頼できていなくてごめん」
「いいわよ」
「軽くね?」
「あなたの中の私には、しっかりとした恐れがあるのはもう分かった。私だってあなたに恐れられたくないわ、でも、怖がらないでなんて言わない。恐怖は人に言われてどうこうなるものではないから。だから私はあなたに恐がられないように努力するわ。だからあなたは、少しずつ私に心を開いていって欲しいの」
「お、おう………」
心を読まれることがあるのなら、それはもう心は開けっ放しだけど
「正直私にも落ち度はあるわ」
「いや、それは――」
「あなたの事を、なんでも理解できているつもりでいたの、でもそれは慢心だったようだわ」
「………姉貴」
「だからB、ごめんなさい。それと、これからもよろしくね」
(Bと言われるとばかみたいで嫌だったけど。この時は不思議とそうは思わなかった)
俺の尊敬する人として、完璧な回答………無視する理由が見当たらないほどに綺麗
ちゃんと、俺の事をわかってくれたんだ、こんな、たったこれだけの時間で
分かっているのは姉貴だけ、でもそれじゃあ俺が納得しない
だから姉貴は、ちゃんとそれも説明できるように努力すると言ってくれているのだ
「こちらこそ、お、姉貴、よろしく頼むよ」ヤベ、噛んだ
「ええ、がんばるわ」
「ああ、俺もがんばる」
「ではお願いするわ」
「ん? なにを?」
「カラダの検査」
すっかりわすれていた
「学校の健康診断かて………んじゃ、触っ………調べるからね?」
「ええ、どちらかというと保健体育ね」
「ごめんな姉貴、正直俺は、姉貴の行動思考が分かんないんだよ」
今の彼女の発言に、どれだけのボケが含まれていたのか
それともどれだけ真剣にいったのか
ある程度の人間なら、大まかに予想することができるけど、この人はキツイ
しかも普通の姉は、身体検査するのに弟に直に触らせるなんて方法はとらない
「でもあなたは自分の事だけはしっかり分析できているわよね?それだけじぶんで評価できて、
なんで私のことだけ限定で理解できないのよ、嫌がらせかしら?」
「いや、それは人間として普通だと思うぜ! それに、いうて 姉ちゃん だって言葉足らずじゃん!
カラダの検査とか………マジでどういうつもりやねん」
「ねっ………ちゃん」ボソ
「あぁ~! わりぃ今のは素だわ! 卑怯だったな、それくらいは分かるよ
「ずっと呼ばれたかがってたもんな、こんなときに呼ばれたくないよな」
ちょっと場がなごむ
昔の話をしてもいいかもしれない
「バカのBはバカのものよ」
翻訳(私のB(B)は私のものよ)
「は?」
やべえ、どんかんけい主人公とかのレベルを超えたよ? 聞こえたけど本気で何言ったのか脳が理解できなかった。え、どういう状況? 難しすぎんだけど、何て言ったの? 私はバカ? 俺がバカ?
姉がバカということはありえないから、必然的にバカなのは俺になるが
じゃあなんで俺急に罵倒されたの?
「終わりかしら? まだ調べてないヶ所があるけど」
「おぉ、考えてたら終わったか」
(………てかなんでこんな、まっ白い着物着てんの? どっかにトツギーノするんかて)
「しないわよっ」
「反応速っ! てか勝手に読むなし………」
「それよりもちゃんと調べなさい」
「………なぁ姉貴」
「なにかしら」シレッ
「もう俺はアンタを信用したよ、だから姉貴が俺の思考を読めるのは分かった」
「嬉しいわ」
「じゃあ俺が今何にためらってんのか分かるだろ?」
「………」クール
「姉貴だって女の子なんだからさ。いくら家族と言えど、弟にデリケートなところを触れさせるのはやめなよ」
「でもそれでは平等とは言えないわ、あなたが私を信ずる一歩が、この儀式なのだから」
「儀式って。それでもーー」
「私があなたに突き放されたのは私の責任でもあるわ、それに対して懸命に答えようとしているの」
「だとしてももっとほかの方法は無いの? 局部を触らせるって………」
「ないわ」
「きっぱりだね………」
「あなたが私を信用できないのと同じ理由よ」
「へ?」
「私があなたを信用しているのよ」
一瞬なにを言われたのか分からなかった
「っ! 姉ちゃん………」
こんな俺の事を、姉貴は
俺はあんたのこと、信じきれなかったっていうのに。それでも、それでもあんたは、どこまでもまっすぐだったというのか。一重におれが、その素直に、ただ気づけていなかっただけだったというのか
「だから速く触って?」モジモジ
なぜそこで好感度を下げる
「………姉ぇちゃん?」
「B、あなた今すごく失礼なこと考えなかったかしら?」
「思ってない思ってない、姉貴やっぱ気持ち悪いなんて思ってない」
「こういう時に、この能力はいらないと感じてしまうわ」
「人の思考を読んじまうのも大変なんだな」
「だから今までは隠していたのよ、あなたに心配と神経をかけないために」
でも俺が知らない間は、姉貴は一人でその秘密を抱え生きてきたのか
それも俺に迷惑をかけないようにするために………
たった一人で
やはりこの人はいい人であった
「姉ちゃん………!」
「来てもいいわよ?」パァー 両手広げ
「だから姉ぇちゃん!?」
「なに?」
「それだよそれ! なんでそこで評価を下げるかなぁ!?」
「下げたつもりはないわ」
「下がったしっ、」
「どのへんがかしら?」
「そのっ、きてもいいわ、のくだり」
「それはあなたが勘違いしただけだわ」
「ぐぅ………そうか、俺が醜かっただけなのか?」
「私は純粋に、あなたに私のカラダを触って欲しかっただけだわ」
「そうだね………純粋に、単純に? んえ? 分かんなくなってきた」
「あなたが今すべきことは、私の胸部を触ることだわ」
「そうか。そうなのか? あれ?」
「いいから早くしてくれないかしら、腕を上げているのも疲れるのだけれど」
「あ、ごめん…ぁ? 本当にいいんだよな??」
なんかいい感じに誘導された気がしないでもないけど
でも誘導したって姉貴には微塵の得もないしなぁ
俺は健全な男児としてはとっても興味があるから
あの姉貴に限って俺に興味はないだろうし
「?」
「なにかしら?」
「今の思考………聞こえた?」
「なんのことかしら、特に重要ではないのなら次に進んで欲しいわ」
「あぁ、うん………」
今のは読まれないって………
能力に制限があるのか?
なににしたって命拾いだけど
あんなの読まれたら、控えめに悶絶だ。大げさに言って昇天
俺は健全な男児としてはとっても興味があるから とか
「なにかしら?」
「いやぁ、えっと。どうやって調べようと思って」
「あなたが先ほど私の体を調べたように、あなたは胸を触ればいいのだわ
「あぁ、っと、ちょっと待ってね」
「ええ、なるべく速やかにお願い」
「えっとさっきはこうやって触っていたからぁ………今回もこうやって………姉ちゃん?」
「な、にかしら?」
「熱でもあるの? ごめん、ずっと立たせて疲れさせちゃった??」
「いいから、そんなことよりも………あなたはやるべきことをなさい」
「いや、座るだけでも、ちょっと腰を下ろしたら?」
「今はまだ腰を下ろす時ではないわ………心配しなくても、あなたが終わらせれば、すぐに寝るから」
驚いた、まさかあの鉄面顔の姉ちゃんが、顔をこうちょくさせるなんて………これは一大事だ、もう羞恥とか気にしている場合じゃない
と、自分に言い訳
まさか風邪??
どんな天変地異だよ、ラグナロクかて………
「そっか、じゃあもう触るからね」
「まって、まだ準備が………」クネクネ
「はぁ!? 決心鈍らせんなよ! 一応体力使うんだよコレっ? ってそれは姉貴も一緒か」
「ダメなのよ、今のあなたの、手の進路だと”あたらない”のよ」クイクイ
なんでいまパイズリの動きをするんだよ………確信犯だろ
「何がだよ!? 何にだよ!?」
「ふぅ、いいわよ」ホテッ
「そうはいかえねだろ普通。 まあ俺は普通じゃねぇからとっととするけど」スッ
「………」一瞬だけ動く
無心無心、これが女性のからだかぁ~とか思うな――
「はぁ?」
「………」ビクリ
なんか堅ーー
「え? なんか、えっへ?」
いま手になにかが当たった
ペースメーカー? 違う、そんな事実はあきらかに俺の希望的観測である
「さすがに、これについては、ちゃんと謝るわ、あなたをだますつもりはなかったのだけれど」
思考が目まぐるしく回る、理解が世界において行かれる感覚
「姉ちゃん、いや、あんたそれ………」
彼女は、着ていた着物をゆっくりとおろし、胸につけていたサラシも流水がゆったり下るがごとく、外されていく
「B、ちゃんと謝るわ」
「Aぇ、嘘ぉ………だろ?」
「ごめんなさい。実は私も………」
ゴトッ………
なにかが地面に落ちた音がした
剣見つかる
「いやおまえもかくしていたんかいぃぃぃぃぃ!」
「だって大切な話をしようと思っていたから、わ、私だって勇気が欲しくて」
「まわりくでぇな!? じゃあもっと前に言えよ!! もっと前に言えよ! 心配してそんしたぁ!? おれじゃあ何に悩んでたんだよ!?」
「それではダメ、あなたに私のカラダを触ってもらえないじゃない。 ①それに二回同じ言葉を吐くのは頭が悪く思われるからおやめなさい」
「っはぁ? ごめ、今なんて?」
「②二回同じ言葉を吐くのは頭が悪く思われるからおやめなさい」
「そっちじゃねぇよ!? その前だよ!!」
「③ その前だよ、は②に修飾され、結果その前に吐かれた①に反映されたものと認識
「二回同じ言葉を吐くのは頭が悪く思われるからおやめなさい」
「あんた絶対おれのことバカにしているよな?」
「あなただって私のことを愚弄しているわ、先の台詞だって勇気がいったのよ?」
「………」
「二回も言うなんて嫌だわ。それは聞き逃したあなたが悪い」
「そうだな………それは、俺が悪い」
「陰部の確認はよかったかしら? 別に何も隠していないけど」
「いらねぇよ!! 女子がそんなこと真顔でいんじゃねぇ!!」
「あら、でも乙女の秘密は隠れているかもしれないわね………」
「いま聞き逃さなかったよ!? しっかり聞いたけど!? なにいまの? 絶対馬鹿にしてるって」
「本題に入りましょうか?」
「今のが余興って、どんだけでけぇの待ち構えてるんだよ………」
「そう言いながら姿勢をよくするあなたに、私は称賛をあたえたいわ」
居住まい正す
「いつでもどうぞ」
ここまで来たらもうなんでもござれ
「私たちは本当の兄弟じゃないの」
意外とスッパリと切り出したね。まぁ、でも
いや、そんだけ?
いや、今までのが超努級過ぎて、全然驚かないんだけど?
私実は、お金とられたの
ええ、お金取られたの!? 五百万くらいとか!? て言った後の、
実は五百円だまがぁ盗まれたぁ、って言われたみたいな
五百円玉も大切だけど、
先に五百万って聞いたらなんか冷めるよね、ネタが
「え、お姉ちゃんはとっても傷ついたのに?」
「いやいや、だから知らんてアンタの事情なんて、アンタがそうだからと言って、俺がそうとは限らんだろうに」
「これでも一日眠れなかったわ」
「それにしては元気だなアンタ………別にいまから突然別居したり、態度冷たくするわけじゃねえんだろ?」
「お姉ちゃん、これ言うのにも結構勇気ひつようだったのだけれど」
「だから母さんの形見もってきてたのか? そこはさすが兄弟ってかんじだな」
「だから違うのよ?」
「何が?」
「私たちはもう兄弟じゃないのよ?」
「まあ確かにもう兄弟じゃなくなったが」
てかさっきのパイズリの動きは、この件を(剣)俺に触らせるためにやったのか、なるほど
「いいジャン別に、血はつながってなくても兄弟って、よくどっかで聞くセリフだけど」
「そんな一般例と私たちを一緒にしないでくれるかしら」
「確かに俺たちは正常とは程遠いけど………かたいって、姉ちゃん。もっと簡単なことだと、と俺は思うよ?」
「そう………かしら」
てかなんでこのタイミングで打ち明けたんだよ
あなたが二十歳になったから
だからなに? それがどうしたよ
お姉ちゃんと契約してもらおうと思って
何を?
この状況を見てまだわからないのかしら
だからアンタとは違うっていってるじゃん、わからないから聞いているんだってば
それは………その
てかなんで今まで黙っていたんだよ
「話をさえぎらないでくれるかしら」ムス
やべぇ、表情が無くとも、今姉貴が怒っていることくらいわかった
今さえぎっちゃだめなときだったらしい
「ごめん契約の話はあとでちゃんと聞く。それで、なんで黙っていたの?」
あなたが………私を………襲うんじゃないかって
おそわねぇよ。もしそうだとしても、そんな恐怖心抱えながらよく二十歳になったばっかの俺を、アンタの部屋に呼べたな?
でも、あなたが襲わなくても………あなたが近づいてきた拍子に、私が襲うかもしれないじゃない
平然と何言ってんだ。だとしてもそれは姉貴が襲うのなら、俺がアンタと兄弟じゃないって、知っているのと知らないのとは関係ないじゃん
だとしたら、別に俺の知っているか知らないかは問題にならないはずだ だから黙っていたこととは関係ない
関係あるわ、あなたが私と 兄弟関係にある と勘違いしている状態なら、あなたは間違いなく襲う私を止めるわ
そんなことねぇよ、おれだってそんなスケベ便乗するかもしれないし
しないわ
っは、だからなんでアンタがそこまで言い切れるんだよ
あなたを信用しているからよ
俺を、信用してくれているからか ッグ
私たちが兄弟だと認識しているあなたなら、確実に近親相姦を気にして、人間として正しい行いをしたわ
それが悪か善であるかは、諸説あるけどな
今のが今まで隠していた理由、そして………これから話すことは、「どうして私がこのタイミングで打ち明けたのか?」 に対する回答よ
これまでの流れからして、どうせしょうもねぇ話なんだろうな
そんなことはないわ、あなたに押し付けるような真似はもうしないけど、私にとっては、とっても重要な事よ
そっか………んじゃ、聞くよ ゴソゴソ 正座
はぁ、B
おおう
はぁ、私と
う、うん
交接してほしいの
「」チーン
「」マジメ
ぇぇ? まって、追いつかない………
早く答えて頂戴
まてって、アンタは答えを用意していたからいいけど、俺がその問いかけを受け取ったのは今なんだからさ
そんな早く答えられないよ………
そんなことはないわ答えは 「ハイ」か「ハイ」よ
両方ハイじゃねぇか、姉貴らしくもねぇ………幼稚な発言だな
そんなことないわ、答えを待つ方だってつらいものはつらいのだわ
だから速く答えろと?
それにしたってせい急すぎるだろ
いいから、はやく答えて
顔が………って、姉ちゃん表情がある!
人間なんだから表情があるのは当たり前でしょう
そんなことねぇよ、姉ちゃん俺が生まれてから表情変えたことないじゃん
「当然よ、顔は一番感情が流れやすいの、あなたに私のエッチな表情をよまれてあなたが私を襲って、私もあなたを襲ったら、あなたがたとえ拒んでも、私は絶対に蛮行に及んだわ」
「急に節操ねぇな、それと、はなしが全然理解できねぇ! 何? てかそれと表情とどう関係があんだよ」
「性的な顔になった私の顔を見たあなたが、性の伝染によりあなたも性的になってしまう、その結果 犯してしまうということよ」
「………でもそれは、俺が、さっき言った俺たちが兄弟だという事実をしっている状態なら、事前に防げれるんじゃねぇのかよ」
「ええ、そのためには 私が表情をあなたに読まれないようにする、というのが条件なのよ」
「はぁ? そういうもんか? バカの俺にはわかんねぇけど」
「あなたは頭がいいわ、私が保証する、それよりも話の腰を折らないで、股を開くのは私だけで十分よ」
「色々と可笑しいけど………そんな回りくどいことをするくらいなら、さっさと俺に兄弟じゃねえことを教えておっぱじめればよかったのに」
そしたら、俺はこれまでも、アンタを表情がないなんて、人間味が無いなんて罵倒しなかったのに………
「それではだめよ」
「なんでさ?」
「性行為は二十歳になってからよ」
「ぶふぅあぁぁぁぁっは! あんたマジで面白いな!! だからこの日になって明かしたのか?」
「そうよ、それにこれくらい積極的な方が、人間味があっていいのでしょう?」
「その理論はいろいろと人から踏み外している気がする」
「答えは出たかしら?」
早いって
「あんた堅物すぎるだろう………二十歳で卒業って、教科書かよ」
「その中で言うならばやはり保険体育ね、それにあなたのこともすぐに硬くしてあげる」
「やべぇ、姉ちゃんが壊れた」同じ言い回しに、新しい言い回しについて
いままで現実逃避と会話で逃げていたけど………夢じゃないんだよな。どうしよう、この状況
「私と交わってくれれば、万事それで解決よ?」
「だから、勝手に心を読むなって、アンタそれ嫌いなんだろうが?」
「そうね、でも今はそんなこと気にしていられる余裕なんてないから」
俺の中の姉貴像が、どんどん崩れていく
「あら? 私は、はじめからこの性格でいたわ? あなたの理想を私に押し付けられてもこまるわ」セマル
「それでも勘違いさせたのはアンタだろうが」後退
「あなたが勝手に勘違いしただけだわ」セマル
「なぁ姉貴」
「なにかしら」
「いくらなんでも展開が早い」
「頭のいいあなたならすぐに順応できると、私は知っているわ」
「いささか、許容オーバーだわ」
「あなたは ハイ と、その一言さえ言ってくれればいいの」
「何処の文脈からもってきたセリフだそりゃ?」
「事は単純明快よ、あなたが私のことが好きなら、ハイ よ」
「でもその過程にいたる道順を、もう少し普通に辿ってみたいと思うのは傲慢かな?」
「それもいいわ、でも結果は同じで 後か先かの問題よ、どうせその道も辿るつもりでいるのだから」
「お、ほぉう」
「鶏が先か、卵が先か、それは考えるだけ無駄」
「そ、その心は?」
「私がもう、食べたくてしょうがないからよ」
え?
「どういう? え、下ネタ?」
「そうよ、さすがね」
「いや、追いつかない」
「私も、もう理性が追いつかないわ」
「なにいってんだアンタ」
「今はあなたが上に立っているわね?」 いつもは私が上に立つべき存在なのだけれど
「おまえそんなキャラだったか?」
「お姉ちゃんって呼んでくれる?」ウルウル
っく、急に感情豊かになりやがって、くそぅ、かわいいじゃねぇか
「質問に質問で返すなって、俺は教わったぞ」
「文脈からして、一番初めに質問したのは私だけれど?」
「あれ質問だったのかよ」
「ちゃんと「?」マークつけたわよ」
「見えるかよ、んな抽象的なもん」
「私には見えるわ、あなたの心」
「俺には見えない、アンタの心」
「歯がゆい、わ」
「人間同士だったらそれが普通なんだよ」
「不便ね」
「いつものアンタならそんなこといわねぇだろうな、いっそ偽物なんじゃねぇか?」
いつものアンタなら人間が人間らしく人であるため頑張る姿を肯定する。だから人間を不便だ なんてことは言わない
「証明する方法ならいくらでもあるわよ」 姉貴が本物だという証拠
「………こっわっ、やめておくわ」
「カラダが正直なら、次第に心も素直になってくれるものだわ」
「俺はいつだって素直に生きてきた」
「私も同じ、これからも、今からも。ではいまから交わりましょう」
「まてよ、お前の素直と俺の素直に食い違いがあるぞ」
「一緒よ、ただ段階が違うだけ、あなたはまだ階段で言うと一階にいるわ、登ればすぐに私の元にこれるわ」
「いきたくねぇし………」
「いかせてあげるわ?」
「いいって」
「素直じゃないわね」
「そうだな、だが俺がその段階とやらを踏んでいくのに、アンタは俺を急かす権利もないはずだ」
「そうよ」
「以外にすんなりだな。 じゃあもうちょっと待ってくれよ」
「だからこれは私のエゴよ」
「そうそう、だから――ってぇえ!? いま何て?」
「だからこれは私のエゴよ」
「ううぇえぇ!? あの禁欲的クソ尼みてぇなAがエゴぉて! なに唐突に人間みたいなこといいだしてんの?」
「私は始めから人間よ、それとB、その発言は流石に傷つくわ」
「あぁ? っと、わりぃ、謝る、悪かったよ………そこは普通に姉貴なんだ」
「本当に反省しているのね?」
「アンタならわかってるんだろ、んなこといちいち聞くなよ」
「そう、じゃあお詫びにキスを頂戴(両手広げる)」
「っぷぅ! さすがにスペックオーバーフローじゃないかしら?? 思わず素で笑ったわ」
「本当に反省しているのならね、これくらい出来るはずよ」
「それは心の問題だからな、いくら自分で自責してようと、そいつはハイソウデスカと実行できるもんじゃねぇ」
「ん~~」
「人と喋る時は目をあけてくれねぇかな?」キョゼツ
「私とキスするときは目をつぶってくれないかしら?」セマル
「てっ、しないからっ、顔近づけないっで」テイコウ
「………反省してないわね」ムスッ
「してるから、てか分かるだろ俺がいま心の中でどんな気持ちでいるか?」
「分からないわ」
「なんで嘘つくのぉぉぉ!? あれだけ分かるって言い張ってたじゃん!!」
「………嘘よ」
「その嘘はどの嘘に修飾しているんだ?」
「反省していないわね」
「っていうのが嘘なんだろ? だから反転して、反省しているよ」
「なら誠意をみせて」
「どうしたんだホント? いつもなら俺を注意するだけでとどめてくれるのに、今日は見返りを求めるって………」
「人間味があっていいじゃない?」
「おまえが言うなって。 アンタのそんなところに人間味を求めていないよ」
「あら、でもあなたはこの前、人間味があったほうがいいって」
「言ったけど。いろいろと状況が違うし、予想してたシチュエーションと違うし」
「人はいつだって予測不可能よ、さぁ、あなたを頂戴?」
「だからあげねぇって!? まってよ、そもそもなんでそんな突然迫ってくるの??」
「私がもう我慢できないからよ」
「それでも俺が二十歳になるまでは我慢してくれていたじゃん」
「あなたが心の中で、どうして欲しいかなんて分かっているわ」
「………」
「もし本当に私から逃れたいのなら、流ちょうにここでこまごましたりしない」
「………」
「そうでしょう?」
「でも、こうぇよ」
「それも知っているわ」
「唐突にきょうだいじゃねぇって言われても、だから、「さぁやろうか」なんてことにはならねぇよ」
俺の中では、姉ちゃんは姉ちゃんなんだから
「私が馬鹿だから」
「姉ちゃんは十分頭いいよ」
「ねぇ、お姉ちゃんって呼んで?」
「はぁ………あんたバカだろ?」
「私はあなたのお姉ちゃん………」バカではなくてお姉ちゃん
「俺も大概バカだけど こんな人を好きになるなんて とんでもないけど とんでもなく、アホ(幸せ)なことなんだよなぁ」
「あなたは私の弟よ………」
「お、やっと兄弟だってみとめたか」
「あなただって、本当はお姉ちゃんと「やってくれる」つもりでいてくれているのでしょう?」
「それでも俺は、まだアンタが恐い」 しっかりできる自信なんてこれっぽっちもないし、きもちよくさせれるかなんて………わからない
「大丈夫よ、恐くないから」あなたが今何を心配して、なにに恐れているかなんてわかっているって言っているじゃない
「恐くないなんて、言わないんじゃなかったのか?」
「いろいろと状況が違うわ、それに予想してたシチュエーションと違ったのよ」
「ホント食えねぇ人だな」
「でもあなたはたべてくれるのでしょう??」
「はぁぁ………本当にいいの?」
「私も反省する点があるわ、あなたにもっと私のことを知ってもらおうとしなかった、わたしのことをもっとあなたに知ってもらうべきだった。だからいまからあなたの事をいかに私がしっているかという 私という存在を あなたに教えてあげるわ。そうしたらあなたも、ええ、少しでいいわ、私のことを分かってくれるはずだから」
「本当に、ほんとだよな?」
「ええ、いいわ」
「俺だって―――ふぇ!!!」 ズキュン!!
「んんんんんんんん!!!」キス
「っぽは、!! しゃ、喋らせてよ!!」
「そこまで言ってくれたのなら、あとはもう、言葉は必要ないわ」
「でもさっ、ほら、やっぱり心の準備が!? ―――んふぅ!?」
「言わなくてもわかるわ、私にはあなたの心がわかるものぉ」
「!!!」
「やめないわ、もう、手遅れよ?」
「―――――っ!!」
「私に一度でもカラダを委ねた時点で、あなたのとれる選択肢は潰えたわ」
「」
「そう、気持ちいのね? はぁん、幸せ………もっと気持ちよくさせてあげるわっ」
「っ―――んぅ――――――くぅ!!」」
「ここかしら、ここが弱いのね?」
「!!―――――――っはぁ、やめっ―――!」
「あぁ、Bはここをもっと攻めてほしいのね? わかったわ」
勝手に思考を読まないでぇぇぇぇ
「はぁ、はぁ、はぁ、姉ちゃん、もう勘弁してくださいぃぃ」
「あら? お姉ちゃんにものを頼む時はそれなりの態度があるんじゃない」
「ぁぁぁぁっあ! ごめんて! お姉ちゃんごめん! もう無理!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、お姉ちゃんなんて呼ばれたら、私………もう無理っ」
「って ええ!? 無理ならもうやめてよ!」
「もう我慢するのが「無理」と事よ」
「まだ我慢するのが、の間違いね」
いつも一緒にいたのは彼女を作らせないためか??
ちがうわ。あなたの近くにいたかっただけよ
俺も姉貴の近くにいたいっていうのはあったんだけどな??
あなたが私しか見ていないということは、卑怯だけれど分かっていたから
そんな頭の切れる姉がやっていることとは
フィックス、でもなく
カブ、でもなく
内職である
しかもその手の速さが尋常じゃない
彼女は必要最低限の速さで、必要最低限の力でしか動かさない
その結果芸術の域ともいえる華麗さで、商品を作っていく
曰く 仕事をしていない人間は腐っていくのよ
だそうだ、耳が痛い話だ
それでもじみょうを犠牲にするレベルの速さでやってっから、正直心配になるけど
俺と一緒の学校に行きたいとか思わないの?
私は行く必要がないもの
もう学ぶことが無いからか?
違うわ、専業主婦になるからよ
あらそう
もちろんあなたのよ?
おっふぅ、えっと、うん、ありがとう
いいわね
それヤメテ
俺はと言うと、急に彼女に対して棘がなくなった、と言うよりかは
人間として見れるようになったから
とか、人として共感できる部分が見つかったからだ
だれだって趣味のあわない人とは一緒にいない
話の合わない人と喋っていても、気分が悪くなるだけだ
だから今まではなんの意味もなく彼女と生活していたが
あの事件があって以来
おれは彼女に対する親近感と共鳴感を覚えた
というよりか、それまでの俺は、片思いがどう考えても一方通行だったからやさぐれていただけなのかもしれない
事件の前はまさか血がつながってないとも、姉が俺の事を好きだということも、察しようがなかったから
というか、察しようとしなかった愚かな人間だ
今の俺なら、そう自分の事を評価できる
だからこれからはしっかり察っせれるように、一語一句、一挙一動、見逃さず彼女の事を見ていたいと思う
でも俺はちょっと姉貴と大学行ってみたいかも
あら? でも非効率だわ、お金だって無慈悲にもかかるし
まぁそっか………でも俺が浮気しちゃうとかは考えてくれないの?
ふふっ、まだ私のことが信用できないのね? セマル
この場合は俺のことが信用できないんじゃないの? 浮気するのは俺の方なんだから
違うわ、私があなたの心を読むことができるということを、あなたはまだ信用してくれていないのね、と言いたいのよ
あぁ、ごめん、まだ慣れなくてね。 そういうことか
そう、あなたが私のことを愛してくれているくらい、心を読めばわかっちゃうわ。読まなくても伝わるくらいにね
そっか、俺もAの心を読むことができるようになる日がくるのかな
それは必要ないわ
私はあなたの上に立つものだから ドヤァ
ホント食えないよなぁ。 あと、どさくさに紛れて馬乗りにならない!
あら、ホントは私だって食べてもらいたいのよ? いつまでたってもあなたから来てくれないから、仕方なく私から食べているだけ
「ホッと食えないよなぁ」オイデ?
「頂きますっ!」チュッ
風を引いたときの話
ゴホゴホッ
ここに薬とおかゆ、おいておくわ
ゲェホ、ありがとう
どういたしまして。 おだいじにね
言い訳、この時の俺はめっちゃ弱っていた。だから普段のおれだったら絶対にこんなことはいわない、絶対だ
まぁこの世の中には絶対と言う概念はないわけだが………あるのは言葉の「ぜったい」という撥音だけ
現世に絶対があるとするならば、それは『人間の死』それだけだ
とにかく俺はとんでもない失言をしてしまった
後悔はいつだって、あとから来るものだ、予知できていたのだとしたら、それは後悔ではなく前悔である
おまえほんとぶれねぇよな、がぁっは
あなたは私が、あなたが風邪を引いたときだけあなたに優しくするような、そんな人間になって欲しいというの?
物わかりが早くて助かるよ、まず人間かどうかも定かではないがなぁ、はぁ
そうね、添い寝とかしてほしいのかしら?
気持ちわりぃよ。 ごめ、わすれてくれ、自分で言っといてなんだが、アンタはそのままでよかったわ
そう。 自分で人に問いかけたことで、事故解決する事例だって珍しくは無いわ
ただそういったことはあまり私以外の人にやらないことね
あぁぁあ、あんま難しいこと言うなよ、ッホォッ
いずれにせよ、私は私よ………それは変わらないわ」ッス
なんだよ?
おかゆ、食べさせようか?
「………」
「………」カチャ
さっそくキャラブレブレじゃねぇか! ッゲェホッゲッホォッ………はぁ
私は私のままよ、あなたが今私を本来の私と認識できないのは
それは私がおかしいのではなくて、あなたの脳がおかしいのよ
ほっと食えないやつだな
私は食べられたりしないわ
………もういい、風邪うつっから出てけ
………あなたのその、体調の悪い時でも変わらない姿勢、嫌いじゃないわ
(風邪を引いていても、ぶれない優しさ)
この姿勢は風邪からくる思考不良だということを忘れるな、俺はあんたのこと好きじゃないけどな
(風邪を引いているからこそ、ぶれて優しくなっているだけ)
そう、残念ね
なんなら俺が風邪をうつしてやろうか? 人にうつせば早く治るとも言われているしな
あんたの、っはぁ、弱ったところを見るのも見ものだなぁ、はぁ、はぁ
(心拍数上昇と、羞恥と、照れと姉の突拍子もない行動によって、体調がめちゃくちゃ悪化した。あるいはただ興奮しているだけ)
「ふふっ………お大事に」ガチャリ
「………!?」
いまアイツ笑っていきやがった?
ウソだろ、もうしばらく、あいつの笑顔をみてねぇってのに
しかもちょっと馬鹿にしていただろ、なんつぅ趣味の悪い
久しぶりに見た笑顔が、まさか自分があざ笑られることによって発生させるとは………皮肉なことだ
いつかちゃんと笑わせてやりてぇなぁ
ってなにかんがえてんだ俺は!? あんなやつ笑わせるのにどんだけの錯誤が必要だと思っているんだ
それにまず姉貴を笑わせたところで俺になんの利点もねぇよ、なんも、なにも………
あぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!! わすれろ、みたくねぇよ別に! なんともおもっちゃいねぇよクソが!
風邪だ、風邪の知らせだ、風邪のせいだ! 俺がこんな目に合うのは全部これのせいだちくしょう………早く治れよこの野郎!
十分後
全然ねむれぇん!
A「風邪を手っ取り早く相手にうつす方法、それは接吻」
あの子が別にそういう意味で言ったわけではないのは分かっているけど
それでもちょっと想像してしまったわ
Aがあの時笑った理由を、Bは二度と知ることはない
A「それに、私はたとい風邪を引いたとしても、あなたに弱みを見せることはないわ。だってお姉ちゃんだもの」
そうやって姉は、栄養のある食材を片手に晩御飯の準備に勤しみ向かうのであった
っていう一連の流れとかも、アンタはその時から俺のことが好きだったって事か?
ええ、あなたを襲わないようにするのが大変だったわ
風邪を引いているのに?
風邪を引いていてもよ
………恐ろしぃ。もし俺が添い寝に応じていたらどうなっていたことやら、
そうなってしまっては、もうあなたができることはないわね
はぁ? 仮にも姉に押し負けるって言うのかよ
そうよ、あなたは風邪を引いていて、心身ともに衰弱しているのだから、甘い言葉をかければきっとすぐに気持ちよくなってくれた筈だわ
ホントこうぇよ。だが、それは人間としてアンタの生き方に反するだろう?
ええ、でも私はちゃんと添い寝でもしてほしいのかしら? と許可はとろうとしたわ
分かるわけねぇだろ? アンタはそれを 寝ていいか? というニュアンスで聞いていたってことだよな?
ええ
説明が足りないんだって! もっと詳しく言ってくれなきゃ
でもそれじゃ私が襲える確率は減るわ
わざと言っていたのかよ、まじですげぇな姉貴
ありがとう
………あそこまで自分に厳しくある必要はなかったんじゃねぇの?
なんのことかしら
俺がたとえ風邪を引いていても、アンタは俺には変わらない態度で接するって。自惚れになるけど、なかなかきつかったんじゃねぇの?
ええ、胸が張り裂けそうだったわ
もうすでにだけど………じゃあ、どうしてそこまでできたんだよ
それは二十歳まで取っておくものだと思ったからよ
ほんと尊敬できるよ………姉貴は
ありがと、私もあなたのことを特別に思っているわ
それ意味違うから
一緒よ、好意的な意味合いとしてはね
どいつもこいつも俺をつかえねぇ奴あつかいしやがって
あなたは使えない人なんかじゃないわ
うっせぇな! ひとが錯乱しってっから、落ち着かせるためにそんな優しい言葉かけんだろうが!
違うわ、だってわたしにとってあなたは、存在してくれているだけで尊いものだから
それはどうせ姉貴補正かかってんだろうっが! ただそれは………家族なだけだからだ
例え家族だからとして、どの世帯だってなかよくなりうる訳ではないわ
俺はやくになんてたねぇ、どうせ使えねえんだろっ
そう………私はもういくわね。 ただ、私があなたのことを思っていることだけは忘れないでね
あぁあぁどっこにでもいっちまえ! もう、しらねっぇよぉ!!
ガチャリ
くっそ、なんなんだよチクショウ………
だんだん思考が落ち着いてき、脳も冷静になっていく
これもあいつが仕組んだ仕組みだってのか………気にくわねぇなぁ
っていうのも、俺が落ち着いて、とやかく言わずに姿を消すことで、俺にアンタの、人間のありがたみを教えてくれたんだろ??
違うわ、ただこのままだと本当に抱きしめたくなってしまうから、みずから距離をとっただけだわ
ありかよそんなの!? え? 自慢になるけどあんときのおれ相当 醜いかったよ?
ああいうときのあなたはキット、自虐棒気になっていたから、私が無理やり犯したらきっとやらせてくれたわ
正気ですか!? いっちゃなんだけど結構世界の事を信用していなかったよ? それに姉貴に対して絶対優しくしなかったでしょうに
激しいのかしら、むしろ歓迎だわ?
いやいやだめでしょう。
いやいや、そんな状態でそんなことして、姉ちゃんはいいのかよ
それでもあなたなら優しさを求めたわ。私もそんなじょうたいは望んでないわ。 でもやれそうならやってしまうわ
たとえひどく扱われても?
たとえそうでも、あなたはあなただから。 私が欲しいのは、身体ではなくてあなたよ?
正確には、あなたと身体両方