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デグーちゃんのガジガジ大冒険  作者: 風見鶏充
3/4

あたくちはお腹がすいたのでちゅわ

その日、エルジェベトちゃんのために、歓迎の宴が催されました。頭には今まで被ったことのない輪っかと、今まで着たことのない服。エルジェベトちゃんは、ミロンの隣の台に乗せられ、目の前にあるリンゴや干し草、そして見たことのないハーブの香り高さに、思わず手が伸びていました。

「うまうまでちゅわっ!」

「これ、今からわしのスピーチがある。我慢しなさい」

エルジェベトちゃんは手持ちのハーブを食べきり、少しお鼻をぴくぴくと動かしてミロンを見ると、またハーブに手を伸ばし

「これ!」

と怒られてしまいました。エルジェベトちゃんが不服そうな顔を見せると、ミロンは片手を上げて

「皆のものよ! 旧き預言が現実のものとなった!」

しょりしょり。

「皆のものも知っての通り、ドブネズミ一族が」

はむはむしゃむしゃむ。

「我々デグー一族を脅かしておる」

かっかっかっ。

「しかし本日、伝説の賢者様が現れ……」

ぴゅーぴゅーぴよぴよ。

「わしの隣で既に食い物に手をつけておる……。少しは静かに出来んのか!?」

流石にミロンも眉間に皺が寄り、エルジェベトちゃんをギロリと睨み付けます。エルジェベトちゃんは、手にした干し草を噛んで飲み込み。ミロンの顔をまじまじと眺めていました。

「いや失礼。曲がりなりにも賢者様に対する態度ではなかった。少し言葉が過ぎたと思わせてくれんか?」

エルジェベトちゃんはリンゴをはむはむと頬張りだし、ミロンに止められてしまいました。

「ぷわぁっ!」

エルジェベトちゃんも黙ってはいられません。

「ぷわぁではない! 今大事な話してるのっ! 大人しくしなさい!」

「あたくちはお腹がすいたのでちゅわ! かいぬちちゃまは『いくらでも好きなだけ食べなちゃい』っていっぱいおやちゅも出ちてくれたのでちゅわっ!」

「全く行儀が悪い! 黙って聞いてなさい!」

エルジェベトちゃんはふて腐れて、尻尾をつついてみたり毛繕いをしたりと、大人しくすることにしました。

「え~、それで、何だったかな……。あとの預言によれば、伝説の格闘家と癒し手、そして勇者が現れ、オクトドン世界に平和をもたらすであろう! 今日は存分に祝おう!」

突如沸き起こる大歓声に、エルジェベトちゃんはビクッとし、柱の向こう側に隠れてしまいました。

「……先が思いやられるわい……」

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