ストーリーは突然に
どもー☆
なんかこーちゃんに
「うちのデグーがかわいいから題材にして流行りの異世界転移ものでも書け」
と命令されたので書いてみた~。
正直誰得~?
ある日デグーのエルジェベトちゃんが目を覚ますと、そこは大きな木の下でした。いつもだったら固い金属のお家で、香り立つチモシーと回し車に囲まれて、冷たくて気持ちいい石や、ふかふかのお布団、時にはハンモックに乗って寝たり遊んだりするのに、何もありません。周りの草はみずみずしく、エルジェベトちゃんには食べ物には見えませんでした。
エルジェベトちゃんは、鼻をひくひく動かしながら、木の周りを駆けてみますが、大好きなペレットも無ければ、ペレットをくれる飼い主もいないのです。エルジェベトちゃんはちゅーちゅー鳴いて飼い主を呼んでみますが、「どうしたの?」と呼びかける声も聞こえません。
「どこ行ったの? かいぬちちゃま……。ここはどこ?」
エルジェベトちゃんは不安に思い、木の根の下に隠れながら、根っこをガジガジ噛み、ちゅーちゅーと飼い主を呼んでいました。
「かいぬちちゃま! かいぬちちゃま! お腹ちゅいたのよ!」
何度呼んでも、飼い主は現れません。エルジェベトちゃんは悲しくて、何よりお腹が空いてどうしたらいいか分かりませんでした。
すると、少し向こうから、自分と同じぐらいの大きさの生き物が近づいてきます。それも大勢。エルジェベトちゃんは木の根に隠れたまま、じっと様子を見ていました。
「おお、おったぞ! 大木の下のアグーチ、間違いない」
一際大きいのがそう声を上げました。そこでようやくエルジェベトちゃんは気付いたのです。彼らもまた、同じ生き物だと。実はエルジェベトちゃんは、自分の姿を見たことがなかったので、同じデグーを見ても、そうだとは気付かなかったのです。
「まさしくお告げのあった通り。皆の者、この子だ」
真っ白な体毛の、一番大きな雄が、そう後ろに呼びかけていました。歓声が上がります。
「あなたたちは誰でちゅの?」
「わしはミロン。デグス神殿の神官じゃ」
エルジェベトちゃんはキーキー鳴きながら、歯をかちかち鳴らしていました。見知らぬデグーたちが怖かったのです。
「お腹も空いとるじゃろう。お前の好きなものは聞いておる」
差し出された乾燥リンゴを、エルジェベトちゃんは素早く取り、また木の根っこに隠れてはむはむ食べました。
「話は街でしよう。付いてきてくれるか?」
ミロンはエルジェベトちゃんを促します。エルジェベトちゃんはリンゴを貰った手前、その集団に付いていくことにしました。