4話:迷宮都市アリフォード
今回から町編です。
俺たちは一時間くらい歩いて、町に到着した。いや、町というより都市だ。かなり大きい。都市を囲うようにそびえ立っている城壁。高さは5メートルくらいだろうか。俺は今、町に入るための検問に並んでいる。
「すごい列だな。」
俺は前後を見て呟く。
『すごい人ですね』
『何でこんなに人がいるのじゃ?』
「都市だからじゃないのか?」
俺はそう言いながら、鑑定で俺の前後に並んでいる人の職業を見ていく
職業:商人
職業:冒険者
職業:奴隷商人
職業:商人
職業:旅人
職業:商人
やっぱりか。都市に来るってことは、商人関係だろうと思ってはいたが、やっぱりそうだったか。
「次の方どうぞ」
警備の男が俺に言う。俺は検問をやっている人のところに行った。
「冒険者カードか入場許可証を持っていますか?」
「いや、持ってない。」
「ではこちらに来てください。」
そう言って石造りの小屋みたいなところに連れて行かれる。中に入ると、部屋の中央に机が置いてあり、その上に水晶みたいなものが置かれているだけの部屋だった。
「では、この水晶に手を当ててください。」
「この水晶って何なんだ?」
「犯罪を犯したかどうか、判別する魔道具です。ここは迷宮都市ですからね。警備はしっかりしておかないと。」
「迷宮都市?」
「はい、そうです。この都市には迷宮があるんです。それで迷宮都市って呼ばれています。」
「ああ、だから商人が多かったのか。」
「はい。ここに来る人の七割は商人です。」
マジか。ほとんど商人じゃないか。迷宮があるから他の都市に比べて盛んなのか。
「その迷宮は誰でも入れるのか?」
「いえ、冒険者のDランク以上じゃないと入れません。」
「そうなのか。」
迷宮にも行ってみたいし、とりあえず冒険者登録はしておきたいな。
「えーと、この水晶に手を置けばいいんだっけ」
「はいそうです。」
俺が水晶に手を置くと、水晶が淡く光りだした。
「はい、もう大丈夫です。犯罪は犯してないみたいですね。」
そう言いながら、ポケットから一枚の紙を取り出し、
「これが仮入場許可証になります。有効期限が一週間になっていますので、それ以上滞在する場合は、追加料金として銅貨3枚を払っていただきます。冒険者登録をした場合は、入場許可証は必要なくなって、冒険者カードだけで出入りが可能になります。それでは、ようこそ、迷宮都市アリフォードへ。」
俺は仮入場許可証を受け取り、迷宮都市アリフォードの門をくぐる。
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迷宮都市アリフォードは、総人口30万人が暮らす三大都市の一つだ。アリフォードは、様々な種族が共存する、他の大陸にも稀を見ない場所だ。他の大陸では、人族と獣人族の共存などあり得ないが、ここアリフォードでは、様々な種族が共存し、共に迷宮に挑んでいる。迷宮という共通認識によって人族と獣人族の共存が成されている。
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「さて、じゃあこれからどうする?」
『妾は早く迷宮に行きたいのじゃ!』
『クレア、ちゃんとさっきの話聞いてたの?』
『話って何がじゃ?』
「おい、マジかよ。言ってただろ、冒険者のDランク以上にならないと、迷宮には入れないって。」
『何っ!じゃあ早くDランクになって迷宮に入るのじゃ!』
「ああ、そうだな。じゃあ冒険者ギルドに行くか。」
『うむ!』
『はい。』
とりあえず誰かに冒険者ギルドの場所でも聞くか。
「すいません、冒険者ギルドってどこにあるか知ってますか?」
「冒険者ですか?冒険者ギルドだったら、あの看板のところですよ。」
と、女性は猫の看板に指を指す。
「何で猫の看板なんですか?」
「さぁ?私が聞いた話では、ギルドマスターは猫が好きだから、猫の看板にしたと聞きました。」
「そうですか。冒険者ギルドの場所、教えてくれてありがとうございました。」
「いえいえ。」
そう言って俺は冒険者ギルドに向かった。冒険者ギルドには5分もかからずに到着した。
「よし、じゃあ入るか。」
ドアノブを押し冒険者ギルドの中に入る。中はニ階建てになっていた。一階は受付と酒場になっていて、二階は受付だけのようだ。昼間だからか人の数は多かったが、空いている受付を見つけたので、そこに向かう。髪はウェーブのかかった茶色で、身長は160センチくらいだろうか。目肌立ちもしっかりしている美女だ。一応鑑定してみるか。
名前:エレナ
種族:人族
性別:女
年齢:23歳
LV.17
HP:300
MP:200
STR(筋力):250
DEF(防御力):300
AGL(素早さ):250
LUK(運):30
スキル
水魔法LV2
礼儀作法LV3
危険察知LV1
算術LV3
レベル17か。この世界じゃこれくらいが普通なのか?
「ようこそ、冒険者ギルドへ。今日はどうされました?」
「冒険者登録がしたいんですけど。」
「冒険者登録ですね。分かりました。こちらの用紙にお名前と種族をご記入ください。」
渡された用紙を見て見るが、名前と種族の欄しかない。
「名前と種族だけでいいんですか?」
「はい、いろいろ書くのも面倒かと思いまして。」
「面倒って、それで大丈夫なんですか?」
「迷宮に挑戦しようとして、冒険者になる人が大勢いますので、いろいろ書いてると時間が足りないんですよね。」
「そう言うことですか。受付も大変ですね。」
「まぁそうですね。」
そう言いながら、紙に名前と種族を書く。
「書けました。」
「はい。えーと伊藤伸弥さん。種族は人族で間違いありませんか?」
「はい、大丈夫です。」
「ではこちらが、冒険者カードになります。」
渡されたのは、名前と種族それからFと書かれただけの木の板だった。
「それでは冒険者ギルドについて説明しますね。冒険者にはそれぞれ、ランクというものが存在します。ランクは一番下から、F、E、D、C、B、A、Sとなっています。ランクによって受けられる仕事も変わってきます。そして今、この都市に、Aランクは10人います。迷宮に入れるのは、Dランク以上の冒険者だけです。あと冒険者同士の揉め事については、ギルドは一切責任を取りませんので注意ください。説明は以上です。何かわからないことはありますか?」
「いや、だいたいわかったので大丈夫です。あと、ここに来る前に魔物を倒したんですけど、魔物の素材とかって買い取ってくれませんか?」
「はい、大丈夫です。こちらにどうぞ。」
そう言ってエレナさんのあとを付いていき、倉庫みたいなところに着いた。
「では、魔物の素材をこの机の上に出してください。」
「分かりました。」
俺はエレナさんの言葉の通り、アイテムボックスからゴブリン三体と、スライム四体とフリーズタイガーを机の上に出す。
「へぇーアイテムボックス持ちですか、珍しいですね・・・え?」
エレナさんは、俺がフリーズタイガーを出した瞬間呆けた声を上げた。
「どうしたんですか?」
俺は疑問に思いそう問いかけると、
「これ、Bランクモンスターのフリーズタイガーじゃないですか!!!」
エレナさんは叫び声を上げて言った。あれ?これってもしかして、面倒くさい展開になるパターン?




