2話:ゴブリン狩り
初戦闘です。
「さて、じゃあこれからどうする?俺はとりあえず町に行きたいんだけど。」
情報収集は大事だからな。
『妾は賛成じゃ。』
『私も賛成です。』
「よし、じゃあ満場一致で、町に行くか。町ってどっちだ?」
俺は辺りを見渡し二人に問いかける。
『真っ直ぐじゃ!』
「真っ直ぐ行ったら町があるのか?」
『たぶん!』
「適当じゃねーか。」
『ずっと封印されてたんだから分かるはずないじゃろ。』
まあそうか。なら仕方ないか。
「じゃあ真っ直ぐでいいか。出発!」
『お〜なのじゃ。』
『はい♪』
そうして俺は、異世界の初めの一歩を踏み出した。
✽
出発してから一時間くらいたったが未だ森の中。もしかして、真反対とかじゃないよな。
『まだ着かんのか〜』
「分からん。歩いても歩いても木しかないからマジで分からん。」
『確かにずっと木しかないですね。もしかして反対だったりしないですか。』
「今から来た道を帰るよりも、このまま真っ直ぐ行ったほうがいいと思うぞ、っ⁉」
話していると、いきなり索敵の範囲に敵の反応が現れた。歩き初めてからずっと、索敵を発動していた。索敵は、味方だったら青のマーク。殺意がなかったら黃のマーク。敵だったら赤のマークで現れる。今回は、100メートル先に赤のマークが現れる。つまり敵だ。
「100メートル先に敵がいる。」
『やっと敵が現れたか。敵は人間か?魔物か?』
「ちょっと待て。」
“気配察知”
気配察知は、気配を察知して、人間か魔物か判別したり、数も分かる。気配察知を発動して100メートル先にいる敵を判別する。
「あれは・・・魔物だ。たぶんゴブリンだ。」
『ゴブリンか。ゴブリンなら問題なしじゃ』
『はい。ゴブリンなら問題ありませんね。』
確かに、ゴブリンなら問題なく倒せそうだ。異世界に来て初めての戦いか。緊張するな。
「とりあえず距離を詰めよう。」
そう言って、ゴブリンの方に近づく。そして、ゴブリンの姿が見えるところまで来た。
「やっぱりゴブリンだったか。」
『そうみたいじゃの。血が騒ぐわ』
クレアは、なんだか嬉しそうだ。さて、どうするか。一応、鑑定で見てみるか。
名前:ゴブリン
種族:魔物
性別:雄
LV.1
HP:150
MP:70
STR(筋力):100
DEF(防御力):80
AGL(素早さ):90
LUK(運):20
スキル
短剣LV1
盾LV1
レベル1なら大丈夫か。さあ、やるか。俺は、心を落ち着かせるために深呼吸をする。俺は、これから一つの命を奪う。日本ではあり得ないが、こちらの世界では命を奪うことは当たり前なんだ。殺らなきゃ殺られる。俺は、もう一度深呼吸をする。自然と身体が軽くなる。よし、行くぞ
“縮地”
俺は、縮地を使ってゴブリンの後ろに一瞬で移動し、右手でクレアを抜き、ゴブリンの首を跳ねる。縮地は、一瞬で長距離を移動出来る技だ。そして何の抵抗もなく、ゴブリンの首が地面に落ちる。俺は、異世界に来て初めて魔物を殺した。首から血が流れ、地面には血溜まりが出来ていたが、特に何も感じなかった。
『久しぶりの血じゃ、やはり血はいいのお〜。』
クレアは、嬉しそうに言った。そうか、封印されてから血を吸ってなかったもんな。
『伸弥さん、大丈夫ですか?』
「何がだ?」
『いえ、初めて魔物を殺して怖くなってないか心配だったんです。』
そうか、心配してくれたのか。俺が、初めて魔物を殺して、もう戦えないかと思って。
「心配してくれてありがとう。俺は大丈夫だよ。レイナは、やさしいな。」
『い、いえ。別にやさしくなんか。』
「いや、レイナはやさしいよ。少なからずゴブリンの血を吸って喜んでいるクレアに比べたら。」
『なんじゃと‼妾だってやさしいところはあるは!!』
「本当か〜」
『ふん、さっきだって、剣の切れ味を落として、首を跳ねなくすることだって出来たが、初めて魔物を殺すから、初めは一瞬で、首を跳ねさせてやうと思ったのじゃ。どうじゃ。』
「いや、それってやさしいっていうのか?まあいいや。クレアもありがとうな。」
『ふ、ふん。』
レイナもクレアも、本当にやさしいな。
「よし、じゃあゴブリンをアイテムボックスに入れて行くか。」
『うむ。』
『はい。』
俺は、ゴブリンをアイテムボックスに入れてまた歩き始めた。
✽
それから二時間くらい歩き続けて、ゴブリン二体とスライム四体を倒した。俺のレベルが2になった。そして今、ヤバイ奴が俺の目の前に現れた。
名前:フリーズタイガー
種族:魔物
性別:雄
LV.40
HP:500
MP:600
STR(筋力):400
DEF(防御力):300
AGL(素早さ):550
LUK(運):50
スキル
氷魔法LV3
縮地
威圧
身体強化LV4
いや、ヤバすぎだろ、レベル40って。しかも、あいつが歩いた地面が凍ってるんですけど。身体から冷気が出てるんですけど。
『ほう、強そうなのが来たのじゃ。』
『確かに、強そうですね。』
「どうする?逃げてもいいけど。」
俺は、一応二人に聞いてみた。答えはもう分かってるけど。
『やるに決まってるのじゃ。』
『私もやりたいです。』
「だよな。」
俺はそう言って、フリーズタイガーの方を見た。確かに強いが、俺よりかは弱い。なら、勝てる。右手にクレアを持ち、左手にレイナを持つ。
「行くぞ!」
俺はそう言って、フリーズタイガーめがけて地面を蹴った。
次回、主人公ちょっと本気出します。