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シニガミ  作者: 春は化物
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一章 3部

階段を上ると、そこは思いがけない空間が広がっていた。私が地下だと思っていた、ほこりっぽくてじめじめした空間とは打って変わって、白の胡蝶蘭と芝生と、シロツメクサ...。

清々しいほど伸び伸びできる『室内』が広がっていた。ここは、日本の、なんための施設なのか?よもや自宅ではあるまい。牢獄の上に天国が広がっている。そんな悪趣味すぎる自宅があるものか。


この草原というのだろうか。草原はそこまで広くはなかった。縦横20メートルずつだろうか。あとは東に一部屋、西に一部屋。北に進めばさらに階段があり上の階に行けそうだ。


私は頭痛を堪えつつ、ふと芝生の上で寝転がってみた。


さっきの化物と相対して心拍数が急上昇している、その心を落ち着けたかった。芝生はふかふかで私の体を包み込んだ。暑くも寒くもないのだがこの芝生のやわらかさに温かみを感じた。

この部屋が明るいのは、天井が太陽さながらの眩しさと暖かさを提供してくれているかららしかった。


暖房照明というのか疑似太陽のようなもので部屋全体は暖かく、春の陽気に包まれていた。



私は安心していた。


なぜだろう?


下の階の化物はこのフロアに上がってこれない、そんな自信さえあったし、ここでゆっくりして体調を整えようとすら思ったのだ。


そして私は考えた。


私を閉じ込めたストーカーは何者なのだろうか。こんなに豪邸に住んで私を捕まえる?お姉ちゃんは...?

友達のドッキリとはとても考えられない。化物はともかく、あんなに非科学的な地下の扉があったのだもの。さわった瞬間に身体中に痛みが走る、あの扉。いくらお金持ちの友達がいたとしても神経をうたがう。


...


5分ほど、体を休めた。


その間何も物音は聞こえなかった。

今外は何時なのだろうか?家主は寝ている頃合いなのだろうか?


私は、自由な身として囚われていることに薄々気付いてはいた。しかし、だからこそ殺されやしないという自負が出てきはじめていた。

よし、とりあえず上を目指そう。あわよくばここから出るのだ。もしかしたら本当の本当にうっかりですべての鍵をかけ忘れてるのかもしれないし。


私は立ち上がり、北にある、上に続く階段に向かって歩き始めた。

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