2 目が覚めたら
どこか懐かしい記憶を見ている気がする。
そんな夢みたいな気分が、だんだんと覚醒されていく。
「うっ…」
ガチャっと音がした。足音がどんどん近づいてきた。そして、
「あっ、目を覚ましたみたいね。」
声が聞こえた方を見ると、大人っぽいけどまだまだ子供に見えるかわいい少女が立っていた。
「大丈夫?偶然倒れている君を見つけたからここまで運んできた者だけど…」
全身がふかふかな生地で包まれている。今気付いたのだが、自分はベッドに横たわっていた。
「倒れていた…?」
「そう。最初見たときびっくりしたわ。どこも怪我をしていないのに意識がなかったのよ。しかも2日も寝込んでいたわ。」
「え…?」
意味が分からない。
「あの辺で何があったの?できれば教えてほしい。」
「覚えて…ない。」
あのときはひたすら全身に苦痛を感じていて、無意識に歩いていただけだ。だから自分も把握していない。
「じゃあしょうがないよね。」
「え?」
「あーそうそう。まだ自己紹介してなかったよね?私の名前はロミネット・サイトス。気軽にロミアって呼んでくれてもかまわないわ。あなたの名前は?」
「僕の名前は…」
分からない。というか、何も覚えてない。
「えっと、もしかして何も覚えてないの?」
「うん…」
途端に彼女は何かを考え始めた。
「あ、あのー。」
声をかけようとした瞬間、
「よし、決めた。」
と、独り言を言うような声で言った。
「君、記憶が戻るまで私の家に住みなさい。別に悪いようにはしないわ。」
いきなり堂々と言われたので少し驚いた。
僕は断ろうとして「別にそこまでしなくても大丈夫ですから」と言おうとしたら、
「あ、もしかして君、断ろうとしているでしょ?」
なぜか読まれた。
「私、人を見るのが得意でね。特に君みたいなタイプはすごく分かりやすいのだよ。」
図星だ。というか、この短時間で僕の性格を見極めたというのか?僕にはそんな真似はできそうにないのに。
「と言うわけで、君がここに住むことは確定なの。どっちみち、君の行く宛なんてないんでしょ?だったら都合がいいんじゃないの?」
「確かに都合はいいんですが、それだと迷惑になりますし、確かに都合はいいんですが…」
「ならいいんじゃないの?それに、迷惑だとか思ってないよ。」
「でも…」
「それにさ、一人暮らしは結構寂しいものなんだよ。だから君がいてくれるだけで私は満足なんだよ。」
夢中になって彼女の話を聞いていたが、気付いたらベッドに上がってきていた。そして自分の胸の辺りまで狭まってきていた。
「あの、ロミアさん。ち、近いです。」
「あ、ごめんね。」
少女はすぐにベッドから降りようとした。しかしその瞬間ドアの方からガチャっとまた音がして、
「お嬢様夕食の準備ができました。言い付けどうり二人分用意して…」
入ってきたのはロミアよりも背が低くて、二つぐらい年下に見えるかわいい少女だった。しかもメイド服を着ている。
「あっ」っとメイド姿の少女は気付いたような声を漏らすと、
「す、すいません。お楽しみ中でしたか。で、では私はこれで。」
彼女からするとロミアさんが僕を押し倒しているように見えたのだろう。
そして謎の少女は逃げていった。
そのあと、二人で急いで追いかけて誤解を解いた。




