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プロローグです

初投稿。頑張って書きましたが読みずらかったらすみません

 雨音が聞こえていた。

 今の僕は、片親の乗っている車に追いかけられて山道を進んでいる。靴はボロボロで雨水は中に入りこんでいるため気持ちが悪い、何度も転んで泥だらけになったポロシャツは傷にしみた。だが、走るのを止めてしまう訳にはいかない。アレに追いつかれたら僕はきっと母の再婚相手に、殺されてしまうだろうから。


 スタミナ的な限界はとっくに迎えていた。きっと止まってしまえばもう走る事も歩くことも出来ないだろうから、必死で走った


 どうしてこんな事になったんだろう、という言葉が頭の中で絶叫して、何故か母と離婚してしまった父の姿が脳裏に浮かんだ。その途端、涙がボロボロと溢れ出て、口からは「お父さん、お父さん」と呟いているのには自分ですら気づいていなかった。


 視界が歪んでいたせいで足元が狂ったのだろう、足をつける場所を間違えて、転倒してしまう。


 雨の音が幸いして嗚咽はかき消されていくが、それは同時として、逃げる気力も、こちらに近ずいてくる足音ですらかき消していく。


 頬に痛みが走った。


「たくっ、面倒かけさせやがって!」


 胸ぐらを捕まれ地面に叩きつけられる

 近くには、傘をさした母がこちらを冷ややかな目で見つめていた。まるで、テレビででてきた犯罪者のニュースをボーッと眺めているような、そんな目で。


 目をギュッと閉じて、されるがままになっていると段々と体から痛みが無くなってきた。身体が軽くなって、これなら走れる!と思ったから、僕は無我夢中で真っ直ぐ走っていったんだ。


 次に見たのは穴のそこに僕と小さい頃に母と父がくれた人形が埋められていく光景。


 アァ、ナンダコレ


 何も分からなくなった、身体が地面から離れだして、手を伸ばすが近づこうとすればするほど離れていく。上二昇ッテ行クホド……意識、ガ……消エテ……





 


『やぁやぁやぁやぁやぁやぁやぁ、よく来たな、三番目!』


 若い男性のようなハリのある声が、突如として耳に響いた。驚いて目を開けると、その視界の先には頭から四本の角が生えており、禍々しいタトゥーが身体中に描かれた人(謎)が手を腰に当ててこちらを見ている。


「だ、だれ……ですか」


 何故、ここは何処だろうか。辺りは黒一色で、不思議なことに明かりがないのにも関わらず目の前の男の姿ははっきりと写っていた。光っているというわけではなく、圧倒的存在感と言うべきか


『我か?そうだな、我の名は邪神アーラ・ディステンダスッ、かつて大地を統べりし反逆者よ。貴様に頼みがあって貴様の前に顕現してやった、喜べ人間ワハハハ』


 何故だが、背中の方がゾワゾワとしてくる。別に彼の痛々しい自己紹介にゾワゾワした訳では無いがこう、精神的に?


「はあ、邪神に頼まれても出来ること無いかと?」


『心配するでない、寧ろ貴様にしかできんことだ、誇れよ。頼み事については、話せば長くなるのだが……簡単に言ってしまえば魔と人の均衡を保つため、貴様には別の世界で魔王になって欲しい』


「それって『あぁ、分かった!大丈夫だ質問せんでもすべて話す!』」


 質問されるのが面倒臭いとでも言うように手を振る

 そう言って、自称邪神の彼は魔王になって欲しい経緯を話し出した。恐らく色々と端折っているのだろうが、まとめると僕の住んでいた世界とは別に、魔法や剣のファンタジーのような世界があること。善神の奴らが最近勇者を呼びすぎたために魔族と人族との均衡が崩れ始めていること。均衡を戻すためにはその勇者と釣り合うだけの人材に魔王になってもらう事。その人材は誰でもいい訳ではなく、絶望の中死んでいった者が選ばれる事などなどがその内容だった。


「……魔王云々は別にいいけど勇者に勝てる自信ないよ」


 聞いている限りではとてつもなく壮絶な戦いのように聞こえてきた。そんな戦いに一般庶民で子供な自分が乗り込んでいってしまおうものならば、ただの生き返りぞんであり、無駄死にだ。そう考えて遠まわしに遠慮する


『安心せい、言われなくとも、異能と呼ばれるもので貴様と相性の最も良いやつを授ける。貴様に相性のいいものは……令意授体だな。ちょっとまてい』


 令意授体という言葉に首をかしげていたが、邪神の方はそんな小さな反応はお構い無しというようにして近ずいてきた。身体がびくついたが何とか耐えていると頭に長く伸びている爪先を触れた。ピリピリとその部分だけが熱くなる。

 数秒ほどで爪先が離されたが、別になんとも無いような……


『ふむ、いい感じか?まぁ、よい、失敗は誰にでもあるからな!』


 なんの失敗だよ。


『さて、後は……うむ、説明が面倒臭くなってきたな。よし、最後だ貴様!最後に一つだけ、問おう』


 顎に手を当て、本気で面倒臭くなってきたと言うように顔を顰めていると、何か思いついたというように頬を歪めた。目が笑っているから多分笑っているのだとは思う。


『では、馬、ロボット、蛇、悪魔、魔族、ボール。この中からなんでもいい、好きなものを選べ』


 その質問に一瞬顔を顰める。なんの意味があるのだろうかと考えて共通点らしきものを探したのだが見つからない。邪神の真意がわからないまま答えた。


「じゃあ、魔族で」


『ぬ?そうか魔族か……良し、いいだろう貴様には現世に降り立った時、魔族の世話係をつける。気になったことはそいつにきけい!それではさらばだワハハ』


 視界が、さらに暗く染まり、目の前の邪神の姿すら塗りつぶされていく途中、あぁ、僕が一体何をしたんだ。という行き場のない怒りのようなものを感じていた。その瞬間。意識、肉体の全てが浮遊感とともに、その場から姿を消える。


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