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第四節 考古学部①...まずは女顧問と出会えましょう

今後はもっと自由に前書き・後書きを書くぜ。

「お父様」とのディナーを楽しんだ後、俺は屋敷に戻されて、自分の部屋に戻った。

 ベッドに横たわって、俺は今日一日のことを思い返した。

 正確は放課後の後からのことだけど...

 あの後、すっかり忘れていたメイド長ちゃんのことを思い出した俺は、急ぎ彼女に謝る為部屋を出ようとしたら、「お父様」に呼び止められた。どうやらこの二人、メイド長ちゃんが「部屋が空に飛んだのを見たら、先に屋敷に帰っていい」という取り決めがあるらしい。

 最初から、俺と食事をすることまで彼らの予測の範疇、俺は知らず知らずに彼らの優しい罠に嵌められていた。

 いや...「彼」の罠だ。

 流石の女たらし、実の娘に対しても容赦なくそのスキルを発揮する。

 まっ、俺、心は男なので、「男」に堕ちないけど。

 その女たらしの腕に敬意を評して一緒にディナーをenjoyしたが、別に雰囲気に流された訳じゃない。

 別に雰囲気に流された訳じゃないからね!

 大事なことなので二回言いました。

 口に出していないけど...

 昨日、タマの情報を「身体能力」から「家族構成」まで、丁寧にまとめてくれたメイド長ちゃんにとても感謝しているのに、まさか「お父様」と一緒に俺を嵌めたとは...

 本当に男に堕ちたらどうしてくれるの!

 体は女だけど、やっぱ心は男だ!

 掘られたくねぇ...

 そもそも「娘」だから、「お父さん」とセックスすることは倫理上許されない!

 でも、「お父さんのお嫁さんになる」というような「娘」もいるわけだが...

 娘とだけ「幸せになる」ギャルゲーも、やったことがない訳じゃない...

 ......


 俺は一体何を思い返しているのだ?

 そもそも、俺はどっちになりたいんだ?

 男?女?

 もう「女」にしかなれないのに、未だに「男」としての自分を捨てられない。

 やっぱきっかけがないと、本気でなる気になれない。

 ま、いっか。いっそ男と幸せになる女になるのをやめ、同性愛者(レズ)にでもなろう。

 はぁ、今日はもう考えるのやめよう。早めに寝よう。

 時計が示す時間は8時、子供が寝る時間だ。

 宿題?そんなものは知らない。

 無職とは言え、何で社会人になって宿題をしなくちゃいけないんだ?

 だから寝よう、宿題を忘れて。



 次の日。

 授業を適当に聞き流して、昼休みになった時、俺は「かっこいい苗字」を持つとある先生の所に行った。


「竜ヶ峰先生。」俺は職員室内唯一白衣を着ている教師に話しかけた。


 その教師は何かの論文を書いていて、俺に呼ばれたことに気づいていない。

 いや、声をかけた時一瞬手が止まったのを見たから、気づいていない訳じゃなく、無視しているだけだ。

 別にこのくらいで怒ったりしないし、というか、俺自身も彼女の机に置いているある物体に気を取られた。


「スタンガン!」

 自分の事を思い出してから、俺は「お父様」の様々なコレクションに手を出した。


 それは全部「太古の遺物」と呼ばれていて、魔力ではなく電力を使用するモノ達だ。残念なことに、そのすべてのものが電池で動き、全部電力切れで動かない。充電器もなく、そもそも電力が通っていない屋敷では電気製品使用するのは不可能だ。

 それでも、俺は中から面白そうなものを自分の懐に入れて、「ナナエ百八(予定)の秘密道具」にしたのだが、「スタンガン」のような武器と呼ばれる「太古の遺物」は初めて見た。

 正直欲しい!例えそれが女の子が護身用に携帯するほど小さいなスタンガンでも、例えそれも恐らく電池切れしているものだとしても、俺はそれを自分のものにしたい!


「これがどういうものなのか、知っているのか。」

 隣から声がした。


 先まで俺を無視しようとした竜ヶ峰先生は、今じゃ俺の方に体を向けて、視線で俺を捉えて離さない。

 その時、俺は自分の異変に気が付いた、俺の右手はすでにスタンガンに触れる距離まで伸ばしていた。

 素早く左手で右手を掴んで、スタンガンから距離を開けると、竜ヶ峰先生からまた質問が来た。


「これは『すたんがん』というものなのか。」


 俺は何も考えずに「はい」と答えて、「知らなかったのですか?」と聞き返した。

 意外なことを聞かれたかのように、竜ヶ峰先生は一回目を大きく開けて、その後、目を閉じたまま、俺の質問に答えた。


「知らなかった。でも、今は知った。あなたこそ、どうして知っている?」

 彼女は獲物を狙うような目つきで俺を睨んだ。写真に映っている時の彼女よりも深い目の下のクマが小さな皺ができて、乾燥している皮膚に僅かだが鱗のような紋様が見えた。

 よくわからないが、彼女にとってこれはとても重要なことらしい。

 とは言え、本当のことを言うとかなり長い話になるから、俺は適当に誤魔化した。


「私、考古学が得意なのです。」

 言った後、俺は後悔した。

 今、俺の目の前にいる人こそが世界一の考古学者だと言われていることを、俺今思い出した。基本、世界一になった人達は世界一である「プライド」がある。そんな人にその人の得意学問に自分の知識を披露することは、謂わば「世界一への挑戦」となる。

 この人にもそういう無駄な「プライド」があるのだろうか。あったら、「勝負だ!」というような面倒くさい展開になりそう。


「得意...」そう呟いて、彼女は俺から視線を逸らし、スタンガンを手にして俺に差し出した。


「この『すたんがん』というものは、何の為のものだ?」

 彼女からスタンガンを受け取り、俺はそれを空に向けて、スイッチを入れた。


 パチパチ。

 音が聞こえたお陰で、このスタンガンがまだ使えることが分かった。


「これは護身用の武器、魔力を使わず、弱い電撃で相手を攻撃するものです。」

 俺がスタンガンのスイッチ入れてから、キラキラした目で俺を見つめる竜ヶ峰先生は、感動的な声を発して、すぐに自分の机の引き出しから別の「太古の遺物」を取り出した。


「これは何だ?」

 俺はその「遺物」を手に取り、まじまじと見つめた。


 一見すればただの車の玩具にしか見えないあの「遺物」は、よく見るとそれがパソコンに使われるマウスだとわかった。パソコンに繋ぐコードが見当たらないので、無線タイプのマウスに違いないが...どう説明すればわかってくれるだろう。

「パソコンに使われるもの」とか言ったら、「パソコンって何?」とか聞かれそうだ。どうしよう?

 ...適当に誤魔化そう...


「それは車を模して作られた懐中電灯です。」俺はマウスの裏を見せた、「ここ、小さな電灯がついてあるでしょう?そこから微弱な光を発するのです。ただ、今は電力が切れて、使えないんです。」


 俺はマウスを無表情のままの竜ヶ峰先生に返した。

 使え道ないから、こんなのいらない。

 しかし、先生はまた次の「遺物」を取り出した。


「これは何だ?」

 俺はその新しい「遺物」を見つめて、ようやく理解した。


 まず、竜ヶ峰先生は「くだらないプライド」を持つような人じゃない。寧ろ俺のような「小娘」のいうこともきちんと聞くような人だ。信じているかどうかは知らないが、恐らく彼女は俺の回答を一つの「可能性」として考えている。

 そして、この世界の考古学――つまり俺の世界では「科学」と呼ぶもの(たぶん)――は特別凄い学問ではないらしい。何せ「世界一の考古学者」と呼ばれている彼女ですら、()()()()の知識しかない。

 彼女が俺に見せたのは、リモコン。ボタンはいっぱい付いているので、恐らくDVDプレイヤーまたはテレビのリモコンだろう。

 これ単体では何もできない。さっきのマウスと同じ、持ち歩いてもしょうがない。だから、彼女はきっとリモコン(これ)のことを何にも知らない。考古学者は大して凄くもない。


 どうしよう?

 この「世界一の考古学者」にどう説明すればいいのだろう。

「テレビを操作するもの」とでも言ったら、「テレビは何だ?」とか聞かれそう。そして、「テレビ」から「映像」、「映像」から「カメラ」、「カメラ」から「録画」とか、際限なく聞いてくるでしょう。

 それは...とても面倒くさいな...


「ごめんなさい。わかりません。」知らないフリをした。


 竜ヶ峰先生は「そうか」と言って、俺から完全に興味を失せて、再び自分の論文に視線を戻した。

 別に興味を持って欲しくはないが、考古学部の顧問だし、鍵が彼女の手にあるということなので、最低限彼女に「考古学部」に入ることと、鍵をもらって部室に行かなくてはいけないと思う。


「竜ヶ峰先生!」

 もう一度彼女の苗字を呼んだ。その直後、風が髪を揺らした感じがして、いつの間にか眉間にボールペンが突きつけられていた。


 怖い...

「苗字で呼ぶな。」竜ヶ峰先生は淡々とそう言った、ボールペンを握る手を引っ込んだ。


 怖い(こえぇ)。え?なんで俺はこんな怖い目に遭わなくちゃいけないの?

 わからない。この世界の人間はこんなにも簡単に人を脅すのか。

 ムカつく。


「じゃあ、紅葉ちゃん。ちょっと話があるんだけど...」一転して態度を変えてみた。


 力もないのに喧嘩を売るバカなガキみたいだな、俺は。

 竜ヶ峰先生は俺を無視してペンを動かしているが、文字列の最後に小さな丸を付けたら、論文の裏を上に向けて、椅子を回し、正面を向いてきた。


「何か用か。」

 怒らなかった...

 ふざけた俺に怒りを感じていないのか。

 この人の怒りポイントがわからない。


「実は私、もう部員のいない『考古学部』に入部したいのですが...申請用の書類が欲しいのです。」


 まだ部員でもないのに、いきなり「鍵が欲しい」と言っても、くれる訳がないから、咄嗟に「申請書類が欲しい」に変えた。


「どうしてこの時期に?」

「別に大した理由はありません。」敢えてここで言葉を止めた。


 さらに聞いてくるなら、「お父様に頼まれた」と答えるが、そこからさらに話が続けてしまうから、嫌なんだ。それをできれば避けたいので、()()()短い回答をした。

 幸い、竜ヶ峰先生も俺にそこまでの興味がない様子で、深く聞いて来なかった。

 彼女は引出から申請用の書類を何枚出して、俺に渡した後、ついでに一つ鍵を渡した。


「部室は部活棟の203だ、片づけていないので埃を被っていると思うから、勝手に片づけていい。鍵も返さなくていい、書き終わった入部届だけ持ってこればいい。私は基本そっちに行かないから、部員の募集も部活動も勝手にやればいい。」


 つまり「丸投げ」ということだな。こっちも好都合だけど...

 俺は一礼をして、竜ヶ峰先生から離れる前に、最後に一言を聞いた。


「紅葉先生。苗字さえ呼ばなければ、どう呼んでもいいのか。」

「ご自由に、お嬢様。」返ってきた言葉は驚くものだった。


 俺は彼女と初対面のはずだが、彼女は俺を知っているのか。

 いや、教師だから、全校生徒の名前を憶えているだけかもしれない。

 でも、彼女はそういうタイプの人間じゃないみたい。

 と言っても、俺はそもそも彼女と初対面だから、彼女はどういう人なのかが判るはずがないんだけど...


「本当に記憶をなくしたみたいですね。」そう言って、竜ヶ峰先生はスタンガンを手にした。

「お嬢様のことを知っているのは、昔、お嬢様の屋敷でメイドをしていた時期があったからです。深い理由はありません。」彼女はスタンガンを俺に向かって差し出した、「この『すたんがん』というものは私の所持品だ、久しぶりに会った記念...と言ってもお嬢様にとっては『初めまして』の記念だ。受け取ってくれる?」


 それは願ったり叶ったりだけど...


「ありがとう、ございます。」


「いいの?」とかを聞かずに、俺はスタンガンを受け取った。

 聞いたらきっと話が長くなるし、下手したらスタンガンそのものが貰えないかもしれない。

 ...ので、俺は図々しくスタンガンを貰った。


「では、失礼します。」

 俺は職員室を出た。


 出る時に、微かに竜ヶ峰先生の「メイドに興味ないのは昔と同じ」の呟きを聞こえたが、無視することにした。

 ...そんなつもりはないんだけどな...


 部活棟。

 ただの部活棟だ。

 紹介するほどの特徴もないし、紹介する気も起きないくらい地味だ。

 この世界のものは何故か俺の住んでいる世界のものとほぼ大差がない。魔法を使えるから、人類も別の進化を遂げると思ったのだが、結局、あまり変わりない「現代」になるんだな。

 しょぼ~...(´・ω・`)


 放課後、俺は「部活棟」に来た。

 少し変わったものが見たいから、他の部活を覗いたら、その部活のメンバーは魔法を使って部活らしい何かをしているのを見れる。が、「写真部」はカメラを使って写真を撮り、「文芸部」はペンを使って文書を書く。ペンは握りやすい形をした「木の棒」で無限に文字を書ける、そこは魔法らしいところだが、だから何?って感じで地味。

 今まで敢えて部活棟に来ないようにしているのは、魔法に対する期待はまだ少し残っているから、失望したくない。そして今日、遂にここに入ることになったが、俺は再び「魔法」に失望した。


「俺の世界と大して変わらねぇじゃねぇか!」と叫びたくなった。

 ため息をつき、俺は「考古学部」の部屋に入った。

 ......

 やはりな...

 机、椅子、段ボール...変なものは何もない。

 目を凝らして周りを見ても、懐かしいものしか目にしなかった。

 とりあえず使えるようにリフォームしようと段ボールを幾つ開けると、それなりに重い黒い四角なものが現れた。


「パソコン...」

 この世界で目覚めてから、確かにパソコンに触れられなくなったが、いざ本物と出会っても、電力が残っているとは思えない。


 微妙に喜べないな...

 もう少し周りを探してみると、コンセントとコードも見つけてしまったので、試しにパソコンに繋げて見た。

 懐かしい音と共に、ディスプレイが明るくなった。


「よっしゃぁぁぁ!」


 俺は期待しない、期待しない、期待しない。

 そう自分に言い聞かせていたが、いざ起動できた瞬間、俺は女の子らしくない声を出してしまった。

 え?何?なに?ここ、電源ついているの?電気流れているの?電力が通っているの?

 ハハッ!嘘!え?パソコン使えるの?ウヒョッ、最高じゃねぇスか。最高ぅぅ!じゃねぇスか。

 早速パソコンをいじり始めた。マウスはないが、タッチパッド付きのノートパソコンなので、操作に全く問題はない。中のOSは俺が愛用しているパソコンよりちょっと古いが――7かな――それでも充分に使える!

 ネットに繋げられる?と思ってネットワークを探してみたら、なんと無線LAN内蔵されているパソコンだという「ご都合主義」。そして、何故か繋げられる!

 なんで?衛星はあるのか。電波通っているのか。何で魔法の世界にパソコンがあるのだ?しかもネットに繋げられる!?

「ご都合主義」最高!「ご都合主義」万歳!

 電力と電波に関する知識は全くないが、使えるのなら万々歳だ!


 俺はこの時に、ようやくこの部活棟の異質に気づいた。

 ここは俺がよく目にするような場所である。だからこそこの世界では異質なのだ。ここの部屋は全て照明器具がついている、スイッチがついている。

 基本魔法で明かりを灯す場合、持続性のある「照明系魔法」を使うか、魔道具を使うのだが、その場合は「呪文」を詠唱するだけ。「充電」ではなく「充魔」の時も、手で魔道具に触れるか、自動補充に任せるかって、「スイッチ」というものはないんだ。

 しかし、この部屋、いや、この部活棟にはそれがある。それは、つまり、ここは...

 (タワー)...


 この世界で、地下室(ダンジョン)と真逆の存在、(タワー)。それはいくつの仕掛けが設置された神の住処。人間はそこに住み着いた獣を駆逐し、仕掛けを突破すれば、自分たちの住処にできる。

 まぁ、俺から見れば、廃棄された無人住宅を無法侵入した上に、勝手に自分たちが住めるように改造しただけなんだけど。

 まあいい、お陰で俺はまたパソコンを使えるようになった。

 ヤッホー!



 パソコンが使えるとわかってから、俺は部屋の整理をやめた。

 俺は真っ先にネットの調子を試す為、何かのキーワードを入力して調べてもらった。


「バイコーン。二本角でユニコーンの亜種、馬の姿をしている。」


 俺が最初に調べた言葉はリンの種族名だ。あの人に乗られて喜ぶ「オレっ子」はどうして喜ぶのかを、俺はとっても興味がある。

 しかし、出てきた検査結果は芳ばしくない。何故かどう探しても、出てくる結果は伝説上の動物のバイコーンで、「人間」のバイコーンではない。

 理由は何となく想像できるか...


「バイコーンはユニコーンの亜種、馬の姿...私に乗られて喜ぶのは『馬』だからかな。でも、馬は人に乗られて喜ぶ生き物なのか。馬じゃないからわからない。」


 だとしたら他に理由があると考えられる。


「ユニコーンは純潔な乙女にしか自分の背中に乗せない、貞潔の象徴。つまり、『処女フェチ』というとてもユニークなフェティシズム(フェチズム)を持つ『コーン』だ。バイコーンはユニコーンと違って二本の角を持っている。つまり両刀、男も女もイける淫乱。だから女の私にでも背中に乗せられる。」


 まじか...

 まじかよ!

 自分が勝手に想像し、出した結論に驚きを隠せない。


「オレっ子」は女もいけるから、「オレ」という第一人称を使っているんだ。女の子だけど、両刀なので女にもいける両性愛者(バイ)だ。

 バイ!?

 だから「バイ」コーンか!だから「バイ」コーンか!

 自分の想像が意外と理屈があっている気がする!

 そうか...リンは、藤林ふじばやしりんは百合だ。百合だったんだ!

 素晴らしい!

 けど嫌だ...


 俺は百合にもイケル口だが、それは女同士が仲良すぎるボディタッチを見る時や、男としてその輪に参加する時だけ、女の子になって同性に触られるのは嫌だ。

 つまり、俺は男として百合が好きだが、女の子になってユリるのは嫌いだ。

 すまんな、リンちゃん。君の気持ちに答えてやれない。

 君か俺か、どっちか男になったら、また考えよう。



 存分にパソコンを弄ったら、俺はあることに気が付いた。

 ネットの情報はもしかして、ずっと更新していないのかも。

 だとしたら、俺が昔から考えていた「(元人類)滅亡説」にも辻褄が合う。

 少し残念な気持ちもあるが、どうやら俺は異世界ではなく、「未来」に来たようだ。


 俺は科学者じゃないから、この説を証明する為に何か論文を書いたりはしない。こうなったものは仕方ない。今の俺ができることと言えば、せめてあの実の妹(生意気な小娘)が幸せな人生を送れたことを祈るだけだな。


 はぁ...

 気を取り直して、俺は申請書に署名をした。

 魔力が殆どないとはいえ、ペンに文字を書かせるくらいな魔力は持っているらしい。ずっと書いていると疲れてしまうが、そんなの、元の世界でも同じだ。


「理由」はどうしよう?

 ま、適当に「やりたい」とか書けばいいだろう。アノ先生ならきっと何も言わずに許可してくれる。


 これから、俺が部員を集める、俺が部長だ。できれば変な奴ばかりが集まって来てほしい。

 どっかの救助団みたいに、世界を面白くおかしくしようぜ。

 そう意気込んで、俺は早足で部屋を出ようとした。

 だが、俺の手が引き戸に伸ばした時、いきなりドアが開いた。

 俺はびっくりして足を滑らせて、そのまま前に倒れ込んだが、柔らかい壁にぶつけた感じがした。


「え!」誰かの驚き声が聞こえた。


 両手で「壁」に触れて、ほんわりとした暖かさが感じた。ギュッて力を入れたら、何かの布を掴んだ感触がした。

 多分、俺は誰かとぶつかったのだろう。

 相手の顔を確認する為、目を開けて上に向いたら、約三か月ぶりの懐かしい顔がそこにあった。

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