第三節 お父様...女だらしの才を娘相手に発揮しないで下さい
イケメンなお父様とのお話し。
俺はイケメンが嫌いだ。
自分の事は「世界一天才」だと思っているが、顔に特に自信はない。
女友達何人いるが、彼女は一人もいなかった。結局俺はモデないんだと、20歳の誕生日にその事実を受け入れた。
別にラブラブカップルが嫌いじゃない。「うざい」と思い、「爆発しろ」と呪うが、羨ましいとも嫌いとも思ったことがない。
しかし、イケメンは嫌いだ。彼らは何人の女とも仲良くするし、きっと人に見えないところでえろいことをしているだろう。それを思うと羨ましくて仕方がない。
...ほんと氏ねばいいのに...
「お父様」はその代表とも言えるイケメンだ。40を過ぎているにも拘らず、未だに女性からのアプローチを受けているらしい。しかもある時期から「落ち着いた」らしく、自ら誘っていないらしい。
全部は又聞きだが、本当の事に違いはない!羨ましい限りだ、クソか。
放課後、俺は校門でメイド長ちゃんと合流し、転移魔法陣の場所へ行った。
車や飛行機のないこの世界では、移動手段は主に馬などの獣に乗るという方法。しかし、その獣のタイプによっては掛かる料金も半端じゃない。何せ獣の種類が本当に様々で、飼育方法も全部違うし、それぞれの寿命の制限もある。車より維持費用が高い事は多々ある。
それを考慮しての値段だ。なので、多くの人は短距離の時、獣を乗るより、自分の足に頼ることが多い。運動系ならそれでも良いのだが、俺のような文理系は絶対に自分の足で何千メートルを歩きたくない。
このような理由もあって、遠くの場所に行く場合は不便じゃない?と思いきや、この世界に「転移魔法陣」というものがある。
転移魔法陣は一瞬で人や物を別の場所に転移する魔法がかけられた特殊なスペース。それは主に「都市間移動」に使われる交通手段であり、基本は国の役員が管理する場所である。
だが、転移魔法陣が人や物を転移できる場所は基本「転移魔法陣」のみ。各都市の範囲はかなり広く、都市から都市へと転移した後、その都市の中のどこかに行くに別の「足」に頼ることが多い。その所為か、転移魔法陣の近くに必ず大きな馬駐めがあり、様々な「タクシー」がそこで待っている。休日にでもなれば、転移魔法陣はいつも旅行者とかで満員状態。役員が何十人居ても、膨大な旅行者の数に手間を取られる。この不便さに関しては元の世界とさほど変わらない。
しかしぃ♡、「お父様」ほどのお金持ちともなれば、「転移魔法陣」を設置する権利を国から買い取れる。高い金額を支払って、彼は国から一対の「転移魔法陣」を設置する権利を買った。
その一対の魔法陣の片方は彼のグループの本社、もう片方は俺が住んでいる屋敷のいる敷地内にある。パスワードみたいな特殊の呪文を詠唱することによってようやく起動できる「特注品」だ。
世界が変わっても、「お父さん」という「種族」は「娘」にアマイ生き物だな。
ちなみに、「転移魔法陣」というものは魔法発動時に魔力を使うが、使う魔力は「呪文詠唱者」の魔力ではなく、大地や空気からの魔力を使う、その為に俺への影響が少なく、俺を別の場所へ「無事に転移」することができる。
俺の推測ではあるが、この特性は多分他の「魔法陣」にもあると思う。もしかしたら「魔法陣」を使えば、俺にも魔法が使えるかもしれない。
ともかく、俺は今メイド長ちゃんと一緒に魔法陣の上に立ち、彼女が魔法を発動するのを待っている。
「お嬢様、目を閉じて、少し我慢しててください。」
俺は言われたまま目を閉じたら、次の瞬間、メイド長ちゃんから「もう目を開けても大丈夫です」と言われた。また言われたまま目を開けたら、俺達はすでに別の場所に立っていた。
え?呪文は?何も聞こえなかったよ!
「どうですか、お嬢様。気分が悪くなっていたり、しておりませんか?」魔法陣を利用した魔法とはいえ、やはり俺への影響はあるのではないかと心配するメイド長ちゃん。
「全然、大丈夫だよ。」スケート選手のように体を回して、「気分は悪くなってないよ」という事をメイド長ちゃんに示した。
「それでは、参りましょうか。」と言って俺を「お父様」のところに引率しようとするメイド長ちゃん。
「待て!」俺は彼女を呼び止めた、「今、呪文を詠唱した?」と聞いた。
「はい。」
「何も聞こえなかったが...」
「旦那様が設置した魔法陣には呪文詠唱後、その呪文が自動的に人の記憶から消える魔法がかけられています。」
えぇぇ!そんな都合のいい魔法があるの?
あるだろうな。俺には考えられないが、こんな都合のいい魔法はきっとあるだろうな。
このような俺には考えられない色んな魔法があるだろうな...
「はぁ、わかった。行こっか。」
自分の常識はこの世界の常識とずれていることもいい加減慣れた俺は、基本知らない事を深く気にしないようにしている、ってないと精神崩壊を起こしてしまいそうだ。
メイド長ちゃんは「かしこまりました」と言って、俺と「空飛ぶボックス」に乗って、「社長室」へと向かった。
飛んでるよ。翼もないのに、空を飛んでる。
今更驚かないけどな...エレベーターみたいなものだよ...
はぁ...
俺達は「社長室」という空き地に来た。
「空き地」と言っても、メイド長ちゃんから聞いた話だと、実はここ、雨風を防ぐ魔法や温度調整などの魔法ががかけられているのだ。天井も壁もないのに室内のような心地よさが味わえるから、もしかしてとても安く済ませた新世代部屋なのか?と思ったら、持続魔法をかける方が高くつくらしいから、「新世代部屋」であっても安くはない。
この「空き地」を「社長室」にした理由は金銭面に問題がある訳じゃない、という事だな。
では、どうしてこんな「部屋」にしたの?
...などのことを俺は全く気にしていない!「多分お父様の趣味だろう」っと自分で納得した。
そしていざっ「部屋」に入ろうとしたら、いきなり空間が揺れるように見えて、知らない女性がいきなり現れた。その女性は丁度俺が「部屋」に入ろうとする場所に現れて、メイド長ちゃんに引っ張られなかったら、きっとその女性とぶつけてた。
俺と危うく衝突する女性は俺に気づかず、どこかに走っていた。一瞬だけだが、女性の目には涙が含んでいたように見えた。
誰かが、彼女を、泣かせるようなことをした!
それは誰?ふんっ!きっと「社長室」にいる人に違いない!
俺は理由を深く考えずに、「お父様」が悪いと決めつけた。
「お嬢様、大丈夫でしょうか。」
俺を懐に抱き込んだメイド長ちゃんは優しく声をかけた。
俺は背中で彼女の体温を感じながら、頭を上げて彼女を見つめた。後頭部で感じる彼女の胸はとても柔らかくて気持ちがいい。優しく俺を見つめて微笑む彼女はなんだか「お母さん」で感じがする。
お母さんか...
彼女を、あんないつまでも子供のように、俺と父に甘える弱い女に一緒にしたくないな。
そう思うと、俺は「大丈夫だ」と言い、速やかにメイド長ちゃんから離れた。
「では、軽く手をこの辺りに当ててみてください。」そう言って、メイド長ちゃんは何もないところに手を当てて、俺にもそこに手を置けとても言いたげに待っていた。
俺は彼女の指示に従って、手をその何もない場所に当ててみた。そこは確かに何もないように見えて、実は「壁」のような何かがある。柔らかくて触り心地はいいが、何もないように見えるから逆に寒気がする。
「はい、終わりです。もう手を下ろせば入れますので。私はここでお待ちしておりますので、どうぞお入りください。」
そのまま入っても大丈夫なの?ドアを叩かないの(叩けるドアは見当たらないけど)?「失礼します」とか言った方いいの?
まぁ、いっか。
俺は深く考えずに!深く考えずに!メイド長ちゃんが指差した場所に自分の体を乗せて、「部屋」へ入った。
「深く考えない」のは結構辛い...
「部屋」に入ったら、景色が一変した。壁も天井もやはりないのだが、机があり本棚もある。金庫も椅子も、一通りのものが揃っている立派な「社長室」になった。
「社長」以外は...
当の社長、俺の「お父様」は俺を見て、とびっきりな笑顔を見せた。
「待ってたよ奈苗!我が愛おしい娘よ!」
なんだか初めて見た時のキャラと違う!なんだかキメている!
「お久しぶりです、お父様。」一応お淑やかな娘を演じてみた。
「ああいいのいいの、そんな演技をしなくていいから。」なぜか「お父様」は手を左右に振って、俺にそんなことを言った。
「もう聞いたよ。学園では男を手球に取るように動かしているじゃないか。流石私の娘、私に似て素晴らしい悪人だ。」
え?そんな風に誤解されているのか。
「いいえ、私はそのようなことを致しておりません。」
「だからいいって、家族にまで嘘を付かなくてもいいから。そんな気もないのに色んな男と仲良くして、告られたらすぐに酷い振り方する、相手に忘れられない傷をつける。もう学園の外にも広がっているかなりな噂になっているよ。」
そこまでの大事になっているのか。
「お父様。私は彼らで遊んでいる訳ではありません。結果的に彼らを傷つけてしまったが、私は本心から彼らと仲良くなりたいと思っている、友達として。」
「しかし、結局は彼らに勘違いさせて、君のことを好きになってしまった。違うか?」
「...遺憾なことにそうなってしまっています。」
「だったら、噂になっても仕方ないよな。悪女と思われても仕方ないよな。」
「...はい。」
何だ、この感じ?何故か立って居られなくなる、何故か酷い吐き気がする。
「君は不謹慎に多くの男と仲良くした、そして何人もの心に傷をつけた。君は本心から彼らと友達として仲良くしたいと言っているが、他人からはそう思われていない。クラスの中で君は女子受けが良くないことに気づいているでしょう?」
「...はい。」
女生徒とあまり喋らないが、それは自分の中身が男性だから、仕方のないことだと納得している。けど、女子として生きようと俺は思っていた。女生徒と仲が悪くても、「中身が男だから」という理由は俺の「覚悟」に通じない。なのに「納得した」という事は、つまり実は女子に嫌われているという現実に、俺自身がそれに気づきたくなかったのだと、俺は自分に嘘をついているのだと。
「なら、君はやはり『悪女』だ。評価というものは一人でするものではない。君は自分が『悪女ではない』と言っても、君の行いは『悪女』そのものだ。だから噂になる、だから人に嫌われる。」
何だこれは?何なんだこれは?
何故か目眩がする。何故か耳鳴りがする。
何だこの嫌な気分は...
「私は、そんなつもり全然なくて、彼らで遊ぶつもり全然なくて...」
少しでもこの嫌な気分から抜け出したくて、無理に言葉を捻り出したが、その言葉はとても単調で、言い訳にすらならない。
「人に誤解されて嫌われたくないなら、どうすればいい?」
「え?」
どうすればいい?どうすればいいんだろう?
俺はどうすれば人に嫌われない?どうすれば人に誤解されない?
いや、違う。お父様は一体、私にどう答えてほしいの?どんな答えなら、お父様は私を許してくれるの?
わからない!何を言えばいいのかがわからない!
「わからないなら、教えてやる。」そう言って、お父様の顔から笑顔が消えた。代わりに見せたのは、「看護院」の時に見せた真面目な顔。
「自分の行動をもっと慎め!男子ともっと距離を取れ!自分の容姿は人を魅了できるものだと理解したのなら、気のある素振りを見せるな!判ったか!」
俺は「お父様」の声に気圧されて、「はい」としか答えられなかった。
事はすべて終わったのに、心の鼓動は一向に静まらない。深呼吸を繰り返しても、喉にものが詰まっている感じが消えない。目が見えない、耳が聞こえない。
何だこれ?わからない。
これが「プレッシャー」というものなのか。
突然、頭が撫でられた感覚がした。朦朧とした視界に何とかお父様の姿を捉えた。
「これを飲んで。」そう言って、お父様は俺に水が入っているコップを渡した。俺はそのコップを手で受け止めず、口だけで近づいた。
コップが自分の唇に当たった感触がした。その後、水が口に入る感触がした。そのまま水が喉を通る感触を感じながら、俺の心がようやく落ち着き始めた。
何度もお父様に頭を撫でられて、深呼吸を繰り返している内に、耳も聞こえるようになって、目も見えるようになった。そこでお父様もようやく俺から離れ、「設置」と言い、俺達の間にフカフカなソファーを造った。
「すまないな、奈苗。メイド達の報告を聞いて、ちょっと奈苗のことが心配になった。厳しい叱り方をしたが、すべては奈苗の為だと理解してほしい。」
「ありがとうございます、お父様。」礼を言った。だが、我儘な俺は叱られたことにとてもムカついた。
「しかし、お父様。『私に似て』というのはどういうことでしょうか。」
俺より俺の事を知っている「お父様」に一矢を報いてやりたいと思った。恩を仇で返す行為だ。
「あぁ、それは...」お父様は言葉が詰まった。「異性に受けがいいという意味で、深い意味はないんだ。」
異性に受けがいい?
今の俺は可愛い女の子なので、異性というのは男性のことだ。なら、お父様にとっての異性とは?「異性に受けがいい」という言葉の意味は?
...女にモテる!
一瞬で「お父様」への怒りを思い出した。
「『お父様は異性に受けがいい』っと...」
「まぁ、その、昔の話だ。今は違うよ。」
昔の話、ねぇ...
「さっき、ここから出て行った女性と遭った。彼女はお父様の、なに?」
「へ、変な勘違いをするな。ただの友人だ。」
友人、ねぇ...
「泣いているように見えたが...」
「あぁぁ...きっと砂が目に入ったのではないのかな。」誤魔化そうとする「お父様」。しかし、その誤魔化し方がとても下手だ。
「お父様。お父様は言いましたよね、『家族にまで嘘を付かなくてもいい』って、仰いましたよね。私、お父様の家族。私に嘘をつきますか。」
この言葉を聞いて、お父様は苦笑いを見せて、遂に観念した。
「彼女は...昔の友達だ。ちょっと特殊な関係な...お友達だ。」
「セフレですか。」
「『セ』ッ!」「お父様」は狼狽えた。
「セフレですか。」俺は恥らわず質問を聞きなおした。
「...」
無言。
俺も無言で返すが、両目でしっかりと「お父様」を睨んだ。
「セ...フレ、です。」今回は「お父様」が俺に気圧されて、敬語まで使って答えた。
...この野郎、羨ましいことをしやがって...
脳内でチンピラっぽい言葉で「お父様」を罵った。
「お父様死んでください。」
リアルでお淑やかに「お父様」を罵った。
「お父様」は一回咳払いをして、「今日はお前を呼んだ理由を教えよう」と言って、話題を変えようとする。
「昔、セフレ何人います?」
俺は「お父様」の言葉を無視して、「お父様」に追い討ちをかけた。
「奈苗。年頃の女の子が『セフレ』、『セフレ』を連呼するものじゃないよ。」苦笑いを見せるお父様。
自分の爛れた「性活」を娘にばらしたくないよね。
知るか!
「何人もいますよね。」笑顔で追い討ちをした。
もうこれ以上答えたくない「お父様」は俺を無視することに決めた。
「実は我が校、『私立一研学園』に...」
「お父様死んでください。」
「...『考古学部』という部活が...」
「お父様死んでください。」
「...今年でゼロ人にな...」
「お父様死んでください。」
「...」
「お父様死んでください。」
「ああもう!わかったよ!」「お父様」が頭を抱えて、「教えるから、もうその言葉をやめろ」と言って、俺に屈した。
よし、勝った!
「お父様」が右手を出して、表を上に向けて「来い」と言った。その直後に、彼の手のひらに一枚の写真が現れた。
「これは私の高校の卒業写真だ。これを見て説明するが、予め覚悟をした方がいい。」
俺は写真を良く見える為、「お父様」の側に寄った。
「で、お父様の『セフレ』は誰ですか。」
「お父様」は一人の綺麗な女子生徒を指した。
「他は?」
「お父様」は別の一人の可愛い女子生徒を指した。
「他は?」
「お父様」はまた別の一人凛々しい女子生徒を指した。
「...他は?」
「お父様」はさらに別の一人胸の大きい女子生徒を指した。
段々と殺意が沸いてきた。
どいつもこいつも可愛い女の子ばかりだ!このクソ野郎は何人の可愛い子を食ったんだろう。
「残りの全員を一人ずつ指差して。」
「お父様」はゆっくりと何人の可愛い女の子を指差してから、手を止めた。
手を止めたけど...
「もう他にいないの?」
「お父様」は答えない。
予想通りだ。
くそ!やっぱりまだいるんだ!「お父様」のセフレ!
「誰?」
「お父様」の指を震えて、写真の誰かを指そうとした。
俺はもう一度「誰?」と聞いて「お父様」を催促したら、「お父様」は一人の大人の女性に指差した。
「お父様の担任教師じゃねぇか!こんちくしょう!」
俺はブチ切れて、後ろから「お父様」の首を腕で絞めた。
非力なカメレオンだけど、同じカメレオンの「お父様」が苦しそうに見えたから、少しくらい効果があるみたいだ。
しかし、胸が圧迫される為、俺の方が呼吸がし辛くなったので、ある程度「お父様」を絞めた後、俺は彼を解放して、彼の正面に戻り、足を組んで座った。
本音を言うと、怒りはまだ消えていない。汚いからしなかったが、今すぐにでも「お父様」のその綺麗な顔に唾を付けたい気分だ。
「お父様死んでください。」
最後に一回だけ「お父様」を罵った後、俺は腕を組み、「お父様」を見ないようにと顔をそらした。
とっても気まずい空気になった。
と言っても、「気まずい」と感じるのは「お父様」だけ。「お父様」に怒りを覚えている俺は別に気まずくても気にしない。
この空気を換えるべく、「お父様」は口を開いた。
「奈苗。あの頃の私は確かに良くなかった。『若さゆえの過ち』と言っても許してくれないだろうか、今はもう誰とも『そういうこと』をしていない。それだけは信じてほしい。」
「はぁそうですか。」
「したことがある」という時点で貴様を許せないんだ。謝っても無駄だよ。
「今は奈苗が私の全てだ。他の女なんてどうでもいい。本当だ!信じてくれ。」
まるで恋人に許しを請う彼氏のようだ。
はぁ...
女になった俺は何で男に嫉妬しなければならないんだろう...
バカらしい...
「何か用事があるだそうですが、なんでしょうか。」俺は「お父様」に歩み寄った。
「お父様」は安心して胸をなで下ろした。
「我が校の『考古学部』が最後の三年生が卒業をして、今年でゼロ人になった。神の遺跡を研究する『考古学』はとても重要な学問だ。その為、各学校に必ず一つ以上『考古学』に関わる部活がある。それなのに、我が校の最後の考古学に関わる部活、『考古学部』が廃部の危機に瀕している。それを何とかしてほしいと思って、今日奈苗を呼んだんだ。」
「つまり私に『考古学部』に入部してほしいっと。」
「あぁ、一人でもいれば、委員のババア共をしばらく黙らせる。」
「委員のババア共」って...俺が本当のお淑やかなお嬢様だったら、「お父様!?」と驚くところだったよ。
部活か...だるいけど、人間関係を無茶苦茶にした俺にとっては、いい隠れ場所になれるな。
「わかりました。その部活に入りましょう。何とか部員をも集めましょう。」
「助かる。」そう言って、「お父様」は「飛べ」と言い、部屋ごとを空にあげた。
「鍵は今竜ヶ峰紅葉という名前の教師の手にある。高1の二学期から始まる『考古学』の授業を担当している。世界一の考古学者だから、我が校を代表する一人でもある。少し無愛想だが、悪い人じゃない。」「お父様」はそう言って、かの先生の写真を見せた。
写真に映っているのは目の下にクマがある女性だった。眠そうに目を半開きする彼女は赤黒い色な髪をして、白衣を着ている。肌色は少し悪く、蒼白な色をしている。よく見ると、右目の右下に泣きぼくろ一つあって、彼女のチャンムポイントと言えよう。
おしゃれしたら化けるだろうに、勿体無いな。
「この後、街の上空を巡回しながらの食事を予定しているのだが、どう?」
「勿論人に見えないように『隠蔽魔法』をかけている」と付け加えて、「お父様」は外を指して、部屋の明かりを消した。
外はすっかり夜になっていて、上の星の光と下の魔法の灯が幻想的な風景を作り出した。天井も壁も、地面も見えないこの部屋の中にいると、自分が本当に空を飛んでいる気分だ。
俺が答える前に、「お父様」は書架から蝋燭を取り出して、「燃」と言って火を付けた。彼はそのたった一つだけの明かりを俺の目の前のテーブルに置き、微笑んだまま俺の答えを待っていた。
はぁ、これはモテるな...
男の心を持つ俺ですら、こんな恐ろしくて美しく景色に魅了されて、うっかり彼に惚れてしまいそうだ。
「喜んでお付き合いをしましょう。」
「私」は穏やかな気持ちになって、彼に微笑みを返した。