第七節 温泉宿①...翡翠
俺はあき君と一緒に、一匹のグリフォンを乗って、「隠れの里」に着いた。
シイちゃんは大声で「お嬢様ぁ」と俺を熱烈歓迎しているのだが、身に着けているものが色々増えていた。
......
楽しんでいるようで何よりだ。
俺の嘘を信じた猫屋敷夫婦は夜奮発して、「豪華」なご馳走を出した。その上に、勇気を出して俺とあき君の帰りにグリフォンを呼んでくれた。
弟さんの話だと、グリフォンの料金はとても高く、俺の世界で言うと「黒タクシー」みたいな乗り物(俺感想)だそうなので、一般家庭が呼べるような代物じゃない。
それを聞いて、俺はすぐにあの夫婦を止めようとしたが、その時はすでに遅く、一番テンションの高い旦那の方はもう相手に話を付けていた。
その後、すぐ顔に後悔の色を見せたが、意地で料金を支払おうとしたので、俺は「守澄家の人間は人の施しを受けん」と言って突き放した。
因みに、旦那さんはグリフォン二匹を呼んで来たが、そのうちの一匹は俺が追い返した。
別にケチッという訳じゃないが、グリフォンを見た瞬間、俺は思い出した。俺はよくゲームの中でグリフォンを倒したり、乗ったりしているが、本物に乗るのは初めてだ。
見たところ、来たグリフォンに「安全装置」みたいなものが全くない。馬に着ける鞍のようなものもないのに、乗ったら落ちるんじゃないか。
俺は普通に飛行機を乗れるけど、別に飛行機の外に座っている訳じゃない。強風に吹かれたら、絶対に落ちる。
そう思うと、とても一人でグリフォンを乗る勇気が出せず、無理矢理あき君の後ろにくっついて、一匹のグリフォンに乗って旅館に帰ることにした。
ただ、今はちょっと後悔している。
グリフォンに乗っている時は「高い高い」と燥いでいたが、降りた時に今の自分は女の子であることを思い出した。
因みに、巨乳の...
つまり、グリフォンに乗っていた時の俺は、今の自分の胸を思い切りあき君の背中に押し付けていた。思春期の少年が女の子に胸を押し付けられたら、どうなると思う?
考えるまでもないね。
そして、「隠れの里」に着いた時から、あき君はまだ俺に一言も喋ってくれていない。
隣でシイちゃんがぺらぺら喋っているけど...
...「後悔」は必ず「やっちまった」後でするものだな...
「とてもお似合いです、お嬢様!」
勝手に俺の腕に腕輪を着けて喜んでいるシイちゃん。どうして女ってこんなにも喧しいのだろう?
あ、いや!女の子大好き!俺は男だ!
ただ、考古学部に居た時のあき君がいつも俺とお話をするのに、合宿に来てから殆ど喋ってくれない。
「あき君、どう?」
俺はシイちゃんから貰った腕輪をあき君に見せた。
「似合う...と思う」
目を合わせずに返事をくれたあき君。
このように、話しかければ返事してくれるけど、話は続かない。
猫屋敷邸に居た時は結構お喋りできていたのに...
「お待ちしておりました、守澄奈苗様」
「隠れの里」に着いた途端、俺達は盛大な歓迎をされた。女将を含めて、人数的にどうやら従業員全員が来てくれたようだ。
流石世界一大富豪の「守澄家」、その影響力も半端ない。
けれど、俺は衆目環視されるのは好きじゃない。
だから、俺も歓迎された途端、回れ右!早足で去ることにした。
「お嬢様!?」
去ろうとした俺をシイちゃんが慌てて止める。
「どうしたんですか。女将さんが迎えに来ているんですよ!」
「大人数は苦手なのだよ、私は。何か余計なことを言ったの?」
「いいえ。『守澄のお嬢様が来た』こと以外、何も」
「守澄」は珍しい苗字だ。「お嬢様」という単語を繋げば、自然と俺が誰なのかが分かる。
だけど、それでシイちゃんを責められない。責めるつもりもない。
「シイちゃん。女将に伝えて。
私達の世話係は一人で十分、他の人を解散して。
でないと予約をキャンセルする」
「かしこまりました」
すでにチェックインしたので、恐らくキャンセル料を取られるだろうけど...「守澄のお嬢様のお怒りを買った」という根も葉もない噂が流れて欲しくないなら、きっと俺の「頼み」を聞いてくれる。
なら、折角なので、少し俺の趣味嗜好も要求に入れておこう。
「それと、その世話係の人はできるだけ若くて可愛い女の子の方がいい。仕事をまだ覚えていない新人さんでも結構なので、『そういう子を私たちに当ててくれ』と頼んどいて」
「...かしこまりました」
うんうん。
疑問を感じながらもちゃんと俺に従ってくれる。
そういうところは好きだよ。よっ、メイドの鑑!
しばらくして、シイちゃんが一人の少女を連れて戻ってきた。
女将と他の従業員はそれぞれ自分の仕事に戻り、残った見物者も少しずつ減っていた。
俺はシイちゃんが連れてきた少女を見つめた。
まだあどけなさを残っている顔立ち、大きな瞳と短い手足、長い髪の毛が仕事の邪魔にならないよう後ろに纏めて、怯える小動物のように俺と目を合わせずそわそわする態度。
どこからどう見ても、まだ働かせていい歳になっていないような少女、精々中学生ぐらい。
田舎の古い旅館なら、跡継ぎな高校生ぐらいな娘さんを接客させるものだと決めつけた俺は、まさかの裏切りに遭い、小学生な女の子に招待させてもらった。
すごい罪悪感だ。
「こ、この度、『隠れの里』に来て頂き、誠に有難うございました。私、守澄様のお世話を任されました、翡翠と申します。よろしく、お願いいたします」
ぺこり、と90度のお辞儀をする少女。
セリフ噛み噛みじゃないか。可愛いけど申し訳ない...
俺はヒスイちゃんの頭に手を乗せて、猫を撫でるように彼女の前髪を前に、横の髪を横に撫でる。後ろに纏めている髪に触らないように気をつけている。
ヒスイちゃんは俺を不思議そうに上目で見つめて暫く、顔が融けるような表情になって、俺にされるがままに目を閉じた。
「へへ~」
ヒスイちゃんは嬉しそうにだらしない笑顔を見せた。
ヤバい!可愛い!
撫でられるのが好きな子は俺は好きだが、初対面で急に懐いてくれる子はよくない。「飴をあげるからちょっとおじさんと裏に行こう」と言われたら、素直について行きそう。
こういう純真な子を守りたくもあるが、現実を教え、純真さを失ってもいいから、自分の身を守れる位の知識をつけてやりたい。
「ヒスイちゃん。約一週間、お世話になりますね」
「はい!ヒスイ、頑張ります!」
その後、ヒスイちゃんの案内で旅館内の施設を一通り見て来た。俺は別にそこまで興味ないが、熱心に紹介するヒスイちゃんを止めるような非道な人間に成れない。
「ここがマッサージルーム、疲れた体にリラックスタイム」
ふむ、女性の利用者に俺が招待してあげたい。
「ここがトレーニングルーム、お湯に浸かる前に一汗流そう」
自分を疲れさせたいドМじゃないので、遠慮しま~す。
「ここがゲームコーナー、一人から四人まで楽しめる、様々なゲーム設備が充実しております」
テレビゲームがない時点で、俺の興味が湧くことはないでしょう。
「そしてここが、当店の一押し名物!天馬の断崖が見える露天風呂!男女分けておりますので、何時でも入れます」
男女別か。少し残念...
でも、ペガサスの断崖って、岩の形が何となく天馬に見えるから、そういう名前になったんだけど、俺からはただの馬にしか見えなかったよ!翼はどこだ?
それに、「何時でも」なら、掃除は何時にするのだろう?
俺達に旅館の案内をしている時のヒスイちゃんは、最初に会った時の緊張している様子が全くない。言葉も噛まなくなってすらすらと紹介していた。
どうやら人見知りな娘じゃないみたい。
最初の時も、恐らく「守澄」の相手にさせられたから緊張していただけだろう。
笑顔を保ち、一つずつ紹介する姿は頼もしくて可愛いが、最初のオドオドしている姿も捨て難い。
可愛い、うちの子にしたい。
「ヒスイちゃん、何か欲しいものある?なんでもあげちゃうよ」
「そんな恐れ多い!それより、当店は豪華なお食事を用意しております。如何致しましょう?」
俺の賄賂を躱して、更に話題をさりげなく変えるヒスイちゃん!
できる。この子、できる子だ!
でも、一応俺とあき君は猫屋敷邸でご飯を食べたことになっているから、晩飯を断るべきだが...
「お願いしま~す」
「わかりました!」
ヒスイちゃんの頼みを断れない...
それに、シイちゃんと紅葉先生ももう食事を済んでいるかどうかは分からないし、あき君は猫屋敷夫婦に遠慮してあまり食べていない気がするし、俺も殆ど食べていないから、ヒスイちゃんの(正確にいうと女将さんの)ご好意に甘えよう。
......
...
「卵がどんな料理にも合うのは人が生まれながら子供好きだからだと思うんだ」
テキパキ料理を運ぶヒスイちゃんを見つめて、俺は不意にそんなことを口にした。
「頭大丈夫ですか。お嬢様」
まさか紅葉先生が真っ先に俺に突っ込んだ。
「口を慎め、紅葉!例え今は教え子でも、元雇い主のお嬢様だぞ」
予想通りにシイちゃんが紅葉先生にキレだ。
紅葉先生は無表情でシイちゃんを一瞥して、何も言わずに手元の本に視線を戻した。
無視されたシイちゃんは舌打ちして、荷物の整理に戻った。
ちなみに、一人だけ男のあき君は女の輪の中で、肩身が狭いみたいで、隅に座ってこっちに直視できないでいる。
今のうちに彼と仲直りしたいのだが、胸を彼の背中に押し付けたことは別に謝るような出来事じゃない。
謝ろうにも、何を言えばいいのやら...
「守澄様、全ての用意が終わりました。ヒスィ...私はこれで失礼しますが、何がご用命があれば、ご足労をかけますが、フロントまでにお申し付けください」
ヒスイちゃんは一礼して部屋を出ようとしたが、俺はそんな彼女を呼び止めた。
「待て、ヒスイちゃん。ちょっといいか。」
手招きして、ヒスイちゃんを自分の方に来てもらった。
何事?とても思っているような顔で、ヒスイちゃんは一歩ずつに近づいてきた。
全く無防備な幼女だな。変なおじさんに騙されないかって、お兄ちゃんとても心配だよ。
そして、手を掴める距離まで寄ってきた時、俺はヒスイちゃんを抱き締めようと、その小さな右手を掴もうと手を伸ばしたが...
「あれ?」
伸ばした手が何も掴めず、空振りした。
もう一度ヒスイちゃんの方を見ると、まるで予想したかのように、ヒスイちゃんは右手だけ自分の方に引っ込んだ。
「こ、これは、そのぉ、違うんです...ヒスイは...」
ヒスイちゃんが悪いことをした子供の様に、目が泳いて言い訳を捜している。
ヒスイちゃんがどんな悪いことをしたのかは知らないが、空振りしたことで、俺はちょっとイラついた。
次こそ、逃げられないようにしっかり掴もうと決心した俺は立ち上がって、両手を広げてヒスイちゃんに迫った。
「あの、守澄様。やめて...」
ドアの方の壁まで攻め込まれて、ヒスイちゃんは逃げ場を失った子犬のように、その場で震えていた。
可愛いな。
こんな気持ちになるのも仕方ないでしょう。
俺はヒスイちゃんを捕まえて、自分の席まで連れていた後、俺は席に座って、ヒスイちゃんを自分の膝に座らせた。
実のところ、俺はヒスイちゃんに何かをしようとしているのではない。単純に可愛いから、可愛がってあげたいだけなんだ。
だから、俺は彼女を自分の膝に座らせれば、彼女の頭を撫でていただけだった。
「ふうぅ...」
俺の気持ちを知ったかのように、ヒスイちゃんの身体の力は少しずつ抜けていた。最終的には俺の胸を枕にして、全身を寄せて来てリラックスしていた。
本当に可愛いよ、この子。しっかりしているのに、意外と甘え坊の様で、今の俺の「母性本能?」をそそる。
「ななちゃんは『抱き付き癖』でもあるのか。」
ななちゃん?
話しかけてきたのはあき君だ!
ようやく俺に口をきいてくれたのはいいが、ちょっと誤解があるようだ。
「ないよ。どして?」
誰彼構わず抱き付くルカという内のメイドと比べれば、俺は殆ど人に抱き付かないよ。
「俺とななちゃんの共通の知り合いに、殆ど全員に一度抱き付いたことがあるのにか。」
「あれ?そうなの?」
おもむろにヒスイちゃんの小さな手を握って、今までのことを思い返してみた。
俺は最初にあき君と会った時は入学式の日、早めに学園に行ったら、そこにあき君が居た。あの時は彼に抱き付いていないし、彼のこともまだ知らないから、ノーカン。
次の時は考古学部再建の日だ。ドアを開けたら彼が居た、うっかり彼の懐に入った。あれは事故だから、同じくノーカンでいいでしょう。
同じ日に、俺はあき君と一緒に紅葉先生に会いに行った。テンションの高いまま、俺は紅葉先生に抱き付いた...
次の日に、あき君が星を連れてきた。その時も星に抱き付いたし、それからもよく抱き付いていた...
あき君と一緒に会った三人目はシイちゃん。長身のシイちゃんの肩に乗った俺は、「抱き付いた」とも言えるな...
その後、猫屋敷邸。タマのおじいちゃんと両親には抱き付いていないが、弟さんに抱き付いた...
今はヒスイちゃんに抱き付いている...
......
俺、「抱き付き癖」でもあるのだろうか。
「ごめん、あき君。今後気を付けるね」
口はそう言っているが、俺はまだヒスイちゃんを放さないでいる。
そもそも、俺が誰に抱き付こうか、あき君に何の関係があるというのだ?
「それより、もう食事しよう」
折角ヒスイちゃんが一所懸命運んでくれた、食べないと勿体無い。
食卓に様々な料理が載っていた。どれも綺麗に飾っていて、とても美味しそうだ。
この区に来てから、俺のお腹は全く空かないが、こんな美味しそうな料理の数々が目の前にあるんだ、食べ始めたら食欲も出るだろう。
俺の言葉に反応して、まずはシイちゃんが荷物を整理する手を止めて俺の後ろに来たが、それは「メイドとして、お嬢様の食事が終わるまで待つべし」だと気づいた俺は、手で「それをやめて。一緒に食事をしよう」と彼女に指示を出した。シイちゃんは俺の手の動きの意味を理解し、俺の指さした場所に座った。
その後、紅葉先生も本を読むのを止め、シイちゃんの対角の方に座った。まさか俺の言葉を待っていたとは思えないが、タイミング的に俺の言葉を従ったシイちゃんと同じような「メイド的行動」だ。
そして最後に、あき君も渋々に残った席に座って、丁度俺と対角の位置で箸を取った。居心地悪そうだ。
そして、全員が集まったのを見て、俺は「頂きます」と言って、皆もそれに随行するかのように同じく「頂きます」と言って、俺達は夕食を始めた。
「...不味ッ」
我慢できずに、俺はうっかり小声で呟いた。
皆の反応を伺うと、皆が食事に集中して、俺の言葉を聞き取れたのはヒスイちゃんだけの様だ。
何故だろう?
とても美味しそうに見えるのに、全然美味しくない。
味が薄かったり濃かったりで、どれも美味しくない。
おかしいな。マオちゃんの料理と比べて、全然綺麗なのに、味の方は圧倒的に勝てていない。
折角ヒスイちゃんが一所懸命運んでくれたのに、一ッ口も食べたくない!
見かけ倒しな料理だ!
「も、守澄様。もし、お口に合わないようでしたら、すぐにでも作り直します。どうか、お怒りを鎮めてください」
ヒスイちゃんは俺を何だと思っているんだ?別にこの位じゃ怒らないのに...
「お嬢様!体調は優れないのですか。横になりましょうか。」
シイちゃんが余計な心配をした。
「シイちゃんはこの料理をどう思う?」
「『どう』って、普通に美味しいと思います」
「味は薄くない?」
「いいえ、特に」
おかしい...
もしかして、不味いと思っているのは俺だけ?
「今まで、お嬢様は屋敷の料理しか口にしなかったから、それでじゃないのか。」
紅葉先生は俺の疑問に答えてくれた。
今まで、「屋敷の料理しか口にしなかったから」、つまり俺は高級品の高級料理を食べなれていたから、普通の料理が口に合わないということ?
タマの母の料理も美味しく感じないから、殆ど口にしなかったのは、そういう理由があるからか。
俺は試しにドレッシングのない野菜を口に入れた。
その結果、美味しくはないが不味くもない。
「それは先ほど、この山で採れたての新鮮な・一番品質のいい野菜です。お口には...?」
ヒスイちゃんが俺の感想を伺った。
生憎だが、美味しく感じない。
でも、他の料理と比べて、不味くはない。
恐らく、屋敷で食べたサラダとは野菜の品質の差で負けているが、それだけの違いだから、不味いと思わなかったのだろう。
「お嬢様。今度から、料理のできるメイドをお供にした方がいい」
俺は「あぁ、そうする」と返事しようとしたが...
「何その言葉、私じゃ役不足とても言いたいのか。」
先にシイちゃんが紅葉先生の言葉に反応した。
「お嬢様の前で恥を晒したいなら、どうぞご自由に」
「自分だってできないくせに...」
「私はお嬢様の乳母をやっていたよ。新鮮なミルクを人肌まで冷ますこと以外、お嬢様好みの離乳食も作れる」
「そんなの私だってできる!まだ幼いから、やらせてくれなかっただけだ!」
「どうとでも言え」
「何だと!」
「ヒスイちゃん、『ああ』して」
俺は口喧嘩を始めたシイちゃんと紅葉先生を放置し、ヒスイちゃんに餌付けを始めた。
苦労して「一所懸命」山ほどの料理を運んでくれたから、きっと疲れているだろうし、腹も空いていると思う。
その可愛いヒスイちゃんを労う為に、俺の都合で強制的に「休憩」して貰った。ご飯も強制的に「食べさせられた」のなら、女将も何も言わないでしょう。
まぁ、本音を言うと、俺はただヒスイちゃんで遊びたいだけだけどね。
「ほら、口を開いて、『ああ』って」
「...ああ」
俺に抱き付かれて、身動きができないヒスイちゃんは俺の強引さに負けて、諦めて口を開いた。
パクッ
大きいお肉がヒスイちゃんの小さい口に入り、咀嚼されていた。
ハムスターのように頬を膨らませて、一所懸命にお肉を咀嚼して、ようやくそれを喉に通したヒスイちゃんは幸せそうに目を閉じた。
可愛い...そして楽しい...
食事を楽しめないのは残念だが、俺は新の楽しみを見つけた。
それに、後で温泉も楽しめるから、今日は凡そ楽しい一日と言えよう。
タマのこと際なければ...
さて、死んだ人のことを考えてもしょうがない。忘れるのが一番いい!
俺は飲み物の位置を確認して、ヒスイちゃんに餌付け続ける為に、次の料理に箸を伸ばした。