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08:遠足(2)

第8話です。前話の続きとなります。よろしくお願いいたします。

※レイアウトと加筆修正を行いました。

 アスレチックで遊んだ後だから、お腹ペコペコです。

 わたし達は川の近くにレジャーシートを敷き、そこでお弁当を食べることにした。



「由美ちゃんのシート、かわいいね」


 うさぎのキャラがプリントされた、かわいらしいシートだ。


「玲美ちゃんのは……ああ、うん」


 ええ、普通のシートです。いいんです。使えたらそれで。


「お前、おれと一緒じゃねーか」


 む、それはイヤ。


 伊藤くんはチェック柄の、なんかかっこよさそうなやつ。

 こういうところまでイケメンっぽさ出してきよるとは。


 沢木くんのは、お寿司屋さんみたいな感じの柄だ。


「それじゃあ、いただきまーす」


「「「「いただきまーす」」」」


 おむすびおいしい!


 こうやって外で、みんなで食べるとおいしいね。

 唐揚げとたまご焼き、ウインナーもおいしい!


 由美ちゃんはサンドイッチか。

 さすが由美ちゃん、お弁当もかわいらしい。



「ね、玲美ちゃん、サンドイッチとその唐揚げ、交換する?」


「うんうん、でも唐揚げなんかでいいの?」


「いいよいいよ。じゃあ、はい」


「わーい、おいしいー!」


「唐揚げもおいしいよ」


 遠足はお弁当交換も楽しいよね。

 ミックスサンドおいしー。



「日高さん、そのたまご焼き、私のこのシューマイと交換いたしませんか?」


 沢木くん、また何かキャラがおかしい。別にいいけど。


「じゃあ、はい」


「ふむ……これはこれは……むう!だしのきいた、ただのたまご焼きと思えば中にはちりめんなどの魚介が!子供のことを思って母親のカルシウムも摂ってね!という温かい心配りに加え、絶妙にバランスのとれた醤油加減……これは……」


 ……なんなんだこの子。

 シューマイおいしいです。



「沢木、お前面白いやつだったんだな!」


「大人しいだけのやつだって思ってたけど、いろんな面が見れて楽しいよ!」


「そ、そうですか?……ううむ」


 恥ずかしそうに顔を伏せる沢木くん。

 ちょっと痛い子だけど、沢木くんなりに楽しませようと一生懸命なのかもね。


 この班はみんないい子だ。

 わたしは、この班になって良かったって今なら思えるよ。


「日高さん、ご飯食べたら雲梯に行こう。次は負けないよ」


「行かないよ?」


 しょぼーんとする伊藤くん。

 ほんと負けず嫌いだなこの男。


 お弁当が終わったら、いよいよおやつターイム!



「ヨーグルトみたいなの、おいしー」


「うん、おいしいね」


 そういえば伊藤くんもこれ買ってたんだったね。


「これって結局なんなんだろう」


「ヨーグルトっぽい何か」


「ヨーグルトっぽい何かね」


 西田はおいしい棒をバリバリ食べる。

 結局そればっか買ってたな、お前。


 こぼしすぎて鳩が来てついばんでるじゃないか。



「玲美ちゃん、このカラフルなチョコと何か交換しない?」


「じゃあ、わたしのこの、コーラ味のグミと交換しよっか」


「うん!」


 おやつの交換も楽しい。

 遠足に来たって感じがする。


「あ、ほんとだ。これ肉じゃないね」


 伊藤くんがあの時買ってたカツを食べながら言った。


「それは、魚のすり身ですよ」


 現れたな、歩く辞書・沢木。

 酢昆布を食べながら、眼鏡を光らせる。

 チョイスがしぶいなお前。


「でも結構おいしいな!」


 伊藤くんは満足そうだ。



「ねえ、疑問だったんだけど、伊藤くんの住んでたところって駄菓子屋なかったの?」


「オレが住んでたところは、近所になくってさ。あってもコンビニでおいしい棒とか、メジャーなものくらいしか無かったんだよ」


「そうなんだ」


 さすが東京。

 都会っ子はおやつをコンビニでそろえるんだね。


「引っ越してきてよかったな……こんなに良い友達とも出会えたし」


 友達…………そっか、わたし達、もう友達なんだ。


「良かったら、オレ達みんな下の名前で呼び合わないか?」


「お、いいね!じゃあおれのことはたっちゃんと」


「言わないからね?」


 西田が言う前に止めなくちゃいけない使命感に駆られた。

 全国の某恋愛野球マンガのファンが怒るぞ。



「オレは、悠太郎って呼び捨てでいいよ」


「じゃあおれは、琢也と呼んでくれ」


「わたしは玲美でいいよ」


「わたしは由美って呼んでね」


「ぼ、僕は、順です!」


「「「「え?」」」」


 一斉に声が出た。


 そう言えばわたし、沢木くんの下の名前、ちゃんと知らなかった。

 名簿だけ見て勝手に『じゅん』くんだと思ってたから。


「まさか……皆さん、僕の名前……知らなかったんですか?」


「そ、そんなわけ……ないじゃないか……なぁ」


 伊藤くんの眼が泳いでいる。


「お、おう……知ってたぜ……」


 西田の眼も泳ぐ。


「……ごめんね」


 由美ちゃんがとどめを刺した。


「……まぁ、仕方ないです……僕影薄いし」


ほんとごめんね、自己紹介ちゃんと聞いてなかったし、名簿見てじゅんくんだと思ってたの。



「……コホン、では改めまして。僕の名前は沢木順さわきはじめです。よろしくお願いいたします」


 こうして、わたし達は楽しくおしゃべりした。

 急造の班だったけど、本当の意味で仲間になれたと思う。


 進級して仲良かった友達も何人か離れてしまったのは残念だったけど、また新しい素敵な友達と出会うことができた。


 こういうめぐり逢いって、生きていく中ですごく大事なことだと思う。



「さて、それじゃあみんな、食事も終わったし、川でも見に行こうか!」


 川って聞くと、誰かが川に落ちるフラグが立ったような気がしてならないんだけど。


 なんか、小岩井達の班が川に居るあたりが特に。

実は筆者も『じゅん』で変換してたりします。

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