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06:おやつは300円までです

第6話です。誤字とか読みにくいところがあったらすみません。よろしくお願いいたします

※レイアウトと文章の加筆修正を行いました。

 学級会の最後で小岩井が「バナナはおやつに入りますか?」という使い古されたネタを披露していた。

 意外、先生、これを完全にスルー。


 ああ、でも、おやつか。

 いろいろあったせいで忘れてたけど、おやつを買うのも遠足のだいご味だよね。



「玲美ちゃん、おやつ一緒に買いに行こうよ」


「うん!」


 もちろんさハニー。断る理由なんて無いよ。


「それ、オレ達も一緒に行っていいかな?」


「え?伊藤くん達も?」


「オレ、まだこの辺の駄菓子屋さんしらないんだよね。それに、一緒の班になったのも何かの縁だろ?」


「そっか。じゃあ一緒に行こう。由美ちゃんもいい?」


「いいよー。みんなで行った方が楽しいかもしれないし」


「おれ何買おうかなー。おいしい棒なら30個買えるよな」


 西田のおやつにはロマンが無いようだ。


「沢木くんも来れるかな?」


 沢木くんは、まだわたし達に壁があるように見える。

 そういえばわたしや由美ちゃんから沢木くんに何か言うってなかったから、それで遠慮しているのかもしれない。

 だから、あえてわたしから言ってみた。


「え、ぼ、僕ですか!?は、はい、もしよろしければ!!」


 めっちゃきょどってる。そんなに構えなくていいのに。

 顔も真っ赤っかだ。



「でも、おれ達の家って結構離れてるよな。おれと沢木は家が近いけど、あと日高と明川も家近い方だっけ?伊藤はまったく反対側だもんな」


「そうなんだ。じゃあどっかで集まった方がよさそうだね」


 そういえば、由美以外みんなどこに住んでるのか全然知らなかった。


「タコ公園は?あそこならちょうど中心くらいじゃないかな?駄菓子屋さんも近いし」


 さすがは由美ちゃん。

 こういうとき、さっと提案してくれる。


「タコ公園ってオレ知らないんだけど、どこ?」


「伊藤くん、どこか知ってる場所ある?」


「西田の家と学校と図書館くらいかな」


 また極端な。もう西田の家に直接行ってもらって、そこから一緒に向かった方が早いんじゃないかな?


「じゃあ、伊藤は直接おれんちに来いよ。そこから一緒に向かおう」


 やっぱりそうなるよね。


「でも、伊藤くんの家って西田の家まで結構遠いんでしょ?大変じゃない?」


「自転車で行くからそんなにかからないよ。自転車は西田の家に置いていけばいいし」


 伊藤くんがそれでいいならいいんだけど。



「ところで、日高」


「ん?なに?」


 ちょっと不機嫌そうな西田。


「なんで伊藤と沢木は『くん』付けで、おれは呼び捨てなんだ?」


「西田だってわたしのこと呼び捨てじゃん」


「あ、そう言われたらそうだな」


 わたしは相手に合わせてるだけですよ。


「んー、まぁいいか。どうせなら、たっちゃんって言ってもいいんだぜ?」


「えー?それはいいや。きもい」


「き、きもいってお前……」


 西田ってあんまり話したこと無かったけど、こうやって話してみると意外と楽しいやつだ。

 そう考えると、わたしって結構偏見で人を見てたんだな。



「沢木はどうする?お前もおれんち来るか?」


「う、うん、そうだね。僕も西田くんと家近いし」


「もうさ、うちらも西田の家行った方が早くない?」


 そうした方が早いかなって思うんだけど。


「それだとお前らが遠いだろ」


「あ、そっか」


 西田に気遣われるとはちょっと意外。


「じゃあ、男子は西田くんのおうちに集合ね」


 わたしは由美ちゃんと一緒に行くつもりだったから、ちょうど男女で別れた感じだね。


 おやつ何買おうかなぁ。



******



 土曜日――――



 いよいよおやつを買いに行く。


 今日集まるメンバーは、由美ちゃん以外、学校外で会うのは初めてだ。

 いつもと違うので、ちょっと緊張してしまう。


 まずは、由美ちゃんと待ち合わせをしてタコ公園に向かう。



「今日は何を買おうねぇ?」


 由美ちゃんはウキウキしている。


 わたしは、とりあえず譲れないのはちっちゃいヨーグルトみたいなお菓子。

 あとは、口の中に入れるとシュワーってなるコーラ味のお菓子だ。


 タコ公園に着くと、男子達はすでに集まっていた。


「ごめん、遅くなっちゃった?」


「いや、おれ達が早く来すぎただけだ。伊藤なんて朝から来やがってさぁ」


「楽しみで寝れなかった」


 それって遠足前の夜に発生するイベントだよね?


「沢木くんは何買うか決めた?」


「ぼ、僕は、まだ決めてないです!」


 む、相変わらず馴れてくれてない。


「そんな敬語使う必要無いよ。一緒の班になったんだし、もっと打ち解けていこ?」


「そうだぜ、なんならおれのことはたっちゃんと」


 それ好きだなお前。



******



 ちょっと公園で休憩してから、わたし達は駄菓子屋に向かった。


「ねえ、駄菓子屋って大きいの?」


 伊藤くんが住んでた東京の方は大きな駄菓子屋だったんだろうか?


「大きくはないよ。おじいさんが趣味でやってるような小さなお店だし」


「そうなんだ。オレ、そういう老舗みたいなところ憧れてたんだよね」


「都会じゃ珍しいかもね。わたし達にとってはもうお馴染のところだよ。ね、由美ちゃん?」


「うん、遠足以外でもたまに行くよ」


 そんなことを話してたら、駄菓子屋が見えてきた。



「おー、すげー!これだよ!オレが求めてた駄菓子屋は!」


 伊藤くんご満悦である。

 よし、さっそくヨーグルトのお菓子買うぞー!


「おい、ゲーム対戦しようぜ!!」


 西田は外に置いてあるゲームに食いついてるみたいだ。

 それはいいから駄菓子買おうよ。


「沢木、お前こっちな!」


「おやおや西田くん、この僕にそのゲームで挑むんですか?」


 あれ?沢木くんキャラ変わってない?

 そんな流暢にしゃべれたのか、あんた。



 ゲーム馬鹿達はほっといて、わたし達は駄菓子屋に入った。


 おー、あるよあるよ。

 これ!名前よく知らないけど、きなこのついたお菓子の棒!

 これを見ると、駄菓子屋に来たって感じするよね。

 あと、この謎のアイドルっぽい人の写真。

 これなんなんだろうね。でも駄菓子屋だよね、これが。



「日高さん、これおいしそうじゃない?」


 あれ?伊藤くんはゲームのほうはいいのか。


「それはね、カツって書いてあるけどお肉じゃないんだよ」


「そうなんだ。でもおいしそうだし、オレはこれにしようかな」


「いいんじゃないかな?だけど、一押しはこれだよ」


 わたしは例のヨーグルトお菓子を取った。


「これは何のお菓子なの?」


「ヨーグルトっぽい何か」


「ヨーグルトっぽい何かかぁ」


 物珍しそうに見ている伊藤くん。

 東京の駄菓子屋さんには無かったのかな?


 ふっふっふ、田舎の駄菓子屋さんの魅力に酔いしれるといいよ。



「玲美ちゃん、このビーズかわいくない?」


「かわいいけど今日買うのはおやつだからね?」


 由美ちゃんは、おもちゃのアクセサリーが気になるみたい。


 こうして、わたし達は駄菓子屋でのお買い物をめいっぱい楽しんだ。



******


 

「だいぶ買えたねー」


 袋にいっぱいのお菓子を見て満足げな由美ちゃん。


 1個10円から30円くらいだからね。

 正直これだけあったら、遠足だけで全部食べるのは無理だわ。

 交換したりもするからちょうどいいんだけど。


 伊藤くんはタバコ型のお菓子を買っていた。

 ああいうの買っちゃうのが男の子だねーって感じ。



「楽しかったー!遠足じゃなくても、また来たいな!」


 伊藤くんも楽しめたみたいでよかった。


「じゃあ、またみんなで来ようか」


「うん、そうだね!」


 そういえば西田達見てない気がするんだけど……。





「くそー!ぜんぜん勝てねえ!」


「この僕に勝負を挑むのは、まだまだ早かったようだね西田くん」


 あんたら、まだやってたのか。

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