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05:遠足の班を決めよう

第5話です。よろしくお願いいたします。

※レイアウトと文章の加筆修正を行いました。

 学級会。

 今日は遠足の班を決めることになっている。


 私はもう、由美ちゃんと組むと決めている。

 由美ちゃんも、その気でいるみたいだ。

 やっぱり、こういうのは仲が良い友達と組みたいよね。


 あとは、男子3人と組めば班が完成するんだけど、どこと組もうか?


「おれ!おれ!」


 小岩井は無いとして。



「伊藤くん!わたし達の班においでよ!」


 伊藤ファンクラブ代表の佐島さんが、さっそく獲得に乗り出している。


 あからさまに困った顔してる。そして、他の男子からは嫉妬の眼で睨まれている。

 男なのにさらさらヘア、シュッとした体形に甘い顔。これでモテないわけ無いよね。


 わたしにとってはどうでもいいけど。



「オレ、西田と組むから」


「えー!? あのブタと組むの!?」


 へー、西田と組むんだ。何気にブタってひどいな佐島さん。


「おう、伊藤とは前から約束してたんだ。俺と伊藤が組んだらいけねえのか?」


 西田と伊藤くんは、例のドッジボール以来仲がいい。

 あれから二人はよく一緒に遊んでるみたいだ。


「いけないに決まってるでしょ!あんたみたいな暴力男!」


 西田がちょっとキレそうだけど、学級会の最中だから我慢してるみたい。



「玲美ちゃん、わたし達はどうする?」


「古田くんのグループ、まだ女子が決まってないみたいだし、そこでいいんじゃない?」


「そうだね。古田くんのところでいいね」


 小岩井のところじゃなければそれでいいです。



「悪いけど、佐島さん。オレは友達の方が大事なんだ。西田を馬鹿にするならオレが許さないぞ」


「え……そ、そんなつもりじゃ……」


「じゃあ、どんなつもりなんだ」


 あうあうとたじろぐ佐島さん。

 へー、伊藤くん言うところはちゃんと言うんだね。

 佐島さんの行動や言動には目に余るものがあったからね。



「伊藤、ありがたいけど、別にそこまで言わなくてもいいぜ?」


「いや、いつか言おうと思ってたことだ。本音言うと前から迷惑だったんだ」


 西田はああ言うけど、伊藤くんは相当おかんむりのようだ

 あーあ、佐島さん泣いちゃってるよ。


「西田のせいだからね!!あんたなんてどっかのトンカツ屋に出荷されちゃえばいいのよ!!」


 そういうと佐島さんは机に伏せてしまった。

 トンカツとはまたひどい。


「伊藤、お前モテモテだなぁ。先生にも少しモテるコツ教えてくれよ」


 いや担任、あんたは騒ぎ止めろよ。



「日高さん、明川さん、よかったらオレ達と班組まないか?」


「は?」「へ?」


 伊藤くん、あんた何言ってんだ。


 わたし達とろくにしゃべったこともないのに、急になんで?

 うわぁ……佐島さん達がめっちゃこっち見てる。


「君達なら、オレにキャーキャーうるさいこともないだろうし、西田のこと悪く言ったりし無さそうだ」


「確かにそうだけど……どうする?由美ちゃん」


「わたしは別にいいよ」


 由美ちゃんがいいならいいか。


「うん、じゃあよろしくね」


 とりあえず小岩井の班じゃないならいいです。


「決まり! あと残ってるのは……沢木くん、お前もこっちの班に来いよ!」


「え?ぼ、ぼくですか?」


 クラスで一番引っ込み思案の沢木くん。

 別にいじめられてるわけじゃないんだけど、いつも最後まで残っちゃうんだよね。


「よ、よろしくお願いします」


 伊藤くんとわたしを交互に見て、ペコリと頭を下げる沢木くん。


「じゃあ先生、オレ達決まりました」


「そっか、じゃあ後は班で話し合え。あと俺にモテるコツを伝授しろ」


 まだ言うか。



「うふふ、伊藤くん達と同じ班になっちゃったね」


 なんだか上機嫌な由美ちゃん。


「もしかして由美ちゃん、伊藤くんのこと好き?」


「ううん、そうじゃないけど、伊藤くん良い人だよね」


 たしかに、西田のことといい、沢木くんのことといい、自分がどう思われてしまうかとか気にせずに、はっきりとああいうことを言えるのは素直にすごいなって思う。

 なんか、キザな感じがして嫌だったけど、こういう場面見てるとただの偏見だったんだなって思えるよ。



「さ、あらためてよろしくね、日高さん、明川さん」


「悪いな、他に組みたいやつでもいたか?」


「別にいないけど、佐島さん達に睨まれないか心配だわ」


「そうだね、うふふ」


 結構困った事態だと思うんだけどなぁ。

 由美ちゃんはのんびり屋さんだから、特に何も心配してないみたいだ。


「沢木くんもこっちにおいで?」


「う、うん」


 優しく沢木くんに呼び掛ける伊藤くん。

 性格の良さが顔に現れるってこういうこと言うんだろうな。そりゃモテるわけだ。

 でも、由美ちゃんはあげません。



「じゃあ、さっそく班長を決めようか」


「伊藤くんでしょ」

「伊藤だろ」

「伊藤くんだよね」

「伊藤くんがいいです」


 満場一致で決まった。

 なんで?みたいな顔してるけどさ、他に考えられないでしょ。



 遠足は来週だ。

 思いがけず伊藤くんと同じ班になっちゃったけど、わたしとしては由美ちゃんと遠足を楽しめたらいいわけで。


 面倒な事が起こらなければいいけどね……。


 佐島さん達のグループは古田くん達と組んだみたいだ。

 古田くんの目が小動物みたいになっている。


 かわいそうだけど、がんばれ古田くん。

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