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04:神社にて(1)

第4話です。よろしくお願いいたします。あらすじ書き換えてみました。

※レイアウトと文章の加筆修正を行いました。

「玲美ー、ちょっとお醤油切らしちゃってるから買ってきてもらっていい?」


「はーい」


 お母さんに頼まれてお買いもの。

 いつもご飯作ってくれてるんだから、このくらいは恩返ししないとね。


 醤油が売ってる酒屋さんは、神社を挟んで向こう側にある。

 普通に行くとちょっと遠回りだけど、神社を抜ければ近道なのでこっちから行こう。



******

 


「毎度ありぃ!!」


 ちょっと重たいけど、醤油落とさないようにしなきゃ。

 また帰りも、この神社を通って行く。


 一本だけある大きなクヌギの木。

 何のために建てられたのかわからない石碑。

 そして、大晦日にはにぎわう境内。


 何でかわからないけど、ここに来るとすごく懐かしい感じがする。

 こういうの、何て言うんだっけ?



 チャリン――――


 境内を見ると、誰かお参りに来てるみたいだ。


 何となくだけど、わたしと同い年くらいの子かな?

 どうしよう、声掛けてみようか?


 お参りに来てた子と目が合う。女の子のようだ。

 しかも、わたしなんかと違ってちょっと綺麗な感じの子。

 髪も背中くらいまで長くて、まるでお人形さんのようだ。


「あ、こんにちは」


 緊張して、どもってしまった。


「……こんにちは」


 細いけど綺麗な声が聞こえた。

 ……あれ?わたし、めっちゃドキドキしてる?

 相手は女の子のはずなのに、動悸が止まらない。

 いくら綺麗な子でも、何で顔を見ただけでこんなにドキドキするんだろう?



「何かお願いしてたの?」


 家のこと?誰かが病気とか?


 そういえば、この子の着てる服ボロボロだ。

 お父さんとお母さんに何かあったのかもしれない。

 だから、こんな一生懸命お参りしてるのかも。


「神様って……本当にいるのかな……」


 難しいことを言って、ため息をついている。


 神様かぁ……本当にいるんなら今度のテストで勉強しなくても良い点取らせてほしいな。



 わたしは、境内の石段に座った。

 醤油も重かったし、立ち話はちょっとしんどいです。


「あなた、もしかして私のこと知らない?」


「え? 今日初めて会ったよね?」


「そうだけど……そっか、知らないんだ。だからこうやって話しかけてくれたんだ……」


 最後のほうは小さくて聞き取れなかったけど、有名な子なのかな?



「ねえ、何か困ってるの?」


「え……?」


「わたしでよかったら相談に乗るよ!わたし、日高玲美っていうの。よろしくね」


「私は……吉田恵利佳よしだえりか。よろしくね」


「吉田さん、わたしで良かったら何でも言ってね」


「……別に困ってないわ」


「そうなの?」


「そ……だから、大丈夫。ありがとう日高さん、お話しできて楽しかった」


 吉田さんはそう言って、去っていこうとする。


 でも、その背中はとても寂しそうで。

 それに、大丈夫って、何に対しての大丈夫なんだろう……。

 わたしは、見ているだけしかできなかった。



******



 吉田恵利佳――――

 私が彼女の言っていた言葉の意味を知るのは、もう少し先のことになる。



 その夜、わたしは不思議な夢を見た。


 それは、とても悲しくて、とても苦しい夢。


 誰かが助けを求めている。


 それに対して手を差し伸べようとするんだけど、手が届くことはなく、そのまま……。



 起きたら、汗びっしょりだった。

 パジャマがべたついて気持ち悪い。


 それにしても、あの夢は一体何だったんだろう……?

副題に(1)を付けました。

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