27:反乱
第27話です。とりあえず1話だけ投稿です。夜にはもう1話いけるかな?よろしくお願いいたします。
「おはよう、玲美」
朝から元気いっぱいの悠太郎に挨拶された。
そういえば、今日から自転車ここに置くんだっけ。
「玲美、ちゃんとハンカチ持った?」
お母さんが心配そうに言ってくる。
ちゃんと持ってるよ。ほら、このお気に入りのクマさんのハンカチ。
「あら? 玲美のボーイフレンド?」
「違うよ、4年の時クラスメイトだった伊藤君」
「あらあら、うちの玲美がお世話になってます」
「こちらこそ、お世話になってます。自転車置かせてもらっちゃってすみません」
「いいのよ。遠慮せずに自分の家だと思って置いちゃって」
悠太郎と話すお母さん。
そういえば悠太郎のこと見たことなかったっけ?
「じゃあ、そろそろ行くから。ほら、悠太郎行くよ」
「ああ、お母さん、失礼します」
「行ってらっしゃい」
お母さんの話は長くなりそうだったので切り上げた。
由美を待たせちゃ悪いし、何よりいらないことまで話されそうな予感がしたから。
私がいつまでおねしょしてた~とか喋られてしまった日にはたまったものじゃない。
「綺麗で優しそうなお母さんだったな」
「そう?」
「玲美とは全然似てないのな」
「似てなくて悪かったね。私はお父さん似らしいよ」
「悪くは無いよ。玲美には玲美のいいところがある」
「ふーん、どんなところ?」
「小さいところかな」
「それって、どこのこと?背?胸?」
キッと睨んでやる。
悠太郎は何で私が怒ってるのか、全くわかってないようだ。
ちょっとした変化は気が付くくせに、こういうところはデリカシーが無いというか。
いいんだけどね、別に……。
「由美、お待たせ」
「今日も暑いねー」
由美と合流し、今度は吉田さんの家に向かう。
その間、ちょっとしたお喋りが続く。
「そういえばさ、もうすぐ野外キャンプだよね」
「わたし、キャンプ行くの初めてだよ」
「オレは何度かあるよ」
「そうなの?キャンプってどんなだった?」
私の中のキャンプのイメージは、テントとカレーのイメージしかない。
たぶん、そういうマンガを読んだせいだ。
「キャンプって言っても、家族で行ったやつだからなぁ。たぶん、学校行事のものとは違うと思うよ」
「悠太郎のところは家族で行くんだ、すごいね」
「いいなー、家族でキャンプかぁ。わたしもやってみたいなー」
由美はそういうのに憧れてるんだね。
私は家でのんびり過ごしたい派だったりするんだけど。
「おはよう」
吉田さんがコーポの前で待っていた。
「おはよう。ごめんね、わざわざ来てもらってしまって」
「体も鍛えられて、ちょうどいい運動になってるよ」
「わたしも、ダイエットにもなるし、全然オーケーだよ」
由美って結構痩せてる方だと思うんだけど。
どちらかと言えば、私の方こそダイエットしなきゃいけないんじゃない?
なんか、最近プニプニしてきたような気がするんだよね……運動しよう、運動。
そんなことを話してる内に、もう校門に着いていた。
やっぱり、お喋りしながらだとあっという間だね。
悠太郎達と別れて、教室に向かう。
******
教室に入ると、何やら騒がしいことになっていた。
謙輔と、川田がケンカしてるみたいだ。
同じケンスケ同士、あんまり仲は良くないみたいだったけど、こうやってケンカしてるのを見るのは初めてだ。
「ぜってーぶっ殺す!!」
謙輔はかなりご立腹の様子。
やっぱ、怒ってるところ見ると怖いわ。
これ以上暴れないように、江藤が必死に押さえている。
「何があったの?」
近くに居た野村さんに聞いてみた。
「川田君がね、黒板に大きく渡辺君と吉田さんの相合傘を書いてたの」
「私と……?」
嫌そうな顔をする吉田さん。
謙輔は嫌ですか。そうですか。
「渡辺君、吉田さんに対して急に優しくなったでしょ?それでね、川田君が渡辺君のことを馬鹿にし出したの」
「へー、それで怒ってるんだ。吉田さんなら別にいいじゃんね」
「詠美……ちょっと……」
橋本さんが野村さんを呼んでる。
どうしたんだろう?
「あ……えっと…………ごめんね」
バツが悪そうに橋本さんのところに行く野村さん。
よくわかんないけど、このケンカどうにかしないと先生来ちゃうよ。
「お前には吉田菌がいっぱい付いてる!汚えから寄るんじゃねえよ!」
「うるせえ!このゴリラ野郎!!」
「そうやって殴るしかできねえのかお前は!いつまでも調子に乗ってんじゃねえよ!」
「調子に乗ってんのはお前だろうがゴルァ!!」
あーあ、周りの机もめちゃくちゃだよ。
止めに入らなきゃ。
「謙輔、もうやめなよ。先生来るよ」
「離せ、俺はこいつを殴らんと気が済まん!!」
「暴力野郎が、殴れるもんなら殴ってみろよ!」
「川田も挑発するのやめなよ!」
「何だ?このレズ女が!近寄んじゃねえ、レズが移る!」
ん? 今度は私か?
まぁいいけどさ、こんな安い挑発に構ってたらきりがない。
「てめえ!玲美のことまで馬鹿にしやがって!マジでぶっ殺すぞ!!」
「私のことはいいから、落ち着こう、ね?」
「謙輔さん、今は落ち着いてください」
江藤も止めに入る。
まだ謙輔は怒ってるみたいだけど、何とか席に着いてくれた。
それにしても、この間から川田のやつ何なんだ。
急に私達にちょっかい出してくるようになったな。
そうこうしているうちに先生が来た。
机の荒れ具合にちょっとびっくりしてたけど、みんな無言で直して席に着いた。
川田に関しては、早いところ何か手を打たないとまずい気がする。
書いていて気付いたんですけど、渡辺君と川田君の名前被ってしまっていたようです。クラス名簿まで作ってたのに気付きませんでした……(´・ω・`)




