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25:陰口

第25話です。今日はとりあえず1話。時間があったら夜もう1話アップ予定です。よろしくお願いいたします。

「吉田さん、おはよう」


 日高さんと明川さんと伊藤君が家まで迎えに来てくれた。

 久しぶりに登校する私を気遣ってくれたのだろう。


「昨日は悪かったね。うちの娘をよろしく頼むよ」


 母は、日高さん達が来てくれたのを喜んでいてくれた。

 彼女達は、うちの母を見てちょっと怯えていたけど……。



******



「悠太郎は来なくてもよかったのに」


「近くまで自転車で来てるから、そんなに時間掛んないよ」


 伊藤君の家はここから遠いのか。

 わざわざ来てもらうのは、何だか悪い気がする……。


「伊藤君、無理しなくても大丈夫よ?」


「別に無理はしてないよ。これからは、毎回こうするつもりだし」


「じゃあ、朝はうちに自転車置いとく?」


「いいのか!? じゃあ、帰りに玲美の家まで取りに行くよ」


 日高さんの提案に、何だか嬉しそうな伊藤君。

 あ、ひょっとして、そういうことなのかな?



「じゃあオレ、1組だから。付いていけなくて悪い」


「わたしも、4組だからごめんね。何かあったら言ってね」


 伊藤君達と別れた。

 久しぶりの学校だ。 何だか緊張する。


「大丈夫、私が付いてるよ」


 日高さんが付いていてくれてる。

 もう、怯えなくてもいい。


 いじめなんかに私は負けない。



******



 教室に入ると、私達をみんなジロジロ見てくる。

 智沙も、興味深そうに私達を見てくる。


 そして、くすりと笑みを浮かべる智沙。


「日高、お前、吉田何かと登校してるのか?」


 川田健介かわだけんすけだ。

 渡辺君の前ではかすんでいたけど、あまりいい噂を聞かない生徒の一人。


「私が誰と登校しようが勝手でしょ」


「そいつと一緒に居ると、吉田菌がうつるぞ」


「ふーん、そんな菌があるんだ。どんな菌なのか、私にわかりやすく説明してよ。私、頭弱いからさぁ……ちゃんと図を交えて簡潔に説明してよね!」


 さっそく絡まれてしまったけど、さすが暴走ポメラニアン。

 言い争いでは全く負ける気配がない。


「おい、川田ァ!! お前調子乗ってんのか!? しめんぞゴルァ!!」


 そして、この渡辺君である。

 敵だった時は怖かったけど、味方になるとこれほど頼もしいものは無い。


 これには、川田君もすごすごと引きさがらざるを得ない。



 席に着くと、相変わらず私の机には落書きがたくさんある。

 死ねとか、ビッチとか、あまり教育上よくないような言葉とか。


「ふーん。吉田さんの机、こんなことになってたんだ」


「もう慣れたけどね……」


 でも、嫌なことには変わりない。

 できれば、綺麗な机で勉強を受けたいとは思う。 


「消すの手伝うよ」


「どうせまた書かれるわ」


「じゃあ、俺の机と交換しようぜ」


 渡辺君の机と?

 それじゃあ、渡辺君が困ってしまうのではないの?


「別に俺、授業ほとんど聞いてねえし」


「それもどうかと思うけど……」


 呆れる日高さんを尻目に、江藤君に机を交換させる渡辺君。


 授業が始まると、渡辺君は、その机でスヤスヤ寝ていた。

 それ、普通に駄目な行為だからね?



 私があれほど悩んでいたことは、あの二人にとっては何でもないことのようだ。

 こうして、次々と跳ね除けていってしまう。


 私のことを、わかってくれるだけでいいと思った。

 それ以上のことは望んでいなかった。


 あとは、私が耐えればいいだけだと思っていたのに……。



******



 20分休みになった。

 男子達はドッジボールに出掛けたようだ。


 私はこの時間、寝たふりをして過ごすことにしている。


 日高さんは教室を出て行ってしまった。

 一瞬私の方をチラッと見ていたけど、寝たふりをしていたので気遣ってくれたのだろう。



「日高の奴、急に吉田を庇いだしたよね」


「日高だけじゃないよ、渡辺も、あからさまに吉田の味方してんじゃん。何なのあれ?」


 クラスの女子達が日高さんの悪口を言い始めている。

 自分の悪口なら耐えられるけど、日高さん達の悪口は耐えられそうにない。


「たぶんさ、あいつら女同士でできてんじゃないの?渡辺は日高のこと好きそうだし、それでじゃね?」


「うわ、ありえねー」


「言いたいことがあるなら、私に言えば?」


 私は立ち上がり、そいつらを睨んだ。


「なーにー?もしかして、味方してくれるやつが出てきたからって、調子に乗ってるわけ?」


「よくヌケヌケと学校来れたよね。彼女ができたからって強気になってんじゃねえの? 愛のパワーは偉大って!アハハ!笑えるー」


「日高さんを侮辱するなら、許せないわ」


「ひぇー、殺されてしまうー」


「人殺しの子に殺されてしまうわー」


 こいつら……!

 もう許せない! 私はどうなってもいいから、こいつらだけは黙らせてやる!


 その時、教室のドアが開き、タイミング悪く日高さんが帰って来てしまった。


「何やってんの?」


「ほら吉田、彼女が帰って来たよ!助け求めたら?」


「アハハ、マジキモいんですけどー!」


 黙ってしまう日高さん。

 顔を真っ赤に染めて、相当怒っているようだ。


 私のせいで日高さんに迷惑をかけるわけにはいかない。

 ここは、やっぱり私がこいつらを……!


「わ、わわわ、私が吉田さんの彼女!?」


 ……あれ?


「……何照れてんの?お前……」


「わ、私なんかが、吉田さんの彼女なんてなれるわけないっしょ!」


 ちょっと待って日高さん。

 その反応は予想外だから、ちょっと待って。


「だって、よく見てみなよ!吉田さんてばこんなに綺麗で、私なんかが釣りあうと思う!?」


「あ……そうだけども、あれ……? えっと、そうじゃなくて……」


 悪口を言っていた女子達も、これには困惑の色を隠せない。


「私が男だったらほっとかないね! でも残念なことに、女だし、チビだし、もし私が男だったとしても絶対振られちゃうよー……」


 勝手に色々と想像して頭を抱え出す日高さん。

 どうしたらいいんだろう。


「そんなことは無いと思うよ!」


「え?」


 え?


「背なんか、うちらまだ小学生だし牛乳飲めばまだ伸びるって!」


「確かに吉田は綺麗だけどさ、日高は日高で良いところはあるんだし、そこを磨けばいいと思うよ!」


「……ほんとに?」


「何なら今なら性転換技術も発達してるから、がんばれば何とかなるって!」


 ん?

 さっきまで私達の悪口言ってたよね?この人達。


 それが、なぜか日高さんを励ましていた。



 どうしてこうなった!?



「じゃあ私、がんばって性転換するよ!」


「がんばらなくていいから!」


 日高さんがよくわからないことを言い出したので、止めておく。

 そんなことになったら、きっと悲しむ人達がいるから。


「吉田……」


 女子達が、何か言いたげな目で見つめてくる。


「応援してる」


「しなくていい!」



 ……何だったんだろう。


 たしか、陰口言われてて、それでケンカになりかけてたはずだった。

 そして、なぜかしょんぼりしてしまっている日高さん。


 助けられたのかどうかよくわからないけど、とりあえずケンカにはならずに済んだ。




 こっそり、日高さんが相手ならありかな?と少しでも思ってしまった自分がちょっと恥ずかしい。

評価くださった方、ありがとうございました!ブクマも何気に増えてました!ありがとうございます!エタらないようがんばります!


もう少し読みやすいレイアウトで書いてみたいとは思うんですけど、何かいい方法無いっすかね。

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