表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/106

70. こっそりと。

 琥珀色の瞳の主は呆然としていた。


 まあ、そりゃそーだ。

自分の時は逆パターンだったが、ビックリしたのを覚えている。


「そうか。じゃあもう痛くないな。自分はコレを<肩代わり>と呼んでいる。裏技なんだ」


「……けれど、それじゃ、ナナシノは痛くないのか?」


 イリイチ本当にハンパ無いな。知ってたけど。


 安心させる為に自分は少し笑った。

天幕の時とは違い失敗しなかった。身体状態(コンディション)を言わないまま口を開く。


「五感切り替えれば大したコトないし?」


「……そうなのか?」


 (たず)ねたイリイチに肩をすくめて、水勒を(ひろ)う為に(ヒザ)を曲げる。それとなく外した視線の先で、ポニーと目が合った。

自分を見る(ふん)()()(なに)()(けわ)しい。うおう。馬には感づかれてんだ。

 ヒヤリとする。

馬が目線を外した。こっそりと前脚を()こうとする仕種(しぐさ)で、イリイチへの告げ口(チ ク り)に気付いた。


 ……待ってソコの山岳馬(お 嬢 さ ん)

黙って(ナイショにし)てくれ。バレたら多分、イリイチは面倒臭(めんどうくさ)い。


 視線に乗せた意図が伝わったのか。

馬が顔を(そむ)けたまま、チラリと自分を見て前脚を静かに下ろし、鼻から息を吐いた。


 良かった。ありがとう。

協力的な動物はキライじゃない。


 琥珀色の瞳の主に気付かれる前に水勒を持って立ち上がった。


「イリイチ。やり方を教えるから、この馬の鞍を外してくれるか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ