表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/106

37. 神は沈鬱な表情で。

 前に死にかけたのが、神のせい?


 唐突に言われ、更に意味が解らなくて、思考停止( フ リ ー ズ)した。 

自分の硬直に気付かず、神は落ち込んだまま話し始めた。


『そなたも(すで)に知っておろうが、ここには魔法があっての』


 はあ。

と、内心で(うなず)いた。相づちを打つのは日本人の習性だ。


『その中に我等を召喚(しょうかん)し使役する術があっての。余りに被害が甚大であったが(ゆえ)どうしてもソレを封印する必要があった。魔法系統を整理し、術そのものを書物化するまでは良かったが、<本>管理の問題が出た』


 小さな神は嘆息した。


『禁書にして封印はした。ところがそう何度もできない。特殊な書物だからこそ焚書(ふんしょ)にもできず、悩み抜いた我等は魔法の無い世界に送り付けて処分することにした』


 自分は呆気(あっけ)に取られた。

神は(うつむ)いて『異界で朽ち果てるどころか、まさか保管されていたとは……』とヘコんでいる。もにょもにょと手を動かし、再び話し始めた。


『そなたが触れた書物の中に、ソレがある。死に掛けたのは(まが)(なり)にも我等を召喚できる呪術が(しる)された物に触れた所為(せ い )じゃ。<(のろ)いの本>と言えば解りやすいかの。<禍神(か がみ)>がそなたを滅ぼせなかったのは、(やまい)(かか)っても死ななかった過去に()る』


 ……。

……そういえば「呪われている古文書」とか噂あったなー。


 ようやく衝撃から立ち直ってきて、ボケッと思い出した。

神を乞う儀式、<降臨(こうりん)>について書かれていた古文書。

禁帯出(きんたいしゅつ)本として他の稀少本(きしょうぼん)同様、書庫管理されている。


『双子の無事を確認するまでそなたらが滞在するのを認めよう。だがそれとは別に、そなた自身に是非とも聞き入れて欲しい頼みがある』


 神は沈鬱(ちんうつ)な表情で自分を見つめた。

何となく予測できた。


(よみがえ)らせてやるから、そなたの世界の<本>をどうか焼却してはくれまいか』


『無理です』


 即答してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ