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33. ハルトマンとイリイチは、ぎょっとした。

 取り留めなく話される、虐待とは無縁な家の様子と初対面の幽霊にすら寄せる双子の全幅の信頼に、ストレスが最高潮に達したみたいだ。

片息(かたいき)をついたが、このままでは、また止まる。

今は気付かれていないが、バレるのも時間の問題だ。


 ……ヤバい。


 唐突に会話を切り上げたくなった。

子供達の話の切れ間に、言葉が勝手に零れ出ていた。


「今日はもう遅いから、明日、部隊長とイリイチと君達とで風呂に入ったらいい」


 ハルトマンとイリイチは、ぎょっとして同時に自分を見た。

双子は思いがけない話に、大いにはしゃいだ。

子供達の中では、提案というよりも既に決定事項のようで、ダダ上がりのテンションにイーラも破顔一笑している。

逆に男二人は引きつった顔だ。


 そんな中、自分はぐっと力を込めて、何とか気吹(い ぶき)を取り戻した。

バレなくてホッとする。

そして真っ青なハルトマンとイリイチを見て、ハタと気付いた。

 ああ、そうか。

「裸の付き合い」文化、なさそうだな。しまった。スマン。悪気は無い。が。


 双子と一緒に風呂には入って貰う。


 見ろ子供達の嬉しそうな顔。

スキップまでしているんだ。今更、「ゴメンね。やっぱナシ」とは言えないし、言ったらガッカリするのが判りきっている。

何より入るのは自分じゃないからな。

撤回を求める顔で見つめる二人に、もっともらしい表情で頷いてやるしかない。


 がんばれハルトマン。

何事にも動じないお前なら大丈夫だ。

 イリイチは……、異文化交流だと割り切って入れ。

初対面の日本人にツンツン攻撃ができるハイスペックなお前なら乗り越えられる。


辛気臭(しん きくさ)い顔だと気が滅入るだろうから、晴れやかな笑みを浮かべて言ってやった。


「二人とも良かったな。明日が楽しみだ」


「うん!」


 はじける笑顔で双子が返事した。

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