仏壇
僕の目の前には、豪華な家があった。
「すっごーい!」
僕は感心してしまった。
見た目は昔の木でできた大きな家。
門はすっごくでっかい。
室内は広々としていて、お寺みたい。
僕はここに入ってみたいと思った。
お母さんが
「ここが新しい、おばあちゃんのおうちよ」
と言っていた。
僕には兄弟が四人いる。
一番上のお兄ちゃんと妹二人、弟一人。
「誰が一番に入るか、じゃんけんで決めようよ!」
僕は提案した。
一番上の兄ちゃんは「遠慮するよ」といって、参加しなかった。
おばあちゃんが入っているんだったら、僕たちも入れるという考え。
「勝った人が最初に入ること!」
「「じゃんけん……」」
かったのは二番目の妹。
「やったー!」
公平なじゃんけんなので、しょうがない。
「行ってこいよ」
僕はふてくされた顔で妹を見送った。
残ったのは、僕と妹と弟。
またじゃんけんで決めるというのは面白くないので、
「ばばぬきしようぜ」
運試しのばば抜き。
さいしょにあがったのは弟。
「かったー!」
ばんざいをして喜んでいる。
「ちぇ」
またしても、負けてしまった。
「いってらっしゃい」
妹が見送った。
僕は散らかったトランプを片付けた。
残ったのは僕と妹。
僕は悔しかった。
もしも兄である僕が負けて、最後に入るなんてプライドが許さなかった。
だから、かけっこで勝負することにした。
「どんっ!」
走りでは絶対勝つと思ってた。
だけど、今日はたまたま運が悪かった。
あと数歩というところで、こけた。
ひざをすりむいた。
痛かった。
立ち上がれなかった。
その間に妹がゴールした。
「おにいちゃん、おっさきー」
憎たらしかった。
ムカついた。
でも、痛いのを我慢して、妹を見送ってやった。
最後に残ったのは、僕だけ。
みんな、かえってこなかった。
おかしいな。
あ、お母さんが帰ってきた。
「なにやってるの!!」
「この家に入りたいんだよ」
そう言って、僕は周りを見回した。
そこには、妹二人と弟がいた。
「みんな死んでるんだ。おばあちゃんみたいに」