↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/36

第6章-2 オープニング~ミドルシーン

オープニング シーンプレイヤー 金田友絵;リヴァイアサンからの依頼

私は呼び出しに応じて、UGN神城市支部本部の支部長室を訪ねた。

「金田友絵です」

「入ってくれ」

「失礼します」

扉をノックして名乗るとすぐに入室許可が下り、入室する。

「よく来てくれた、金田君。霧谷支部長、金田君が到着しました」

尾崎支部長がそう言う。部屋の中を見ると遠隔会議システムが起動しており、スクリーンには日本支部支部長の霧谷雄吾支部長が映し出されていた。

「っ!?霧谷支部長!」

私はあわてて遠隔会議システムのカメラの前に移動し、敬礼をする。

「初めまして、UGN日本支部の支部長を務めている霧谷雄吾と申します。君が金田友絵君ですね?尾崎支部長に君を呼び出してもらったのは君に頼みたい任務があるからなのです。まずはかけてください」

直立不動を保っていた私は霧谷支部長に促され、会議用の椅子の一つに着いた。

「任務というのはFHのとあるマスターエージェントの討伐依頼なのです。

そのマスターエージェントのコードネームは『パペット・マスター』、君達が半月ほど前に巻き込まれたバス爆破テロの犯人と目される人物です。

あの事件は日本支部でも特に重要な案件の一つとして調査を行っていたのですが…類似の爆破テロが関東で3件、確認されています。

最後の1件…一昨日発生した事件では、駆け付けたUGNの部隊が『パペット・マスター』率いるFHの回収部隊と交戦、壊滅しています。

他2件はUGNの到着が間に合わず、部隊の到着時点で被害者の全員が連れ去られていましたが、半月前の事件や前述の事件と同様に高濃度のレネゲイド環境が形成されており、同様の手口によるものと推定されます。

また、調査の結果、これらの爆破テロは『パペット・マスター』の固有能力による可能性が高いという調査結果が出ています。

ここまでは大丈夫ですか?」

「はい、状況、把握いたしました…先ほどまで半月前の事件の報告書を読んでいたのですが、そのような大規模な話になっていたのですね」

「そうなのです。統合レポートはまだデータベースに載っていませんが、各事件自体は既にデータベースに掲載されている筈です、後で確認しておいてください。

それで、急ぎ、『パペット・マスター』を討伐して事件を終息させなければいけない、という事になったのですが…

現在、日本支部・関東支部直属の戦闘班からマスターエージェント格の相手ができるだけの戦力抽出が難しい状況にあります。

そこで、関東一円の各支部から戦力を抽出して調査・討伐隊を編成する事になりました。

その第1陣として金田君には、神城市支部のイリーガルエージェントである万田沙羅君、霧谷響君、霧谷奏君を指揮して任務に当たって欲しいのです」

「了解しました。ですが、私達4名でマスターエージェントの相手が務まるでしょうか」

「無論、状況に応じて増援は要請してください、あくまでも単独でマスターエージェントの相手をできる戦力の抽出が難しいだけで、支援任務であれば全く応援が出せないわけではありませんから。

また、尾崎支部長の裁量で神城市支部所属の戦力は自由に動員していただいて構いません。

ただ、霧谷優花・霧谷彰吾の両名は別件でお借りしているので、少なくとも調査段階では動けない、とは先に言っておきます」

「では、半月前の事件で覚醒した吉野咲楽も動員したいのですが…と言うか、万田沙羅を動員するなら彼女は意地でも参加します」

「戦力の質として問題なければ、また尾崎支部長が許可するのであれば、問題ありません」

「ご指名の4名と連携するのであれば、参戦できると考えます。金田君、吉野咲楽の動員を許可する」

「ありがとうございます…他になければ早速彼女たちに連絡を取って調査を開始したいと思います」

「お願いします。調整がつき次第、追加動員をかけられるよう、善処は致します…それでは、頼みましたよ」

霧谷支部長はそう言って通信を切り、スクリーンから消える。

「と、いう事だ、金田君。危険な任務になるが、まずは調査を頼む。

霧谷支部長もおっしゃっていたが、決戦段階に進める様であれば連絡を欲しい、その時点で増援できるだけの戦力を投入する。

まあ、正直、君たちやマスタークラスのエージェントの戦いに追随できるような戦力は難しいが敵の支援部隊を引き付ける程度の事はできるはずだ」

「ありがとうございます。では、早速、調査を始めます」

そう告げ、私は支部長室を退出した。




万田沙羅・吉野咲楽合同オープニング シーンプレイヤー 万田沙羅:『パペット・マスター』(3人称視点)

結局、吉野咲楽の義手は神城グループの軍事部門で開発中のブラックドック専用軍用新型義手が支給される事となった。

移植手術を終え、馴染ませるためのリハビリも大分進んだある日、万田家の邸宅での事。

「咲楽、この前のテロの犯人はFHの『パペット・マスター』と呼ばれるマスターエージェントである事が判明しました」

「マスターエージェント…たしかFHの幹部に当たるエージェントでしたか。そして『パペット・マスター』…コードネームからして、ブラムストーカーの従者使いでしょうか」

「断定はできません。つい数日前、『パペット・マスター』と交戦したUGNの交戦記録によれば、彼女はテロにより覚醒させたオーヴァード達を操り、UGNの即応部隊を壊滅させた、との事ですので、洗脳系の能力者である可能性も高いかと」

「なるほど…こちらの状況ですが、大分義手にも慣れてきました。ご出陣されるのであればいつでも随伴できます」

「助かります。本当であれば、響ちゃんと奏ちゃんの力を借りられれば良いのですが…あまり乗り気ではないようで…」

そう二人が話しているとそれぞれの端末にメールが届いた。

「タイミングがいいですね、友絵ちゃんからです、UGN日本支部支部長からの指令で友絵ちゃんと響ちゃんと奏ちゃんと私に『パペット・マスター』の討伐依頼が出たようです、咲楽も尾崎支部長の裁量で随伴が許可されていますよ」

「失礼いたします…はい、確認いたしました。左腕の仇をとってやらないといけませんね」

「ええ。それでは、早月お姉さまとお爺様にその旨を報告して、UGNの神城市支部に向かいましょうか」

「はい、お嬢様」

そうして、二人は出陣の準備を整えて、万田家の邸宅を出立した。




霧谷響、霧谷奏 合同オープニング シーンプレイヤー 霧谷響:無視せざるを得ない警告(3人称視点)

5月中頃の土曜日、両親不在の霧谷家で響と奏はテレビゲームをしながらちょっとした議論をしていた。

「私としては、友絵ちゃんや沙羅ちゃんの手伝いをしてあげたいんだよね、例の件。どうしても、ってわけじゃないけれど」

そう、横スクロールアクションゲームの協力プレイで敵を倒しながら奏が言った。

「だけど、私達もいろいろと立場があるし、恵からも首突っ込まないように警告されているから私としては。

何より、私達が協力して調査が進んでしまってマスターエージェントと友絵ちゃんと沙羅ちゃんと吉野さんが戦うって結果になるのは心配だよ。

あれだけ派手に動いているならUGN関東支部や日本支部も黙って見ていないだろうし、放っておいてUGNに討伐されるのを待てばいいんじゃないかな…

あ、奏、回復アイテム、私にも残しておいてよ」

「ごめん、ミスった。はい、お裾分け」

そう言って奏の操作キャラが響の操作キャラにキスをして回復アイテムの効果を分け与えた。

「ありがとう。で、まあ、マスターエージェントとは言え、ロード格じゃないんだし、最悪、律父さんに父さんと母さんが着けばなんとでもなる筈だし…二人してUGNの任務で出かけているのだってそれかも知れないよ」

「響がそう言うなら仕方ないか。わかった、でも二人が例のマスターエージェント…『パペット・マスター』だっけ…の居所を掴んで乗り込むってことになったら参戦したいな、二人と吉野さんが危険だし」

「ま、もしも私達抜きでそこまで情報揃えられたら、参戦やむ無しではあるかな…」

そうこうしていると傍に置いてあった響と奏の携帯端末がそれぞれ鳴り、着信音で友絵からのメールである事を告げる。

「ん…止めるよ…友絵ちゃん、なんの用事だろう、今日はUGN支部で情報検索するって言ってたけれ…ど…」

「…状況変わっちゃったね、響」

そのメールはたった今、していた議論を水泡に帰す内容だった。

UGN日本支部支部長の霧谷雄吾…二人にとっては養母の従兄であるし、プライベートでの付き合いもないではないので雄吾おじさん…の指令で件の『パペット・マスター』討伐任務に就くことになった、というメールであった。

「さっきセーブした所だし、一旦終わりにして、UGNの支部に行こうか?」

「ソウダネ‥ちょっとまってね、恵に事情説明のメールをしてくる」

ファルスハーツ関連の連絡は、緊急連絡を除けば基本的に養父である彰吾の書斎から入れる秘密の地下室に設置されたパソコン又は実母の鈴音に預けている携帯端末で行っている為、響は地下室に向かった。

「そうだ、奏は父さんと母さんにメール送っておいて。後、妖花さんにも事情説明しておいて」

「わかったー」

そうして霧谷姉妹も出撃準備を整えていくのであった。




マスターシーン 無視された警告

春日恵は初陣にこそ不運な事故としか言いようがないUGN戦力の存在で失敗したものの、それ以降は特に問題なく支援任務を3回、こなしていた。

そしてそろそろ5回目の出撃かという調整を進めている段階で従妹の春日響…否、霧谷響からメールが届いた。

「…全く、あの子は…適当に難癖付けてUGNの任務なんて放棄してしまえばいいのに…相手はマスターエージェントですのよ?」

「ん?どうしたの?恵」

傍にいた『滅びを纏うモノ』鈴木佳奈が恵のつぶやきに反応して声をかけた。

「どうもこうもありませんわ。響と奏がお友達と『パペット・マスター』の討伐任務をUGNから命じられたから多分敵対する事になる、よろしく、だそうよ」

「げ、友達って半月前の…初出撃の時の?」

「らしいですわよ、でも相手はマスターエージェントですから、どうしようもないのではなくて?よろしく頼まれても精々、無様に逃げ出すのを見逃してあげる事くらいしかできませんわ」

「でも、相手は『輝く華』だよ…あの4人にあと一人か二人同格の増援が着けばわからないんじゃない?」

「『パペット・マスター』とその軍勢だけなら、そうかもしれませんわね。ですが私たちも参戦するのであれば、もっと戦力が必要ですわ」

「…そうね。でも、言い換えれば、あの4人に少し戦力を足せば『パペット・マスター』とその直率戦力くらいはなんとかできてしまう、という事…末恐ろしいわね。特に『輝く華』はこのまま伸びればマスターエージェント確実じゃないかしら…『フラワー・マスター』と言った所かしら」

そう、黙って二人の会話を聞いていた優子が言った。

なお、『輝く華』春日響の支援に寄る物が大きかったとは言え、『ジャンク・ヤード』の最上級コースを無事に卒業した彼女たち3名も、末席の方ではあるが将来のマスターエージェント候補に加えられている事に本人達はまだ気づいていなかったりする。

ただし、それもこれもこれから訪れるであろう幾つもの死線を無事に超える事が出来たら、の話であるが。




ミドルシーン1 シーンプレイヤー金田友絵 集合と情報分析

登場侵蝕値(オープニングと合わせて2D)

PC1 吉野咲楽 6+3 (50)

PC2 『絶対零度の白炎』万田沙羅 6+2 (47)

PC3 『水晶の弾丸』金田友絵 7+8 (48)

PC4 『導きの声』霧谷響 4+1 (49)

PC5 『不屈の雷盾』霧谷奏 7+1 (48)


「さて、みんな集まったわね、まずはUGNが現時点で掴んでいる情報の整理をしましょう」

そう、友絵ちゃんが言う。

私達はその言葉に従い、さっそく、事件調査用に与えられた特別アカウント(各都市支部支部長クラスの情報アクセス権を有する)を用いて調査・情報分析を実施した。


情報項目

・『パペット・マスター』について 情報:UGN、情報FH

・1回目の事件について 情報:UGN、情報FH、情報:警察

・2~4回目の事件について 情報:UGN、情報FH、情報:警察

・『生存者』の状態について 情報:UGN、知識:レネゲイド、知識:医学

・『レネゲイドで満ちた異様な空間』について 情報:FH、知識:レネゲイド、知覚(暴走した沙羅を除く)


吉野咲楽

2~4回目の事件について 情報:UGN 0+1D(CL10)→17

8:2週間の間に関東一円で発生した爆破テロ。2件目は図書館の自習室、3件目は地方都市の交差点、4件目は総合病院の内科待合室で発生した。

場所に共通性は見られないが『レネゲイドで満ちた異様な空間』が発生していた上に、被害者全員が連れ去られている事から『パペット・マスター』の主導したテロとみなされている。

10:2件目の事件では、出入り口の防犯カメラ映像解析から、事件発生時に室内にいたのは11名。しかし、連れ去られたのは10名。であるにもかかわらず、死体はおろか、衣服さえ残されていなかった。

12:3件目の事件では通行人が突然爆発したような防犯カメラ映像が撮影されている。

15:4件目、UGNの即応部隊の交戦記録(生存者証言):被害者を『パペット・マスター』と思われる人物が操り、UGNの部隊を壊滅させた。その際、『パペット・マスター』はソラリスシンドロームによる物と思われる支援能力を行使した。




『絶対零度の白炎』万田沙羅 

『生存者』の状態について 知識:レネゲイド 2+5D(CL10)→10

8:1件目の事件で回収された被害者たちには全員に心停止の痕跡が見られた。すなわち、一度死んでいるか瀕死の状態にあった。

10:収容された乗員乗客合計20名全員がオーヴァードに覚醒した事で死を免れた、とは考え辛い為、因果が逆である可能性がある。すなわち、オーヴァードに覚醒する可能性がある何らかの蘇生エフェクトを行使された結果、蘇生し、何らかの要因で全員がオーヴァード化した可能性がある。




『水晶の弾丸』金田友絵

1回目の事件について コネ:UGN幹部を使用 情報UGN 2+4D(CL10)→8

5:5月上旬に神城市近郊のS市で発生した高速バスの爆破事件。詳細はPC達が前回体験した通り。

8:乗員乗客合計20名が回収されている。なお、奇跡的に焼け残った記録によれば『乗客数』は20名




『導きの声』霧谷響

『パペット・マスター』について 生き字引1+コンセントレイト:ノイマン1を宣言 侵蝕値+3(52) 意志 15+5D(CL9)→23

8:ファルスハーツのセル、『パペット・ブリゲード(人形旅団)』を主宰して『いた』女性のマスターエージェント。過去に何度かUGNによりセルを壊滅させられているが、本人は生き延びている。交戦記録からはブラムストーカーの従者使い型であることが読み取れる。(FH側資料ではブラムストーカー/ソラリスであると明記)

12:戸籍名:赤河(せきがわ) 糸織(しおり)、人形劇の劇団というカバー身分で活動しつつ、訪れる各地で任務に当たっていた。UGN側の資料で判明している限りではUGNの支部に対する破壊活動が主な任務であった模様。(FH側資料:セルが壊滅するたびにセルメンバーは減少、半年前の壊滅時に本人を除き、全滅。その際にジャーム化した)

15:3年前の交戦記録がセルリーダーとしての彼女がUGNに認知された初出の資料。時系列を追う毎に従者使いとして成長している様子と、セルメンバーの減少をそれで補っている様子が見られる。半年前の交戦記録時点では参戦したセルメンバーは本人を除くと1名のみ。その一名に逃がされるようにして落ちのびた模様。(FH側資料:半年前に彼女を逃がしたのは彼女の恋人であるマーセナリー)

20:彼女のセル、『パペット・ブリゲード(人形旅団)』のセルメンバーの内、複数名がジャームとしてUGNの日本某所に存在する日本支部管理下のジャーム凍結保存施設の1つに保管されている。これには前述の彼女を逃がしたメンバーも含まれる。(FH側資料:彼女の目的は『セルメンバーの奪還』、特に、彼女の恋人であるマーセナリーを奪還する事。その為の情報と戦力を求めており最近の作戦は戦力増強並びに該当の冷凍保管施設の詳細を調べる為の対価として他のセルに支払う『物資』の調達の為)




『不屈の雷盾』霧谷奏

『レネゲイドで満ちた異様な空間』について 壁に耳あり1+コンセントレイト:エグザイル3を宣言 侵蝕値+3(51) コネ:春日恭二を使用 情報FH1+6D(CL7)→22

8:『パペット・マスター』が起こした爆破テロ事件に残されている血の匂いのする異様な空間。衝動判定を誘発する為、長期間滞在するとジャーム化する可能性が高い。

12:該当空間の血の匂いの発生源は被害者の物だけではなく、ブラムストーカーシンドロームによって操られた痕跡のある血が含まれている。特に、従者作成に使用された後の血特有の匂いがする。

15:該当空間内でレネゲイドが活性化する理由は、何らかの特殊な成分がレネゲイドウイルスの持つ力を刺激するからではないかと推測される。(データ化されない程度であるが、傷の治りが早まる)

20:(FH側資料:該当空間は、『パペット・マスター』赤河糸織の従者が自爆した際にまき散らされた彼女の血によるもの。彼女の血はブラムストーカーシンドローム保持者の中でも特に協力で、傷の治りを早める成分が大量に含まれていると共に、他者に投与する事でレネゲイドを活性化させることができる。(エフェクト:王者の血5+Eロイス:戦闘血界を保持していることが開示))




友絵ちゃん、沙羅ちゃん、吉野さんが真面目に情報の山を読み解いている横で、私と奏は『知っている』情報を話せるようにする工作を始めた。

私は情報の断片を色々な資料から読み取り、組み合わせているようなメモを取りながら、『パペット・マスター』赤河糸織について、ここ半月の間にFH側の資料でしらべた結果をお手本に書き出していく。

奏は、新しく覚えた肉体操作能力で2台のパソコンを同時に操りながら、情報を集め、半月前に自分たちが『体感』した事で補強しながら、バス内部に広がっていた異様な空間はなんだったのか、について考察風にレポートを纏めていく…なお、奏もここ半月の間に、私の指導の下、FH側の資料で事前調査はしている。

そして数時間後…結果はすごいことになった。

「…とりあえず、大体はわかりましたね。というか、響さんと奏さんの能力が桁違いです」

そう、吉野さんが言う。

現在、UGNの資料を読みこむ事で分かった(事になった)情報抄録は次のような内容である。


・事件は関東一円で無差別で発生している様に見え、既に4件、同様の事件が発生している。

・事件現場からは(1件目を除き)被害者全員が連れ去られている。その数は現場にいたはずの人数より1名少ない。

・前項の差は恐らく、『パペット・マスター』の従者が数に含まれているため。そして爆破テロの爆発元は十中八九、従者の自爆による物。

・被害者は一度死亡しているか、瀕死の状態から蘇生されており、その過程でオーヴァードに覚醒したものと推定される。『パペット・マスター』のシンドロームから察するに、『抱擁』又は『ヨモツヘグリ』であると推定。

・『パペット・マスター』はブラムストーカー/ソラリスの推定ジャームで戸籍名は赤河(せきがわ) 糸織(しおり)。

・『パペット・マスター』は元々そこそこの規模のセル、『パペット・ブリゲード(人形旅団)』を率いていたが現在のセルメンバーは彼女一人である可能性が高い。

・『パペット・ブリゲード(人形旅団)』の元メンバーであるジャームがUGN日本支部管理下の極秘冷凍保管施設の1つに何名か保管されている。彼女の真の目的は元セルメンバーの奪還である可能性があり、警戒が必要。


「とりあえず、尾崎支部長にこれを報告して、日本支部にジャーム保管施設の情報統制と警備強化を頼んで…あとは反撃に出る為に相手の拠点を探す…かな?」

「そうね…とりあえず情報分析は完了で良いと思うわ。でも、これからどう調査しようかしら…」

私の提案に友絵ちゃんが同意し、今後の方針について相談を始めた。




とりあえず、私達は地図を広げ、事件現場を地図にマークしてみる事にした。

「…単純に、この4点の中心地点から調査を始める、というのはどう?」

奏がそう言ってトントンと4つの点の中央を叩く。

「それは最終手段に近い。それに…1件目の事件のFHの逃走方向と真逆になるんだよね…高速道路での事件だったから逃走方向は検討がつくし。」

それに私が反論する。

「ならば、あの日の高速道路の各出口の監視カメラ記録をしらみつぶしに調べて皆さんが目撃した型の車列が出た出口を探すというのは?」

今度はそう吉野さんが提案してくれる…が

「吉野さんは見てないけれど…車種自体はごく普通のバンタイプの車だったんだよね…確かに、FHが装甲車に改造して運用しているバンの車種ではあったけれど…見た目が同型の一般車も大量に走っているし、今回の件と関係ないFHのバンと区別がつかないから、ナンバーまで覚えていないと確定はできないかな…だれか、ナンバー覚えている?ちなみに私は覚えていない」

私の言葉に皆が首を振る。ちなみに、私は恵のバンだけはナンバーを知っているが、ここでは言えないので言わない。

「そうなると…んー洗脳されていると推定される被害者たちを収容できる設備、という方面で考えるのはだめですか?」

「それも考えたんだけれども、数が多すぎてお手上げ。単純にFHの既知のフロント企業の設備だと監視から報告があがってきている筈だし…オーヴァードを監禁できる、って条件ならともかく洗脳しているなら監禁の必要はないから難易度が下がって施設数が爆発的に増えるし、分散して収容すればいいからね」

沙羅ちゃんの提案も私は否定した。

「…それこそ最後の手段だけれども、追跡手順を考えておいて次の事件が起こるのを待つ、という消極的手段が現実的なのかしらね」

「…うん、UGNの理念として、次のテロは阻止したいという視点からは否定したいけれど、そうなる」

友絵ちゃんが辛そうに口にした手段に私は同意する。私の結論はそれ、である。


データ的に工作員の効果で『パペット・マスター』の拠点は隠蔽されている為、精神で判定。目標値30


PC1 吉野咲楽 2D(CL10)→13

PC2 『絶対零度の白炎』万田沙羅 5D(CL10)→7

PC3 『水晶の弾丸』金田友絵 2D(CL10)→5

PC4 『導きの声』霧谷響 4D(CL10)→11

PC5 『不屈の雷盾』霧谷奏 3D(CL10)→13



「とりあえず、今日は情報分析できたという事で、善後策にはなるけれども、次のテロが起きた時に備えて監視にヘリでもスクランブル待機させて貰えるように提案して解散にしようか」

私の提案に、皆、しぶしぶながらという様子であったが頷いて、その日は解散となった。




ミドルシーン2 シーンプレイヤー吉野 咲楽 第5の事件発生

登場侵蝕値

PC1 吉野咲楽 8 (58)

PC2 『絶対零度の白炎』万田沙羅 2 (49)

PC3 『水晶の弾丸』金田友絵 2 (50)

PC4 『導きの声』霧谷響 6 (58)

PC5 『不屈の雷盾』霧谷奏 1 (52)


翌日、朝からダメ元で情報処理室で各事件の際の周囲の防犯カメラ映像の確認などをしていると昼前に支部長室から呼び出しがかかった。

「来たか!残念な事に、5件目と思われる爆破テロが発生してしまった。

場所はN区のファーストフード店だ…だが不幸中の幸いというか、昨日君達が提案してくれた追跡用ヘリの用意は間に合った…見てくれ」

尾崎支部長がそう言うと遠隔会議システム用モニターにヘリからの映像らしきものが映し出された。

「現在、犯人たちは地上班を振り切って逃走中だが、ギリギリヘリの到着が間に合った…

推定ルートでは高速道路入口に向けて走行していると推定される」

「成程…N区の…ここですか。高速道路のどちら側に向かうかで大分情報が絞れますね」

私がそう言った直後、車列が急に進行方向を変えた様に見えた。

「…尾崎支部長、念のため、確認ですが、監視のヘリは十分に距離を取っていますよね?」

「そのはずだが…確かに、いまの動きは…念のため欺瞞行動を挟んだか…あるいはバレたか。

だがばれたとしても高度600m以上から最大望遠で撮影しているのだから撃墜は…」

「…使用者の練度にもよりますが、銃などに寄らない、オーヴァードのエフェクトによる攻撃の射程距離は視界さえ通れば数キロメートルに及びます。

…確か、母さんが昔、赫き腕で数キロ先のヘリを撃墜したとか言っていた気がしますが」

「…念のため警告しておこう」

と話していると車列のうち1台の助手席の窓が開いた。

そして『パペット・マスター』赤河糸織がそこからヘリの方を見た。

「!?まずい!警告を!」

「うむ、『聞こえるか!作戦中止!緊急回避!』」

尾崎支部長が通信機に向けてそう叫んだ直後、『紅い点』がモニターに映る。

それは、まさに今、話していた『赫き腕』が真っ直ぐにヘリに向かってきている事を示していた。

そして、数秒の後、ヘリからの画像が乱れる…回避を始めたのだろう。

そしてヘリは…しばらく赤い糸に追い回されたが無事だった。

しかし、監視継続は困難である、との事でヘリは比較的低空を飛行して帰投する事になった。

「駄目だった、か」

「ええ、残念ながら…しかしこうなると、どうするか…」

善後策の筈の作戦は失敗に終わった。再度の実施も危険、となるとどうするか。

尾崎支部長込みで頭を絞ってみたが答えは出なかった。

「一旦、お昼にしよう。それからもう一度考えてみようか。ダメなら辺りを付けて足で何とかするしかなくなるけれど」

私の言葉に、みんなげんなりした様子ではあったが、ほかにどうしようもないのは事実だった。




ミドルシーン3 シーンプレイヤー万田沙羅 温故知新

登場侵蝕値

PC1 吉野咲楽 7 (65)

PC2 『絶対零度の白炎』万田沙羅 6 (55)

PC3 『水晶の弾丸』金田友絵 2 (52)

PC4 『導きの声』霧谷響 5 (63)

PC5 『不屈の雷盾』霧谷奏 7 (59)


昼食を済ませて知恵を絞っていた私達は、遂にある結論に達した。

「響、貴方の支援を受けた沙羅に考えさせましょう。それでだめなら足で稼ぐしかないわ」

身もふたもないが、結論はレネゲイドの力に頼る、であった。


注)なお、シーン1で響は導く声(アドヴァイス5+導きの華6+光り射す場所1)を宣言して支援(CL-1、DB+5、達成値+17)を実施し、誰かに判定を実施させ、妖精の手を行使する事で、高確率で情報を抜ける事をわかっていたが、手を抜いている為、自分からは提案しなかった。また、『知識の泉1+コンセントレイト:ノイマン1』という自分の判定強化さえサボった。


「じゃあ、行くよ。沙羅ちゃん…がんばって」

「はい、響ちゃん。がんばります。」


響: 導く声(アドヴァイス5+導きの華6+光り射す場所1)を宣言、次のメジャーアクションで対象が行う判定に次の支援(CL-1、DB+5、達成値+17)。侵蝕値+10(73)


沙羅 精神 17+10D(CL9)→17+12→29?


響:妖精の手を宣言して判定に介入、侵蝕値+4(77)


沙羅 17+27→42 成功

新たな情報項目として『過去にパペット・マスターが拠点としていた施設(情報UGN、情報FH)』について、が解放


「…あっ」

「沙羅、何か思いついた?」

「うん、友絵ちゃん…確定は無理でも、ある程度は絞れるかも…」

そう言って沙羅ちゃんは地図に書き込みを始めた。

「高速道路を考慮して、各事件が起きた場所から一定時間…まずは2時間…で移動できる距離の範囲を重ねてみたらある程度は絞れて来るかなって…それをしながらええっと…奏ちゃんは過去に『パペット・マスター』が拠点に使った施設がどんなところか、調べておいて」

「うん、了解」




『不屈の雷盾』霧谷奏

過去にパペット・マスターが拠点としていた施設について 情報UGN 壁に耳あり1+コンセントレイト:エグザイル3を宣言 侵蝕値+3(62)  コネ:霧谷雄吾を使用 情報UGN0+7D(CL7)→12

8:過去の事件でパペット・マスターが拠点としていたのは小劇場やホテル

12:セルの規模が大きかったころは基本的に腰を据えての任務が多かったため、小劇場を長期間の間、借りてそこで人形劇をしながら拠点としていた。しかし、セルの規模が小さくなるにつれて短期任務が増え、ホテル滞在ですませることが増えてきた模様。




「終わったよ、過去に『パペット・マスター』が拠点にした施設一覧の作成」

そう言って奏が作成した資料を手戻ってきた頃には、こちらの作業もおおむね終わっていた。

「うん、ありがとう、小劇場だね。あとは移動時間的にありえそうな場所に小劇場があるかどうか、確認して…うん、ここと…ここ…あと、ここもかな」

そう言って沙羅ちゃんは地図に〇をつけていく…

「…アレ、結構多くなっちゃった」

「そうだね…でも、大分絞れた。これなら十分、調査できるわ!やったわね、沙羅!」

そう言って友絵ちゃんは沙羅ちゃんにハグをした。

そしてそこからさらに調査をして…私達は候補の中から1つの小劇場が怪しい、という結論に至った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。