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ヴァニタス  作者: 都築
4/22

好き

恋愛というものがいまいちよく分かってなかった。

後々気づいたが、Kくんはふとした時、私に「好き。将来は結婚しようね。」と子供ながらに真剣な眼差しで言っていたことを思い出した。

その時私は「私も〜〜〜〜!友達として好き!!!!」という相手の好意を蔑ろにするような発言をしていた。

今思い返すと申し訳なさでいっぱいだなと思った。


そんな私の初恋は小学1年〜2年までの1年間だった。これが早いのか遅いのかよくわからない。

よくある「足が早くて、字が綺麗な子」だった。

特に仲が良かったわけでもなく、同級生の中で1番字が綺麗で将来は裁判官になりたいという大人びたところが他の子とは違っていて格好良いなと感じていた。

月日は過ぎ、いつの間にか好きではなくなっていた。

九九を覚える年齢になったのに4の段だけずっと言えなかったことの方がしっかり覚えてる。


学年が1つ上がり、小学3年生になった。

私の学年はその時期には珍しく子供が多かったようで他校から転校生が1名でも来たら2クラスから3クラスへ変更するという謎のイベントが控えていた。

案の定学期の途中で1名転校生がやってきたことで3クラスへ編成が変わることになった。

小学生の頃の転校生は(Sくん)がやってくるなんて大イベントで、学年中が騒がしかった。

しかもその子が顔が格好良いということもあり、他クラス(と言ってもその頃は2クラスしかなかったけど)からひっきりなしに狭い窓からSくんを見ている人たちが多かった。

私は野次馬精神を持ち合わせておらず関心はなかったけど、友達が見に行こう!と声をかけてくれたから断ることもできず渋々見に行った。

格好良いとは1mmも思ってなかったけど、「そうだね〜〜〜〜」空気を読んで言っていた。


クラスが2クラスから3クラスへ変わった時、私のクラスでは噂のSくんが居た。私は関心がなかったから特に話しかけに行ったりとかはしなかった。

でも気づけば班が同じになり、休憩時間は男子がドッチボールする中に女子一人混じっていくような人間だったから、その中にSくんも居て遠回しに一緒に過ごすようになっていた。

班が同じになったことで話す機会も増えて、小学生の頃よくあるからかいがよくあった。

というのも私は苗字がかなり特徴的で今までの人生で同じ苗字の人に出会ったことはない。

だからそういった部分をからかってくるような気軽な関係性にはなっていた。

そのせいかクラスの係も、委員会も同じのを選択してきて、そこそこ話すようになった。

そんな私を見て友達がその人のことを「好きなんだよね」と言ってくることがあった。

でも私は小心者だし誰かと争うなんてしたくない、誰にでも優しくありたいから心にも思ってもない「応援するよ」と口にしていた。


幼い頃から「誰かに優しくした分いつか返ってくるからね」という言葉を信じて私は自己犠牲のもと、優しくし続けるのが癖になっていた。

その頃は自分が犠牲になっても誰かが幸せになってくれるならそれでもいいと本気で思っていた。


それが後々自分を苦しめる呪いになるとも知らずに。

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