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ヴァニタス  作者: 都築
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東京

大阪でイベントができたことは自分の中で大きな自信に繋がっていた。

当時、地元にも各地にも所謂自分のような「個人イベンター」はいた。

個々人で信念や思いを抱いて、いい音楽を、好きな音楽を通じてイベントをしている人はいて。

ただ、みんな自分が育った土地、自分がいる土地でやっているなと感じていた。

それが悪いことではないし、イベントを個人でやることで必要になる労力やエネルギー、お金のことを考えるとそれだけで十分すごかった。

でも、もっと大きいことがしてみたい。他の人があっというような、思ってくれるような、あの人(いい意味で)頭がおかしい、狂っていると思われたかった。青かった。


「東京でイベントをやってみたい!!!!」と思った。


地元とは違いどの土地であればこういう音楽性が流行っているだとか、箱のカラーとか、今考えればわかるが、当時はそんなこと全く知らなかった。

とりあえずアクセスが良くて、人が集まりそうで、あまりお金がかからなそうなところでやりたい、それだけだった。

結論「新宿」という繁華街。地方都市で育ち、東京にも数回しか来ていない私からしたら十分怖い街でもあった。

それでもやってみたいという気持ちが勝り、連絡をとり、貸してもらえることに。

地方都市の人間がわざわざ東京に住んでいるわけでもないのに、そのイベントのために東京にきて、イベントをする。それを面白がってくれる人たちだった。

そのライブハウスは私が知っているバンドの人が所属しており(働いていた)、萎縮するしかなかった。


1回目は成功したとはお世辞にも言えなかったけど、それでも「やった」ということ、こんな私でも「できた」ということが嬉しかった。

勿論東京のバンドだけではなく、大阪から駆けつけてくれたバンドもおり、感謝でしかなかった。


私は何もできない、私なんて生きる価値もない。私が生きていて何になるんだ。生きていく理由なんてないのに。いきたい理由もないのに。と中学生の頃思っていた。

でも、自分がイベントをやること、開催する日を決めることで、たった一人の責任者である私が死ぬわけには行かないと強引に死ねない理由を作り続けて、苦しくても何とか生きながらえていたような気がする。


バイト先で鬱々とした日々から抜け出せなくて苦しくて、メンタルチェックで西日本最低成績を叩き出し、精神科送りになっても、それでもイベントをやっていたからなんとか生きながらえて来れたのだと思う。


イベントを続けながらも、バイトを2〜3掛け持ちし、時々バイトのダブルブッキングをしてしまいながらも、そうした生活を4年くらい続けていた。

その間も勿論就職活動をしていた。友人はみんな新卒で入社し会社勤めをしている。

その傍で私はフリーターで好きなことをやりながらもお金は全然ない。誰かに会うたびに肩身が狭かった。

まだ、そんなことしてるんだ。気楽そうでいいねと言葉にされなくてもうっすら何となく感じていた。


とあるイベントのフライヤーを印刷したいと思ったが、自宅にはプリンターがない。

コンビニ行くとバカ高い金額がかかる。

そうだ!在籍していた学校で事情を説明して貸してもらう!と思い立った。


私は学生の時、それなりに成績も生活態度も良かったからそれなりに就職には期待されていた。

就職率や就職先というのは学校の評判に関わることで、それができない生徒は冷たい目で見れられるような学校だった。

でも私はそれなりに頑張っていた。だから、頑張り続ければいいと思っていた。


学校に行ってプリンターを借りる話をし、最初会った先生は当時関係のなかった人だったからそんなに小言も言われることもなく、鍵を借りた。

プリンターで印刷しているときに当時授業を受けていた先生が教室に入ってきた。

何をやってるんだ?こんなこと普段だったら許してないんだぞ。今回だけだからな。と。


私は意味がわからなかった。

私が学生の時、大きな会社、有名な仕事に携わった人がOBとして訪問した際授業中でも彼らのことを紹介し、快く受け入れ歓迎していたではないかと。

結果を出していない元生徒はいらないんだな、応援すらしてもらえないんだなと思った。

気持ちが悪かった。まるで会社みたいじゃないかと思った。


それから、就職活動をし、私は音楽業界ではそれなりに名の知れた東京の会社に勤めることになった。

学校には就職することになったことは一言も伝えていなかったのに、風の噂で伝わっていたらしい。

後輩にその話が伝わり、会ったこともない名の知らない後輩とfacebook経由で知り合い、会うことになった。


結局結果でしか人のことを図れない母校に吐き気がした。

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