道標
毎日虚な目で登校していたけど親には迷惑をかけたくなかった。
ただでさえ姉のことで大変なのに妹までこんなことになっているなんて心配もかけたくなかった。
数少ないけど友達にもそんなことは一度も言ったことはなく淡々と日々を過ごしているように過ごしていた。
友達のことは別に好きじゃなかった。
そんな環境の中で1人でいると中学1年生の時みたいに1人だ可哀想だと思われる方が嫌だった。
1人じゃなければなんでもよかった。私を否定しなければそれでよかった。
いろんなことが重なり自分が生きている世界ではうまくやっていけない、居場所がないと思い始めてとにかくどこかへ逃げたかった。どこかへ行きたかった。
死ねないのなら、死なせてくれないのなら、別のどこかへ行きたかった。
高校生の頃はモバゲーというネットのゲームや掲示板があるサイトのようなものが流行っていて、その中でもコミュニティというものがあった。
私はどういったつながりか忘れてしまったが、同県在住の同い年の男子高校生と話すことがあり、その人も軽音部で音楽が好きな人だった。私が好きな音楽の話をするとその人は「androp」というバンドを勧めてくれた。
初めて聴いた曲は「Image Word」だった。美しくて儚くて、でも優しくて、演奏もうまくて、初めて曲を聴いた時無意識に涙が流れていた。
結局6年間片思いしていたSくんには何も告げず別れてしまい、その時の悔しさや情けなさも相まって、流れたようにも思えた。
そこから自分の知らない世界にこんなにすごい曲を演奏できて、作っている人たちがいるんだと思うと、もっともっと知りたくなった。
こんなに素晴らしい音楽がある世界で腐ってたらダメだ。
もっとたくさんの音楽を知りたいと思うようになった。
ネットは勿論、タワーレコードで無料配布されている冊子に書いてあるバンド、音楽雑誌に書いてるバンド、若手のオーディションでネット公開されている音源、無料で配布されているサンプルCD、レンタルCDショップのあ〜順に知らないバンド名を見たら視聴機できいて好きだったらレンタルする、そうやって時間をかけて「好きな世界を追いかける作業」を始めるようになった。
好きなバンドや系統が分かればそのバンドのアーティスト写真に雰囲気が近いバンドの音源のみセレクトして聴いたり、好きなバンドが出演するイベントの詳細をチェックして、対バン(共演)しているバンドの音源を片っ端から聴いているような人間だった。
それだけが私をこの世界に留まられせてくれるきっかけであり、たった一つの命綱だった。
それだけが私の意思で唯一この世界にいる理由だった。




