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ヴァニタス  作者: 都築
14/23

苗字

前述したが、私は苗字がとにかく変わっている。

小学、中学まではそれまで関わった人たちが多く特に苗字に関して訂正するのが面倒臭いなくらいの気持ちで済んでいた。


でも高校に入学するともっと広い範囲から知らない人が沢山集まることになる。

私が通っていた高校は1クラス40名の1学年8クラス。つまり1学年320人いる計算になる。

私の中学からはおそらく10名くらいしか進学しておらず知り合いも少ない。

人見知りで内気な私は友達作りも上手くないし、人への振る舞い方も上手くなかった。

それが良くなかったのかもしれない。


スクールカースト上位だという自己意識がある他クラスのサッカー部の男子が、どこからか私の苗字を聞きつけて昼休憩に「〇〇ってやつどの人〜〜〜〜?」とクラスの後ろのドアから大きな声で問いかけてきた。

勿論私は教室にいたが関わると面倒臭いことになると思ったから無視をした。

もう一度そいつは「〇〇って人いないの〜〜〜?」と問いかけてきた。

私は友達と弁当を広げて昼食を取っていた。友人も内気で人見知りだから庇うこともなく、気まずそうに弁当を食べていた。

クラスメイトは私の苗字を知ってはいるけど、本人が返事をしないならとそっとしておいてくれた。

私はそれで終わると思っていた。


しばらく経ってその男子に声をかけられたが、無視をした。

特に話したいこともないし、空気が読めないし、鬱陶しかったからだ。

それが気に食わなかったのか私と同じクラスにいるサッカー部のいじられ役のそこそこ不細工な男子と私が似ていると悉く直接言ってくるようになった。

私は何故苗字が変わっているだけで探されなければならないのか、こんな嫌がらせを受けないといけないのか本当に理解ができなかったし、腹立たしかった。

そこから段々嫌がらせはエスカレートして、昼休憩に次の授業を準備をしようとしたら後ろからピンボン玉や消しゴムを投げて、「当たっちゃった?ごめ〜〜ん!」と言われたり、移動教室の時走って私に体当たりして持っていた教科書などを落としにきたり、私を見かけるとくすくす笑い出したりした。

一体私が何をしたっていうんだと心の底から思っていたし、理解できなかった。

ただ私はその時言い返すことも怒っていることを表に出すことも上手くできず、ただ怯えるだけの生活を過ごす羽目になった。


そうした生活を重ねていくうちに気づいたことがある。

結局高校生は性格が明るくて、顔がいい子じゃないと人として価値がないと思われているんだ。

顔がブスだから私はこんな目に遭わされて誰も助けてくれないじゃないか。

「他人に優しくすれば返ってくる」はやっぱり嘘で、もう他人に優しくするのも都合よく使われるもの嫌だった。

元々なかった自己肯定感はそこからもっと悪化し、生きている価値は自分にはないんだとまた思うようになった。


毎日高校を退学することを考えていた。勉強をしたいわけではない、学校も楽しくない。

軽音部に入部したけど上手く話せずに残り者でバンドを組まされて、やりたい曲も価値がないと、売れてないと否定されてできない。

メンバーはちゃんと練習もしないから合わせることもできない。

私はこの学校を選ぶべきでなかったのか。どうして、どうして、私の人生はこんなにも上手くいかないんだろうと思い続けた。

その間にも私はこの事実も感情もうまく話せず、音楽にばかり居場所を求めるようになった。


高校生の時聴き続けたのは神聖かまってちゃんの「天使じゃ地上じゃちっそく死」だった。

永遠に「もう嫌だ 死にたいな」という言葉を永遠に言い続けるだけの曲。

普通の精神状態の人が聞くと逆に病んでしまう。でもそれに救われるくらいに自分の精神状態はギリギリだった。

本当に毎日毎日毎日毎日毎日毎日、来る日もくる日も死にたかった。

誰かに殺して欲しかった。

ニュースで誰かが亡くなると報道されるたびにどうして私じゃないんだろうと思った。

どうして世間の役に立って頑張って働いている人が世間に必要とされている人が殺されて私が生きないといけないんだろう。

こんなにも毎日死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい殺して誰か殺して、もう自由にしてほしい、苦しい辛いもうどうしてこんなことになったんだと思っているのに。

どうして、自由にしてくれないんだ。

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