ぬいぐるみの命
薄暗い早朝に亡くした命に照らす光
天使が笑顔で飛ぶのを幻想に見ていた
笑うなよ、人の不幸だと思いやがって
泣くなよ、その幻想を生み出した作者よ
青白い空気に吹き込む溜め息と日の出入り
悪魔は仮面を被り泣いてる様に見える
嘆くなよ、当たり前の終わりに馴れない事に
もう鳴き声が聞こえてこない
あの喧騒が、愛しい遠吠えが
もう尻尾は動かないまま
檻から逃げて、光に閉じこもる
幼い頃から一緒に遊んだ 駆けっこは負けたまま
僕も君も成長していく 君は早く年を取る
聞いてくれ、生き物の種類を無視する想いが
この中に有る事を
白いままの心に今でも確かに有る事を
尻尾を振ってごらんよ 僕は薄暗い朝に泣く
「ワン!」と鳴いてごらんよ 僕を呼ぶ声は朝に無く
何かに奇跡を感じた 生命の奇跡を感じた
出会いと別れなんて当たり前じゃないか
死ぬ事にしろ、生きる事にしろ
この世界の終わり
その瞬間を誰もが密かに待ち侘びている
愛しい鳴き声は何処か遠くへ
消えていったって、何も感じなくて
同じ見た目したぬいぐるみを買って
黄色の月が昇る夜、涙を振り掛けた
命を思ってごらんよ 果ての無い無意味の意味
ちゃんと見てごらんよ 白い息が綺麗に有る
生きてる意味を感じる 生きてる事を確信
いつか死ぬなんて知ってるじゃないか
この世界の終わりなんて毎分毎秒
可能性としてなくは無いのだろう
尻尾を振る事が出来なくても
そこに有る ぬいぐるみの命




