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淡月の決意

深い大海の様に広がる宵の空に、一番星の光が(ひらめ)いた。

冬の澄み切った夜空を臨む出窓の硝子は、明るく燃える暖炉の熱でほんのりと曇っている。


「もっと火を(おこ)しなさい。ただでさえ美夜さんは薄着のドレスだというのに、風邪でも召されたらどうするの」


きつい口調で初音に叱咤されて、メイドの花は渋々火かき棒で暖炉の石炭をかき混ぜる。


初音の相変わらずの過保護に、ドレッサーの前に腰掛けた美夜は苦笑いした。


怜子の正式な婚約者として清小路家に迎え入れられた美夜には、それまでのメイド部屋の代わりに、専用の居室が与えられた。

結婚式を挙げて夫婦となり、怜子と寝室を共にするまでの仮の部屋ではあるが、美夜はこの私室が気に入っている。


シャンデリアを吊るした天井の透かし彫りや、鈴蘭の花の様なランプシェードなど、そこかしこに洗練された意匠が散りばめられていた。

柔らかなクリーム色の壁紙やすっきりとした褐色の羽目板など、全体としては居心地の良い落ち着いた空間に仕上げられている。


それでも、この部屋に移った当座は何だかそわそわしてしまったけれど。

伯爵夫人の名に恥じない立ち居振る舞いや教養を身につける稽古に毎日追われる内に、いつの間にか馴染んでしまった。


「やっぱり、美夜さんにはこの色がよくお似合いだこと!まるで、花の精の様だわ」


短い袖付きのボールガウンのドレスに身を包んだ美夜に、初音がきゃっきゃと少女の如くはしゃいでみせる。


溶け入る様に淡いローズピンクの布地に、袖や腰回りをふっくらと膨らませたデザインのドレスは、何とも言えず優美だ。

胸元や袖にあしらわれた黄金(こがね)色のレースが、匂い立つ様な気品を(かも)し出してくれる。


今夜の為に、宮中や華族御用達の名だたる百貨店に(あつら)えさせたこの上ない品である。


尊子の四十九日の法要も過ぎた今日、怜子が新たに伯爵家の当主に就任する御披露目のパーティーが催される事になっている。

当然、美夜も怜子の婚約者として出席しなければならない。


初音は自分が着飾るのもそこそこに、夕刻からこうして美夜の身支度に付ききりだった。


「ありがとうございます。おたあさま」


コルセットの締め付けを(こら)えつつ、美夜は微笑む。


伯爵家に戻ってからというもの、初音が娘の嫁となる美夜を甘やかす事は(はなは)だしかった。

食事の際に何くれとなく世話を焼いて食べさせる他にも、お茶の時間には貴重な西洋菓子を惜しげも無く用意してくれる。


初音の優しさは身に余る程だが、お陰で、少々お腹周りがきつくなってしまった気がする。


「野々宮のお(ひい)さんが来てた時だって、こんなにでれでれしてなかったよ。奥方様」


新しく美夜付きの侍女になった花は、彼女らしいあけすけさで初音の変わり様を評した。


同じメイドだった美夜がいきなり怜子の婚約者となった事に花が戸惑いはしないかと案じていたが、それは杞憂(きゆう)だった。

友人である美夜が愛する女性(ひと)と結ばれる事を、当の美夜以上に花も喜んでくれたのだ。


美夜様、と呼ばれて下にも置かない扱いをされるのは未だにくすぐったい。


だが、清小路伯爵夫人と呼ばれる身になる以上、慣れなければいけないだろう。


今宵のパーティーの目的は、怜子の襲爵(しゅうしゃく)を祝うだけでない。

怜子と美夜の婚約を、改めて上流社会の人々に向けて発表するものでもあるからだ。


あの世へ旅立つ前に、尊子は美夜達の結婚について言い(のこ)していた。


自分に気兼ねして、一周忌を迎えるまで式を先延ばしにする事は無い。

むしろ、二人の結婚を黄泉の国から見届けられれば、自分も父として冥利(みょうり)に尽きるから、と。


その心遣いに報いたい気持ちもあり、尊子の葬儀も済んで落ち着いた頃、二人は自分達の婚約を(おおやけ)にする事にした。

伯爵令嬢とメイドであった関係も、包み隠さず()るがままを。


嘘で塗り固めなければいけないほど、二人の歩んできたこれまでは後ろ暗いものではない。


けれども、自分ならまだしも、使用人を妻に(めと)る怜子が心無い(そし)りを受けなければならないかが美夜は心配になってしまった。

そんな婚約者に、怜子は平然と笑ってみせた。


「私は何を言われようと構わなくてよ。美夜を悪く言う人間がいたら、断じて許しはしないけれど。私がいる限り、そんな無礼な事をさせやしないわ」


公家としての格式や伝統を重んじる清小路家の親族には、妾ならまだしも、正妻としてメイドを迎えるなぞ、と難色を示した人もいたという。

怜子はそれに対し、誰が妾なんて作るものですかとあからさまに憤慨していた。


しかし、他ならぬ尊子が美夜を娘の妻として認めていた事もあり、この婚約は無事に調(ととの)う運びとなった。


こうした事が、これから何度も待ち受けているかもしれない。

だが、怜子という太陽さえ隣にいれば、美夜はどんな苦難も乗り越えられる。

そして、自分も怜子にとって闇を照らす月でありたいと思うのだ。


華族のニュースを面白がる新聞や雑誌に、「身分を乗り越へた(まこと)の愛」などと書き立てられるのは少々閉口してしまうが。


だが、誌面を賑わせるもう一つの事件の影響もあって、美夜達に集まる関心もそれなりになっている。

清小路伯爵令嬢の結婚と並んで、野々宮侯爵家の爵位返上も世間の注目の(まと)だ。


帝國軍人としてお国に奉公できない体になった責任を取る、と自ら辞任を表明した侯爵には、これぞ武人の(かがみ)だと称賛の声が相次いだ。

主上(おかみ)からの正式な裁可も下り、野々宮家の人々は平民の身分となった。


一見関わりの無い二つの大きな出来事が、水面下で絡み合っていたと知る者は、当人達より他にいないだろう。


「こちらなんて如何(いかが)かしら、美夜さん。ああ、でも少し石が大ぶり過ぎるかもしれないわ」


火の様にきらびやかな宝石をあしらったイヤリングを美夜の耳に当ててみて、初音が首を傾げる。


ドレスは美夜の体にぴったりと合うものを仕立ててもらったが、アクセサリーは初音が有り余る程持っているので、それを貸してもらえる事になった。

高価な洋装のできる月影の貴婦人は、洗練されたデザインのチョーカーを首飾りの代わりにする事が多い。


だが、正式なイブニングドレスを着用する際は、首輪もドレスの布地と合わせたもので仕立てるのが殆どだ。

代わりに、彼らが装いを凝らすのが耳飾りなのである。


あまり古くさいものだと美夜さんはお嫌かもしれないけれど、と初音は申し訳なさそうにしていたが、美夜は母のお下がりを身につけられる様で嬉しかった。


問題は、美夜の顔に似合うものがなかなか見つからない事である。

ドレッサーの上には、試したイヤリングを納めたベルベット張りの小箱が山積みになっている。


自他共に認める西洋風の彫りが深い顔立ちの初音は、ドレスやアクセサリーもそれを引き立たせる華美なものがよく似合う。

目や鼻も霞がかった様におぼろげで、ぽやっとした印象の美夜の顔は、かえってそれらの派手やかさに飲まれてしまうのだ。


「一体、どれなら美夜さんの優しげな顔にお似合いになるのかしら―――」


初音は嘆息して、何個目か分からない小箱の蓋を開ける。


つややかな絹張りの内側に仕舞われていたのは、それまでのものとは打って変わって小ぶりな、花を模した耳飾りであった。

薄く削った水晶を八重咲きの形に組み合わせた、透き通るように真白い花びら。

その縁は薄紅色に色づいており、細工の繊細さがうかがわれる。


小さな花が藤の房の様に連ねられた耳飾りは、初音が手に取ると風にそよいだ如く揺れる。

大輪の花の様に目立ちはしないものの、その控えめさが可憐な耳飾りだった。


「わあ、素敵!」


若い娘らしく、装飾品には目がない花が初音の手元を覗き込む。


「ねえねえ奥方様、早速美夜様に付けて頂きましょうよ」


「え、ええ」


普段は花のお(きゃん)な物言いを叱り飛ばす事が多い初音も、イヤリングに見入ったまま頷く。


初音が手ずから耳に付けてくれたそれは、まるでそうする事が決まっていたかの様に、美夜の顔に合っていた。


「本当に素敵な耳飾り―――」


うきうきと鏡に向かって顔を傾ける美夜に、初音が感慨深い眼差しを向ける。


「このイヤリングはね。怜子さんが生まれるずっと前に、尊子様がわたくしに下さったお品で⋯⋯」


何たる偶然か、初音も今から数十年前に、尊子の襲爵記念のパーティーでこの耳飾りを身に着けたというのだ。


カランコエの花を(かたど)ったイヤリング。


その花言葉は、「あなたを守る」。


早々と父を亡くし、伯爵の座に()かなければならなかった心細さは尊子自身計り知れなかった。

けれども、彼女は自分の事以上に、十八の身空で伯爵夫人としての重責を背負わなければならない初音を案じていたのだ。


だからこそ、自分の覚悟をこのカランコエの耳飾りに込めたのだろう。


「御自分の胸の内を、滅多に口になさる方ではなかったから。それでも、わたくしはあの方の心づくしが嬉しかった」


過ぎ去った長い年月を感じさせない程に、手入れの行き届いた耳飾り。

初音にとっては、尊子と過ごした日々を(しの)ばせるよすがなのだ。


「そんなに大切なお品を、わたしが着けてもよろしいのでしょうか⋯⋯」


視線を落とした美夜に、初音がふっと笑いかける。


「何をおっしゃるの。あなたはわたくしの娘であると共に、あの方の娘でもあるのよ。それ以上に正当な理由があって?」


自信をお持ちなさい、と肩に手を置かれると、美夜も顔を上げられた。

シャンデリアの灯りを受けて、耳飾りはきらりと輝く。


「きっとお父様も、天国で喜んでおいでだわ」


穏やかに微笑む初音の顔に、寂しげな影は見られなかった。


伴侶であった尊子を(うしな)って以来、憂いがちの初音が美夜もいたわしかった。

愛する人を亡くす辛さというのは、そう簡単に癒えるものではないのだろう。


けれど、四十九日を過ぎた後から、徐々に初音にも笑顔が戻る様になった。

美夜や怜子と同様、初音も新たな日々へ進もうとしているのだ。


ドアが規則正しくノックされる音に、花が慌ただしく振り返る。


「はあい!」


彼女が応対に出ると、やって来たのは美夜と花の友である千登勢(ちとせ)だった。


「伯爵様が、美夜様のお支度はお済みになったかとお尋ねでいらっしゃいます」


現在、この屋敷で伯爵と呼ばれるべき相手は一人しかいない。


「どう。準備はできて?」


美夜に代わって彼女付きのメイドとなった千登勢の後ろから、怜子が姿を見せる。

高貴を極めた装いの(うるわ)しさを前に、美夜は息をするのも惜しかった。


宮中への参内(さんだい)において、最上級の格を持つ大礼服のマント・ド・クール。

華族の女性当主にとっては、その地位を示す爵服としての役割を持つ。


すっきりとウェストを絞ったラインが、怜子の持つ(たお)やかさをこの上なく引き立てる。

見事な光沢を持つ清々しい青の絹地が、晴れ渡った冬の空を思わせる。


上衣からスカートの前面、そして大礼服の一番の特徴である、怜子の身の丈ほどもある長いトレーン(引き裾)に至るまで、清小路家の家紋に使われる白梅の重厚な刺繍が施されていた。


鎖骨の稜線(りょうせん)なよらかなデコルテを飾るネックレスの真珠は、朝日に輝く粉雪の様。


貴族の印である扇を手にした姿は、麗しき淑女でありながら、日輪としての威光をいかんなく放つものであった。


美夜は思わず立ち上がって、頭から爪先まで余さず怜子に目を奪われた。


「怜子さま、お綺麗」


「ありがとう。美夜も、とても綺麗よ」


怜子に鷹揚に微笑まれると、紅を()いた頬がますます熱を帯びてしまう。

髪を結い上げて化粧を施し、曲線の優美なドレスをまとえば、美夜もひとかどの貴婦人に見えるだろうか。


「本当に、立派におなりになったこと……お父様に、よく似ていらっしゃる」


娘の晴れ姿を前に、初音が(むせ)ぶ様な声を上げる。


初音の言葉は、決して怜子の風貌に限った事ではない。

清小路家当主の最初の仕事である父の葬儀の喪主を、非の打ち所なく務め上げるなど、怜子も若き伯爵として大きく成長している。


おもうさまが御覧になれば、本当に嬉しく思われただろうに―――


しみじみと感じ入る美夜は、七時を告げる柱時計の鐘の音に我に返った。


「時間になったわ。行きましょう」


屋敷の表に列を連ねる自動車のエンジンや、階下で賑わう人々の話し声が、待ちかねた如くここまで聞こえてくる。


怜子は白の手袋に包まれた腕を、美しい所作で差し出す。

歳月を経て彼女と再び巡り会った冬の夜も、この手は美夜に差し伸べられた。


「はい」


あの時おずおずと握った手を、美夜は確かに掴んだ。




伯爵家の顔とも言える大広間は、一階の大部分を占めている。


メイド達の手で両開きの扉が開かれた瞬間、パーティーに集う大勢の視線が一斉に怜子と美夜へと集まる。

上質で洗練された装いに身を固めた人々を前に、美夜は喉に固いものが込み上げてくるのを感じた。


彼らの眼差しには、貴族としての品の良さでも隠しきれない物見高さが混ざっている様に思えてならない。

新聞や雑誌の記事を抜きにしても、上流階級の噂話で美夜の存在は知れ渡っているのだろう。


怜子はそんな注目を物ともせず、堂々たる足取りで宴の中を進む。

その後ろを美夜、そして初音が続く。


綺羅星の如き華族達に囲まれようと、怜子の姿はひときわ照り輝いている。


かつては見えない壁に隔てられていた上流社会に、自分が踏み込もうとしている事がとても信じられない。

それでも、何度も初音に稽古を付けてもらった通り、貴婦人として優雅な歩き方を心掛ける。


会場の最前列へと辿り着いた怜子は、人々に向き直る。


「皆様―――今宵は、当家の夜会にようこそお越しくださいました。清小路伯爵家当主、清小路怜子でございます」


怜子の澄んだ声が上がった瞬間、場の空気がたちまち変化する。

(くすぶ)っていた囁きはぴたりと止み、広い会場は時が止まった様な静けさに包まれる。


雲間から顔を出した太陽の如く、誰もが彼女を仰ぎ見る。


詮無き事とは知りつつも、美夜はこっそりと人垣の中に目を走らせずにはいられなかった。

案の定、そこにかつての野々宮侯爵と令妹の姿はない。


「この度、父が身罷(みまか)った事により、(わたくし)が伯爵家の当主を務めさせて頂く運びと相成りました。祖父や父の背負ってきた伯爵の称号に恥じぬ日輪としてこの家を盛り立てていく事こそが、華族たる私の責務であると心得ております」


淀みなく朗々と、自らのあるべき姿を述べる怜子は、既に伯爵家当主としての風格を放っている。

しかし、怜子は(いど)む様に客人達の顔を見回すと、決然と宣した。


「ですが―――家の名も、貴族の体面も、私にとっては一分の価値を持たぬものです」


上辺の静けさに覆われていたパーティーの会場は、突如として地鳴りの様にざわめく。


華族にとって、誇りは命よりも重いものである。

高貴なる人間として君臨する事は、逃れられぬ血の定めだ。


大勢の華族達を前に切り捨ててしまった怜子の言葉は、まさに凪いだ海を波立たせる一陣の風であった。


美夜も思わず、横目で怜子を仰ぎ見た。

けれど、怜子は宴の擾乱(じょうらん)を意に介する事もなく、涼しい目を見張っている。


「私が華族として生を()けたのは、持たざる者を下に見て、(おご)り高ぶる為ではありません。誰もが幸福に生きられる様に、生まれ持った力を使う事こそが、華族の―――日輪の使命であると、私は信じます」


どんな美辞麗句を連ねた式辞よりも、怜子の所信は美夜の胸に響くものであった。

この方は、本物の太陽だ。


「日輪であろうと、尋常種であろうと、そして月影であろうと―――誰もが、自分の生き方を決める権利を持つ筈です。それが叶う世を(つく)る為に、私は一生を捧げる覚悟です。こちらの、美夜と共に」


怜子はついと足を引くと、後ろに控えていた美夜の肩に触れる。

未だ動揺が取り去られない人々の視線は、一転して伯爵からその婚約者へと移る。


「美夜以上に、私の愛する月影はおりません。まっすぐな心と強さを兼ね備えた、誰よりも私の伴侶たるべき相手です」


怜子がはにかみもせず言ってみせるので、美夜の方が面映(おもは)ゆくなってしまった。


「さあ、美夜。皆様に、ご挨拶を」


怜子に背中を押されるよりも先に、美夜は前に進み出ていた。


この身に浴びせられる幾多の眼差しは、華やかなるシャンデリアの明かりよりも爛々(らんらん)と鋭い。

しかし、我が身を焼く陽射しも、冷たい月明かりをも、美夜は恐れはしない。


美夜という月の光は、何があろうと(かげ)る事はない。

怜子という太陽が、共に生きてくれる限り。


美夜は腰を(かが)めて礼をし、胸の奥から声を張り上げる。


「お初にお目もじいたします。百幸美夜と申します」




「おお、寒い!年の瀬は、やっぱり冷え込むわね」


身に染む冬の夜気に、怜子が大仰に肩をすくめる。

澄み切った夜空の月が、その横顔を煌々(こうこう)と照らしている。


「大広間は、暖房がききすぎて暑いくらいでしたものね」


宴もたけなわとなった頃、美夜と怜子は示し合わせてパーティーを抜け出し、二階の片隅のバルコニーへとやって来ていた。

シャンデリアの輝きに疲れた目には、星々の(つぶ)らな光が優しい。


「美夜も疲れたでしょう。ずっと立ちっぱなしで」


「怜子さまの方こそ、御挨拶でお忙しくされていたではありませんか」


言葉を発する度に、白い吐息が空へと上っていく。

二人は互いにくたびれた体を寄せ合う様に、肩を並べてそれを見上げる。


「外はうんと寒いだろうから、これを持ってきて良かったわ」


怜子は折り畳まれた薄い毛布を広げると、自身と美夜の体をすっぽりと包み込む。

一枚の毛布の中で触れあう肌と肌が、ぽかぽかと(ぬく)みを帯びていく。


「あったかい……」


心地よさに頬を綻ばせる美夜を見て、怜子が愛しげに目を細める。


彼女とこのバルコニーで夜の和やかな一時を過ごすのは、本当に久し振りだ。


まだ主人とメイドであった頃も、二人はこうして夜の片隅で出逢いを重ねたものだった。

先代伯爵や夫人の目を避けて語らう為に始めた事だが、それはいつしか二人が夜を待ちわびる理由となった。

逢瀬と呼ぶには淡い慕情であったが、美夜は胸の高鳴りを夜ごとに感じていた。


雪の様に降り注ぐ星々を眺めながら、怜子が吐息と共にぽつりと言葉を(こぼ)す。


「こんな冬の夜には、思い出すわ。美夜と、もう一度出逢えた日を。―――美夜は、(おぼ)えていて?」


「忘れません。怜子さまと初めてお逢いした夏の夜も、再び巡り逢えた冬の夜も」


人買いの男達から逃げ出した美夜は、一度は失った怜子という太陽を再び手に入れた。

運命が対の日月を導いたと言えば容易(たやす)いが、互いを想う気持ちが二人を結びつけたのではないだろうか。


「わたしが逃げ場を無くして困っていると、怜子さまは御自分のマントの中にわたしを隠しておしまいになって。いきなりで吃驚(びっくり)しましたが、お見事でした」


「あなた、今よりずっと小さかったものね。また、私のマントに入る?」


からかう様な怜子の物言いに、二人は顔を見合わせて笑った。


「ありがたいお申し出ですが、遠慮させて頂きます。わたし、大きくなってマントから頭が出てしまいますし、それに―――もう、隠れる必要もありませんから」


今の美夜は怜子の伴侶として、誰(はばか)る事なく彼女の傍にいられる。

闇の中に影を潜めて、死んだ様に生きる理由は無いのだ。


「そうね」


星空の下、怜子と美夜は言葉も交わさず見つめ合った。


どちらともなく、二人は互いの体と体を重ねていた。


口づけが、星の輝きの様に夜の中に(またた)く。

目も覚めるばかりの寒風に(さら)されていても、触れあう唇と肌は熱を帯びるばかりだ。


体から毛布がずり落ちた事も気に留めず、二人は愛しい相手との口づけに夢中になっていた。

そんな美夜達をよそに、背後の硝子戸が勢いよく開かれる。


「伯爵様に、美夜様―――ありゃ」


思いがけず主人達のあられもない場面に足を踏み入れた花は、頓狂(とんきょう)に叫んで真っ赤になってしまった。


突然の花の登場に驚いた美夜は、思わず伸び上がって怜子に頭突きをお見舞する形となった。


「―――!」


強烈な一撃を鼻に食らった怜子は、声にならない悲鳴を上げて顔を覆う。

痛みに悶える怜子とうろたえる美夜に、花が心底申し訳なさそうに肩をすくめる。


「お二人きりのところ、大変失礼いたしました。ですが、美夜様にどうしてもお伝えしたい御要件がございまして」


「要件って、どんな事なの?」


丸まった怜子の背を撫でつつ、美夜は尋ねた。


「伯爵夫人にお目に掛かりたいという男性が来ているんです」


まだ怜子との結婚の届けを出していないので、正式には清小路夫人と言えないのだが、その男は伯爵家に嫁ぐ娘に会わせろと息巻いたという。


「パーティーのお客様なら、何故そんな事を」


怜子がいぶかるのも当然である。


パーティに招待されている賓客であれば、メイドを介して目通りを申し出ずとも、直接美夜の所にやって来ればいい。

それに、今日の主役はあくまで怜子だ。


伯爵と婚約者に会うのならばまだしも、どうして美夜を名指しで呼び出すのかが不思議でならなかった。

そんな男には、美夜も思い当たる節がない。


「……違うんです。それが」


花は可愛らしい顔を怪訝(けげん)にしかめて、首を横に振る。


「招待状も持たずにいきなりやって来て、伯爵の婚約者に会わせろ、会うまでは帰らないって聞く耳を持たなくて。どうも、変なんですよ。身なりはみすぼらしいのに、メイド達への態度はやたらに横柄で。まともな人とは思えません」


やや向こう見ずで、軽口を叩く事もある花だが、理由も無しに相手を悪し様に言う()ではない。


「お名前は伺っていて?」


眉をひそめつつ、怜子が問う。


「それが、会えば分かるの一点張りで。名刺を持ち歩く紳士でもなしに……もし美夜様のお気が進まなければ、下男達を呼んで是が否でも帰って頂きましょう」


「そうして頂戴。美夜が何かされたらと思うと、私も気が気ではないもの」


花の気遣いも、怜子の心配も、美夜には染み入るばかりにありがたい。


けれども。


「わたし、お会いするわ。花ちゃん、その方を応接室にお通ししておいて」


花はえっと驚いたたものの、承知いたしましたと殊勝に頭を下げて立ち去った。


「美夜―――」


()れる様な声を出す怜子に、美夜は静かに答えた。


「わたしを訪ねていらしたのがどんな方であっても、その方はわたしを伯爵夫人と呼ばれたのでしょう。わたしはこれから、怜子さまの妻、清小路伯爵夫人となる月影ですもの。先ほども申し上げた通り、誰であろうと逃げも隠れもいたしません」


未来の伯爵夫人の威厳を込めた美夜の言葉に、怜子は何も言わずに頷いた。




「やっぱり、よした方が良いのではないかしら。私、何だか嫌な予感がしてよ」


応接室の前に立った美夜に、怜子は憂いの取り去られぬ顔で囁く。


「でも、もうここまで来てしまったのですもの。怜子さまだって、その為にいらしてくれたのではありませんか」


美夜は一人でも来客の対応はできると言ったのだが、怜子は婚約者の身の安全を守ろうと自分も同席するの一点張りだった。


しかし、美夜も不安を感じていないと言えば嘘になる。

この部屋の中で自分を待ち受ける相手に。


だが、(さい)は投げられてしまった。


硬いノックの音と共に、美夜は意を決して扉を開く。


応接室は、清小路家を訪れる客人に居心地良く過ごしてもらうと共に、伯爵家の品位を示す為にも、調度の一つ一つにも心が配られている。

ぱちぱちと炎がはぜる暖炉の前に、男が背を向けて立っていた。


普通であれば、この応接室には(つい)ぞ通される事の無い貧しい身なり。


こちらを振り返った男の顔に、美夜の背を怯えを通り越した冷たさが滑り落ちていく。

男はむくつけな髭面を、にやりと笑みで歪めた。


「よお、会いたかったぜ」


鋭い氷柱を心臓に差し込まれた様に、美夜の全身は凍てついた。

わななく唇から、忘れた筈の呼び名が(かす)れた息と共に漏れ出る。


「……おとっ、つぁん」


それを聞いた怜子の目の色が、(にわか)に変わった。


今、二人の目の前にいるのは―――十五年に渡って娘の自由を奪い、美夜の人生を散々に(さいな)んだ張本人である父親だ。


手足に力が入らない。

心臓は、薄い皮膚を突き破らんばかりに脈打つ。


毒を飲まされた様に息ができず、美夜は苦しさによろめいた。


「どうした?わざわざ親父殿が来てやったというのに。折角のめでたい再会じゃねえか」


せせら笑いながら近づいてくる父親に、美夜の喉がひゅっと掠れた音を立てた。

後ずさる事もできずにいる美夜を庇う如く、怜子が彼の前に立ちはだかる。


「美夜に、何の用なの」


有無を言わさず刃の切っ先を喉元に突きつける如く、怜子は問う。


低く沈んだ声音が、かえって抑えがたく膨らんでいる彼女の怒りを示していた。


「美夜ぅ?」


いぶかしげに呟いたのもつかの間、父はすぐに下卑た嘲笑を浮かべる。


「ああ、此奴(こいつ)の名前か。まったく、御大層な名を貰ったもんだなあ」


この世に生み落とされて間もなく母を(うしな)った美夜にとって、この日輪の父こそは唯一のよすがとなる筈だった。


しかし―――彼は親としての愛情はおろか、人間たる証の名前さえも美夜に与えはしなかった。


父にとって、美夜は娘ではなく、大金を生み出す一箇(いっこ)の商品に過ぎなかったのだ。

彼が美夜を育てていたのは、絹を欲する人間が蚕を飼うのと同じ感情からであった。


「あんたが清小路伯爵だな」


父は無遠慮に怜子を頭から足の先まで眺め回したかと思うと、じっとその顔を覗き込む。


「妙だな。俺ぁ、ずっと前にどっかであんたの顔を見た様な気がするんだが―――まあ、気のせいだろうな」


父の勘は当たっている。


八年前、美夜が喘息の療養で故郷の村に来ていた怜子の別荘を訪れていた時。

娘が蔵から姿を消した事を知った父が、その後を追ってやって来た。


逆上した父に煙管(きせる)で打たれそうな美夜を庇って、怜子はその煙を吸い込んでしまった。

肺の弱かった怜子には、まさに命取りだった―――そして、父はあろう事か彼女を見捨て、美夜を連れて逃げたのだ。


他ならぬ美夜の父によって、彼女は殺され掛けたも同然なのである。

生と死の境を彷徨った怜子その人が、この男を忘れる筈も無い。


「一体、この子に何の用があるのかと()いているのよ。よくも、今さらのこのことやって来られたものだわ―――!」


怜子は自分自身の事よりも、美夜に対する仕打ちへの義憤を込めて父を睨みつけた。

煮えたぎる怒りが、見えざる奔流となって怜子から流れ出す様だ。


「ぎゃあぎゃあ(うるせ)えなあ。これだから、女の日輪は嫌なんだ」


激昂する怜子に、父は鬱陶しそうに舌打ちする。

だが、すぐさま下劣な好色さがあらわになる。


「伯爵さんよぉ。華族様らしく澄ました顔してやがるが、どうせ、此奴とやる事はやったんだろう。父親である俺にその対価を払っても、(ばち)は当らねえと思うがな」


あまりに品性を欠いた物言いに、怜子は首の付け根まで赤らめて言葉に詰まった。

それを良い事に、父の雑言(ぞうごん)は一向に衰える様子を見せない。


「あのみすぼらしかった餓鬼(がき)が、今や伯爵夫人とはなあ。まるで御伽草紙(おとぎそうし)だ。全く、新聞で見掛けて驚いたぜ」


婚約を発表してからというもの、二人は新聞や雑誌に引っ切りなしに取材を申し込まれていた。

その内の幾つかは、美夜の顔写真付きの記事を掲載していた。


まさか、あれが父の目に留まろうとは。


「だがなあ―――どんなに上等な服で取り繕ったところで、俺の娘である事からは逃げられやしねえさ」


消したくとも、消せない痛み。

美夜が生き続ける限り―――この身を流れる血の(みなもと)は、影の様に、呪いの様に付きまとう。


それまで嘲笑と共に美夜を映していた父の目に、徐々に恨みの色が濃くなる。


「月影として生まれたからには、日輪である俺の役に立って貰おうとお前を育ててやったのによ。三年前、お前が人買いから逃げやがったせいで全部おじゃんだ。お陰で、俺にゃあ一銭も入らなかった。その借りを、耳揃えて返して貰おうじゃねえか」


憎々しく、唸る様な父の声は、どこか遠くから響いてくる様だ。

以前の美夜ならば、頭上から凄まれるだけで恐ろしさに震え上がってしまっただろう。


ひたすら息を殺して、父の腹立ちが収まるのを待つばかり。

殴られても、足蹴(あしげ)にされても、逃げる事も許されずに。


どんなに恐ろしい目に()わされようとも、それが月影である美夜の宿命であると自分に言い聞かせて。


しかし―――心の奥底は、自分でも驚くばかりに冷え切っている。


わたし、このひとに愛されたかったんだわ。


いつかは、父も美夜を(かえり)みてくれる。

陽の光一つ()さない蔵の中から、明るい空の下へ出してくれる。


そんな空想に、美夜は幼い胸を幾度躍らせただろう。


けれど、淡い夢が叶えられる事は決してなかった。


畢竟(ひっきょう)、父の本性は変わらない。


「あれから、散々だったぜ。屋敷も土地も手放す羽目になって。(うち)にゃあもう、売れる様な餓鬼はいやがらなかったし―――」


定めし、父は美夜がいなくなった後も道楽や博打をやめる事は無かったのだろう。


美夜は初めて、父なる人の今の姿を仔細(しさい)に眺めた。


継ぎだらけの着物は、垢と埃で目に見えてどす黒くなっている。

日輪らしい恰幅の良さを誇っていた体は、肉を剥ぎ取られた様に頼りない。

節くれ立った指の爪は、所々がひび割れて欠けている。


元より楽な暮らしではなかったが―――数年の間に父を襲った貧苦は、それを凌駕(りょうが)するものだっただろう。


「腐れ外道が……!」


殺意を(みなぎ)らせた低い声で、怜子が吐き捨てる。

手にした象牙の扇は、今にも真っ二つに折れそうだ。


怜子の横をすり抜けて、美夜は父の前に立つ。


「美夜」


戸惑う怜子の眼差しを受け流して、深く息を吸い込む。


「お父さん」


目の前の男を呼ぶ自分の声は、まるで他人のそれの様に聞こえる。


「お父さんがこうしてわたしを訪ねてきてくださった事を喜べたら、どんなに良かったでしょう」


怖気(おぞけ)狼狽(ろうばい)も、美夜の中からは消え失せていた。

ただ一つの勇気だけが、美夜を突き動かしている。


「何だ、水くせえ事言いやがって。俺ぁお前の父親だぞ」


「その父親であるお父さんが―――どうして、わたしに名前を付けてくださらなかったのですか」


「それは⋯⋯」


問う前から、答えは分かり切っている。


「売ろうと決めた子に、名前なぞ要りませんものね。お父さんにとって、わたしは最初から娘ではなかったのでしょう」


言い淀んだ父を、美夜は臆する事無く見据えた。

そして、自らの決意を込めた覚悟の一矢(いっし)を放つ。


「わたしも、お父さんの事を父だとは思いません」


生まれ持った血の呪いが、美夜にまとわりついてくるのならば。

美夜自身の手で、それを断ち切るまでだ。


「わたしの父は、亡くなられた先代の清小路伯爵だけです。彼女の他に、わたしに父と呼ぶべき相手はいません」


尊子が黄泉の国へ旅立つまでの間、父娘(おやこ)として過ごしたひと月は、実の父の元での十五年とは天と地ほどの差がある。

幽明境を異にしようとも、尊子は美夜にとって慈しみ深い父のままである。


「わたしの今の家族は先代の伯爵御夫妻と、これから共に人生を歩む夫となる怜子さまです」


天から与えられたのではなく、美夜が自分の意志で選び取った家族。

生まれて初めて、心からの安らぎを感じられた人々である。


「わたしの名前は百幸美夜です。もう間もなく、清小路美夜になります。今までも、これからも貴方の娘ではありません。―――どうぞ、お引き取りください」


言いたい事を余さず吐き出すと、体に巣食う病がたちどころに()えた様な心地だった。


「っ、手前(てめえ)、月影の分際で……!」


逆上した父は、前後の見境を無くして美夜に殴りかかろうとする。

振り上げられた拳を、怜子が(たお)やかにかざした扇で食い止める。


「きっと、この子は生みのお母様に似たのでしょうね」


涼しい顔でむくつけな男の手を押さえたまま、怜子は微笑む。


「これほどまでに清廉(せいれん)で勇気ある女性が、貴方の堕落し切った血を引いているとは信じられませんもの」


内なる気品が匂い立つ、麗しき淑女の笑み。

しかし、切れ長の目の奥にはぞっとする様な敵意が牙を剥いている。


「お伝えすべき事は、美夜が徹頭徹尾言ってくれました。ですから、この家の当主としてこれだけ申し上げます。()く失せて、二度と美夜の前に現れないで頂けるかしら」


清小路家の新たな長は(おごそ)かに、かつ冷徹に命じる。

伯爵としての押しも押されぬ風格を怜子は体現していた。


「本当に、腹が立つくらい彼奴(あいつ)に似てやがる」


父はすっかり白くなった蓬髪(ほうはつ)を苛々とかき回し、わめく様に言った。


「あの忌々しい月影に。お前の母親だった男に。順吉(じゅんきち)の野郎、いつもそんな目で俺を責めやがって……!」


もはや我を忘れた父は、狂人の様に訳の分からない事を繰り返していたかと思うと、突然血走った(まなこ)を上げた。


「手前の(つら)なんざ見たかあねえ。二度と来るか!」


叫ぶやいなや、父は一目散に(きびす)を返す。


「ああ、お待ちになって!」


怜子に呼び止められて、父は反射的に足を止める。

淑女の笑顔を仮面の如く張り付けたまま、怜子は歩を進める。


「お渡しするものを忘れておりましたわ」


目にも止まらぬ速さで、怜子は渾身(こんしん)の一撃を父の顔に叩き込む。

横っ面を殴り飛ばされた勢いで、父は絨毯の上にどさりと尻餅をついた。


一瞬の出来事に、美夜は開いた口が塞がらなかった。


怜子は鼻血で汚れた手袋を脱ぎ捨てると、正確そのもののコントロールで父の顔に投げつけた。


「私の気持ち、受け取って頂けたかしら。美夜にしてくださった事のお礼には、とても足りないけれど」


「……覚えてろよ」


父は鼻を押さえて立ち上がるなり、よろめく様に出口へと駆け込む。


折しも紅茶を運びにやってきた花が、彼とぶつかりそうになって「きゃっ!」と驚いた。


「こちらの台詞よ」


父の後ろ姿を冷ややかに見つめたまま、怜子が呟く。


「ああ、吃驚(びっくり)した。一体誰だったんです、あのひと?」


「何でもなくてよ。それより花さん、塩を持ってきてくれるかしら」


父が出て行った後の玄関で、怜子はタイルが雪に覆われた様になるまで塩を()くのだろう。


美夜は言葉も無く、じっと立ち尽くしていた。

その頬を、一筋の雫が伝った。


流れた涙に気が付いた怜子の手が、包み込む様な柔らかさで美夜の肩に置かれる。


「……辛かったわね。でも、これからは―――」


かぶりを振って、美夜は怜子を見上げる。

口元には笑みを浮かべて。


「わたし、嬉しいんです。ずっと暗い所にいた()()()が、ようやく光の中に出られた気がして」


尽きせぬ闇の中で泣いていた幼い頃の自分に、これだけは伝えたい。

いつか、美夜は自分の足で晴れ渡った空の下へ歩いて行ける。


そこには、美夜の愛しい人達が待っているから。


どうかその日まで希望を捨てず、夜明けを信じて欲しいと。

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