表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。2【アフターストーリー】
88/101

コウハビティング!(4)

 大晦日の夕方は、なぜか気分が高揚する。

 しかも今年はマユさんと一緒なわけで、私のテンションはバグりまくりだった。


「にょほほほ、ほ〜」

「だぁ〜、うざいうざいうざい!」


 軽く酔った状態の私は、ベッドにもたれて動画を見ていたマユさんに抱きついていた。

 構って欲しいのだ。

 無駄に、ひっつきたいのだ。


「なによ、もー」

「一緒にテレビ見ましょうよ〜」

「一応見てるわよ……動画見ながらだけど」

「そんな“ながら見”じゃなくてぇ〜、一緒に見ましょうよぅ!」

「だぁ〜、ひっつくな、揺らすな、わかった、わかったから!」


 諦めてタブレットを床に置くマユさん。

 どうやら、根勝ちしたようだ。

 それでも私は、マユさんの首元に抱きついたまま、鼻先を擦り付ける。

 そして“くんかくんか”と、匂いを嗅ぐのだ。


「匂うな、犬か」

「マユさんの匂い、好きー」

「ったく、もー」


 マユさんは半ば呆れながら、私の指をゆっくりと剥がし、そのまま指を絡めてくる。

 そして私をベッドにもたれさせるようにして、そのまま唇を塞いできた。


「んんっ」


 思わず小さく呻き、そのまま身を委ねようと力を抜く。

 するとマユさんは、あっさりと私を解放し台所へと行ってしまった。


「えぇー、なんですか、キスだけですか!」

「なぁに、スイッチ入っちゃった?」

「入るに決まってるじゃないですか!」

「あはは、いぬ〜、わんころ〜」


 はしゃぐようにして、ぴょんぴょんと飛び跳ね、喜んで笑うマユさん。

 みんな見て、ほら、めちゃ可愛い。

 何度も思うけど会社ではクールで、綺麗で、カッコいいのに、私の前ではこんなに可愛いのだ。

 こういうの、ずっと独り占めしてたい。


「あ〜おもしろ。さて、おせち食うかぁ!」

「パーティー、パーティー!」

「年越しそば食べろよとか、おせちは正月に食べろよとか言われそうだけどね。んで、なに飲む?」

「とりあえず、泡盛で」

「とりあえずで、泡盛かよ!」


 二人できゃっきゃっしながら、次々と料理を運ぶ。

 するとテレビの前にあるローテーブルは、あっという間におせち料理とお酒で埋まってしまった。

 これが、この二日間の成果だ。


「我ながら、よくもまぁ〜こんなに作ったわ」

「ですね。二杯目からは、弱めのお酒飲も〜」

「そうだよ。早々に酔い潰れたりしないでよね」

「しませんよ〜。少なくとも、年越すまでは起きてたいですし」

「志し、低っ!」


 ケタケタと笑うマユさんを見て、しかし私は「絶対に起きてます!」と頬を膨らませて抗議した。

 だって今日は、いっぱいイチャつくと決めているのだ!


 それから私が目を覚ましたのは、二時間後のことだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ