表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。2【アフターストーリー】
87/101

コウハビティング!(3)

「ユリは、おせちの中で何が好き?」


 タブレットでおせちの情報を集めていたマユさんが、ベッドに寝転がりながら聞いてくる。

 一方の私は、お重に詰めるリストを書き出しているところだ。


「伊達巻です」

「あー。他は?」

「丹波の黒豆です」

「おー。他は?」

「栗きんとんです」

「甘いのばっかじゃん!」


 マユさんが思わず起き上がって、ツッコミを入れてくる。

 言われてみれば、確かにそうだ。


「だって田作りとか、なますとか、そんなに好きじゃないですし。煮物は好きですけど、そこまでして食べたいって感じじゃないですし」

「この〜子供舌め。それでよく、おせち作るとか言うな〜」

「だからそこは、好きなものを詰めるんですって。お酒のツマミでも、いいんですよ」

「えぇ、ナッツとかってこと?」

「そこまで手抜きじゃなくて……テリーヌとか、ローストビーフとか、アヒージョとか、洋風でもいいんで、好きなものを贅沢にちょっとずつ、みたいな」


 そこでようやく「あーそういうこと」と、マユさんが納得する。

 ようやく私の思い描いていたおせちが、伝わったらしい。

 マユさんはしばらく天井を見上げ、やがて軽く首を傾げながら聞いてきた。


「伊勢國屋とか紀ノ丹で高級惣菜を買った方が、贅沢だし良いんじゃない?」

「なんてこと言うんですか。アレを私たちで、作るんですよ!」

「絶対、買った方が美味しいのに……」

「そんな“手作りを所望する面倒くさい彼氏”みたいに言わないでくださいよ。二人で作ることに意味があるんですって」

「あー、はいはい。じゃぁ、はいこれ」


 マユさんが頭を掻きながら、端末を渡してくる。


「なんですか?」


 受け取って覗き込んでみると、美味しそうな洋風おせちが表示されていた。


「銀座ローエンハイマーの洋風おせち。それ参考にして再現してみる?」

「いいですね、美味しそう!」


 大袈裟に喜ぶ私をみて、マユさんもつられて笑みをこぼす。

 こうしているだけで、楽しいのだ。

 その後は二人でメニューを決めて、レシピを調べ、必要な食材を買い出しに行った。

 それから料理を作り始め、完全に終わったのは二日後の大晦日だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ