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【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。2【アフターストーリー】

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リベンジ!(3)

 歩きに歩く、京都観光。

 マユさんはジムに通っているから平気なんだろうけど、普段からあまり運動をしない私にとって、かなりハードな行程である。

 もしこの工程の中に喫茶店巡りが組み込まれていなかったら、午前中でギブアップしていたかもしんない。

 それでもマユさんに連れられて、お洒落なカフェや昔ながらの純喫茶に立ち寄っているうちに、少しずつ頭の中で京都の地図が出来上がっていく。


「だんだんと、位置関係が分かるようになってきましたよ〜。朝は全然ピンと、こなかったのに」

「地理関係は、歩きの方が覚えられるからね。慣れれば、地下鉄も便利だよ」

「地下鉄は都内でも苦手なんですど」

「都内に住んでる人とは思えない台詞ね」

「正直、まだまだ地方民ですからね〜。そもそも地下は苦手〜。前に大阪の地下街で、迷子になりましたし」

「梅田ダンジョンは、日本最大の迷宮だからね」


 ケタケタと笑われる。

 あそこはダンジョンだったのか。

 すごい分かる。


「地下街って、似た景色ばかりだし、人酔いしそうだしで苦手ですよ〜」

「アンタ、よく都内で暮らしていけるわね」

「マユさんがいなかったら、とっくにリタイアして田舎に帰ってたかもしれないですよ」

「リタイア、早っ! まぁでも……それなら、そうなる前に出会えて良かったと思えるかな」


 今度はイケメンな台詞を言いながら、艶のある笑みを浮かべる。

 マユさんの笑顔は、見てて飽きないなぁ。


「ところで、マユさん」

「ん〜〜?」

「今日は着物、着ないんですか?」

「絶対言うと思ったわ……というか、順番で言ったらユリの番じゃん?」

「あ〜、まぁ〜着てもいいですけど〜、どうせなら二人で着ませんか?」

「アンタ、人の話聞いてた?」

「だって二人でぇ〜、お互いに相手の着物を選んでぇ〜、着たいじゃないですかぁ〜。それに今日は、リベンジなんですよね?」

「リベンジ……というか、まぁ……うん。そうだね、着たほうがいいか」


 あ……真剣な顔になっちゃった。

 そう、今回の旅行には目的がある。

 そんな中で、私の役割はというと……


「そうと決まれば、さっそく行きましょう!」


 マユさんの手を引っ張って、楽しい気分にさせてあげることだと思っていた。

 着物のレンタルは、前にマユさんと行った店でいいだろう。

 それから、互いに着物を選ぶとなると……むっふっふっ……


「なに、そのイヤラシイ笑い方……」


 あからさまに、不信感マックスのジト目を向けられる。


「なんかハロウィンの時の、思い出しますね」

「思い出したから、この顔なんだけど?」

「大丈夫ですって。悪いようにしませんからぁ〜」

「めちゃくちゃ悪役の台詞じゃん」


 今からニヤニヤを隠しきれない私に、マユさんは一層目を細めるのだ。

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