表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。2【アフターストーリー】
66/101

マザー・アタック!(3)

 慌てて部屋の奥にもどり、昨日私がきていた服……スーツなわけだけど、それに着替える。

 でも、よかった。

 掃除と洗濯はしてあるから、部屋に下着が転がってるなんてことはない。

 でもこの状況、どうすれば?

 とりあえず、マユさんに連絡したほうが……


「着替えたかしら〜?」

「あ、はい!」

「じゃあ、あがるわね〜」


 ひぃぃぃぃ、スキがナイ!

 パニックだ。

 過去にないくらいのパニックだ。

 とにかく、失礼のないようにしなくては!


「あ、何か飲みますか?」


 まだ目を合わせるほど心の余裕がなく、パタパタと台所に逃げ込む。


「あら、何があるのかしら?」

「珈琲と、紅茶と……あっ、あとインスタントならチャイもあります」

「ふうん。じゃあ、珈琲をお願いできる?」

「はい! ミルクは……豆乳しかないんですが」

「じゃあ、豆乳でお願い」


 くすくすと笑う声が聞こえた。

 いまの返答、なにか失敗したかな?


「お昼作ってたの?」

「あ、はい。マユさ……真由美先輩、急に会社に呼び出されて、そろそろ帰ってくるはずなので」

「あらぁ、感心ね。ちなみに、何を作ってたのかしら?」

「ナシゴレンを……あとは、ご飯と一緒に炒めるだけなので……あ、お母様の分も用意しますか?」

「私、さっき軽く食べてきちゃったから、大丈夫よ。ありがとうね」

「あ、いえ……」

「あと真由美のこと、いつも通りの呼び方でいいわよ?」

「は……はい」


 大丈夫、私?

 何か、やらかしてない?

 いや上半身裸のまま抱きついた時点で、やらしてるんだけど!


「どうぞ……」


 恐る恐る目を見ながら、温めた豆乳を泡立てて作ったカフェラテを差し出す。

 お母様は笑顔で軽く会釈をし、上品に口をつける。


「それで……いろいろ聞きたいのだけど」


 ……で、ですよね。

 今の一言で私の心臓が口から出てきそうですよ、お母様。


「真由美、今朝連絡したんだけど出てくれなくって。もしかして、朝早かったのかしら?」

「あ……えぇっと……たしか、八時過ぎくらい……ですかね」

「あぁ〜じゃあ、ちょうどお家を出たころだったのね〜」

「そ、そうですね。アハハ……」


 だめ、もう無理。

 マユさん、たすけてー!


「あなた、スーツよね? 昨日は、お泊まり?」


 めっちゃ、スーツだったー!

 休日のお昼にスーツって、お泊まりしたのバレバレじゃーん!


「外に干してあるのも、あなたが洗濯したのかしら? 時間的に真由美が洗濯したわけじゃ、なさそうだけど?」

「あ、はい。昨日はお酒を飲んでしまい、ご迷惑にもお泊まりをしてしまいまして……せめての罪滅ぼしにと」

「罪滅ぼしって、アハハ!」


 大ウケされた。

 やばいやばいやばい!

 マユさん、早く帰ってきてー!


「あと……どうして、あんな格好で抱きついてきたのかしら?」

「そ、それは……間違って私の下着も洗濯してしまいまして、それで着る物がなくてですね……ついでに、マユさんをびっくりさせようと思って、抱きついてみた次第でして……」

「それはびっくりするでしょ、アハハ!」


 激ウケされた。

 マユさん、ごめんなさい。

 もう、ダメかもしんない。


「あの子、そんなに仲の良いお友達いなかったのに……あなた、珍しいわね〜」

「そうなんですか?」

「ふふ。私としてはぁ〜、半同棲してる男の人とかが出てきたらぁ〜、面白かったんだけど〜」


 すみません、半同棲してます……女ですけど。

 というか、私という存在……いつか話さなくては、ならないのでは。

 そこでまた……


 ピンポーン♪


 ナイスタイミングで、インターホンが鳴った。

 続いて、扉がトントンとノックされる。


「か、帰ってきましたね!」


 私は逃げるように玄関へ走り、藁をも掴む思いで扉を開ける。


「おかえ……えっ?」


 そこで私は、またしても言葉を失った。


「あぁ、君か。久しぶりだね。真由美、いる?」


 そこに立っていたのはブルームーンPこと、蒼井 つきさんだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ