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【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。2【アフターストーリー】
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ハッピーハロウィン・カムカム!(3)

 私は迷うことなくマユさんが用意してくれたコスを取り出し、手際よく着替えてしまう。

 そうして店内に戻ってみると、マユさんが既にカウンター席で、ニヤニヤとした表情を浮かべながら待っていった。

 スラリと伸びた足を組み、リズミカルに揺らせながら、カクテルグラスを私に向けて、勝ち誇った笑顔を見せている。

 まるで、恥ずかしいでしょ?とでも、言っているかのようだ。


「どう? 恥ずかしいでしょ?」


 思った通りのことを言ってきて、可愛い。

 でもね、マユさん。

 マユさんには申し訳ないですけど、恥ずかしい……わけがないんですよ。


 ふふふ。


 そうですか〜♪

 マユさんは、恥ずかしがる私をご所望でしたか〜♪

 残念でした〜♪

 では、お見せしましょう。


「お帰りなさいませ、お嬢様ぁ」


 私はスカートの両端を指でつまみ上げ、軽く会釈をしながら完璧な営業スマイルで答えてみせる。

 マユさんはというと、目を丸くして驚いているようだ。

 面白そうなのでここは、もう少し追い込んでみよう。


「お嬢様のカクテルに“あいこめ”するので、一緒においしくなるおまじないをしましょう♪」

「へ? あい……なに?」

「せぇのぅ〜、萌え萌え〜?」

「ちょ、待って、何? 無理、無理だって!」


 なぜか、顔を真っ赤にして焦るマユさん。

 しょうがない、この辺で許してあげよう。


「ふっふっふ、どうですか? 私の接客」

「どうもなにも、順応しすぎでしょ?」


 私は妖精さん……じゃなかった、店員さんにカクテルを頼み、マユさんの隣のカウンターチェアに座る。


「私、メイド喫茶でバイトしてたんで、こんなの恥ずかしくないですよ?」


 そうなのだ。

 マユさんが用意したコスは、典型的なメイド服だったのだ。

 私にとってメイド服は、ただの制服なので恥ずかしいわけがない。


「うっわ、まぢかぁ」


 ……と言いつつ、おもむろにスマホを向けて写真を撮ってくるマユさん。


「なんですか?」

「くっそ可愛い。今度、うちでそれ着てくんない?」

「いいですけど……じゃあその時は、マユさんがライカさんになってくれるってことで」

「ぐ……それは……」


 本気で悩むマユさん。

 私としては、全てが有利条件だ。

 これはもしかして、ライカさんと本気でイチャつくチャンス?


「うぅ〜〜むぅぅ〜〜〜〜」


 マユさんは下を向いて頭を抱えながら悩み続け、やがてゆっくりと手を差し出してくる。


「交渉……成立ってことで……」


 どうやらマユさんは、メイドの私が大変お好みのようだ。

 そう思うと少し嬉しくもあり、どこか気恥ずかしくも感じてしまった。

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