パーソン・ライク・ザ・サン!
吉岡さんと和田さんが、重い機材を肩から掛けて外に出ていくと、真希さんが残った機材のチェックをし始めた。
多分二人とも店内で撮影をするのに、必要な機材だけを置いていったのだろう。
真希さんは、それのチェックだ。
私も手伝えることを探していると、入り口からマスターの佐原さんが入ってきた。
いかにも「まいったなぁ」といった表情を浮かべて、頭を掻いている。
「すまないね。なんかお得意さん、早めに来ちゃったみたいでさ。あの人、前にも似たようなことがあってね……お得意様だし少しくらい早く来ても、うちは別にいいですよって答えちゃったからさ。そう言った手前、今さら断りづらくてね」
「あぁ〜アハハ。そういうのありますよね」
思わず返答に、困ってしまった。
しかし、なんとも間が悪いお客様なんだろう。
「どうしますか? 日を改めたりするんですか?」
「いやいや……」
佐原さんがグラスを取り出しながら、首を横に振る。
「最上さんがね、色々と準備もしてしまったし、今日やりましょうってね。お得意さんにも、迷惑をかけませんからって何度も頭下げてお願いしてね。あんな姿見せられたら、俺もなんとか協力しなきゃって思うよね。だから、店の準備をね」
「もうお客さん、入るんですか?」
「あぁ……とりあえず端っこに席を用意して、入ってもらうことにしたよ。最上さんとの取材撮影は、このままここで浅田さんにしてもらうみたいだよ」
取材撮影をしながら接客とか……そんなこと出来るのだろうか。
どちらかといえば、ウチに落ち度はないはずなんだけど、マユさんにしては強引な判断に感じる。
うぅん……なんか引っかかる。
そうして首を捻っていると、真希さんがポンと肩を叩いてきた。
「モッチー、とりあえず私は浅田さんに指示を聞いて、それから車に戻るねぇ。佐原さん、物撮りは車で行いますので、接客の合間とかに撮影する商品を作ってくれたら、私が取りに伺います!」
「あぁ、ありがとう。そうしてもらえると、助かるよ」
「いえいえ、その辺は臨機応変にいきましょう!」
この状況をも笑顔に変えられる、真希さんのエネルギーがすごい。
どちらかと言えば、営業向きな気がする。
「んじゃ、あとよろだよ、モッチー!」
「はい。がんばります!」
真希さんのガッツポーズを見て、自然と私にも力が湧いてくる。
そんな太陽のような真希さんと入れ替わるようにして、噂のお客様が入ってきたのだ。




