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【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。1
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パーソン・ライク・ザ・サン!

 吉岡さんと和田さんが、重い機材を肩から掛けて外に出ていくと、真希さんが残った機材のチェックをし始めた。

 多分二人とも店内で撮影をするのに、必要な機材だけを置いていったのだろう。

 真希さんは、それのチェックだ。

 私も手伝えることを探していると、入り口からマスターの佐原さんが入ってきた。

 いかにも「まいったなぁ」といった表情を浮かべて、頭を掻いている。


「すまないね。なんかお得意さん、早めに来ちゃったみたいでさ。あの人、前にも似たようなことがあってね……お得意様だし少しくらい早く来ても、うちは別にいいですよって答えちゃったからさ。そう言った手前、今さら断りづらくてね」

「あぁ〜アハハ。そういうのありますよね」


 思わず返答に、困ってしまった。

 しかし、なんとも間が悪いお客様なんだろう。


「どうしますか? 日を改めたりするんですか?」

「いやいや……」


 佐原さんがグラスを取り出しながら、首を横に振る。


「最上さんがね、色々と準備もしてしまったし、今日やりましょうってね。お得意さんにも、迷惑をかけませんからって何度も頭下げてお願いしてね。あんな姿見せられたら、俺もなんとか協力しなきゃって思うよね。だから、店の準備をね」

「もうお客さん、入るんですか?」

「あぁ……とりあえず端っこに席を用意して、入ってもらうことにしたよ。最上さんとの取材撮影は、このままここで浅田さんにしてもらうみたいだよ」


 取材撮影をしながら接客とか……そんなこと出来るのだろうか。

 どちらかといえば、ウチに落ち度はないはずなんだけど、マユさんにしては強引な判断に感じる。

 うぅん……なんか引っかかる。

 そうして首を捻っていると、真希さんがポンと肩を叩いてきた。


「モッチー、とりあえず私は浅田さんに指示を聞いて、それから車に戻るねぇ。佐原さん、物撮りは車で行いますので、接客の合間とかに撮影する商品を作ってくれたら、私が取りに伺います!」

「あぁ、ありがとう。そうしてもらえると、助かるよ」

「いえいえ、その辺は臨機応変にいきましょう!」


 この状況をも笑顔に変えられる、真希さんのエネルギーがすごい。

 どちらかと言えば、営業向きな気がする。


「んじゃ、あとよろだよ、モッチー!」

「はい。がんばります!」


 真希さんのガッツポーズを見て、自然と私にも力が湧いてくる。

 そんな太陽のような真希さんと入れ替わるようにして、噂のお客様が入ってきたのだ。

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