ラッシュ!
39度の熱&GWまでは超絶多忙のため、ちょっと更新ペース落ちてます。
先斗町の通りをさらに南へと下り、細い路地を曲がると、その奥にバー『凛ノ音』が現れる。
隠れ家的な雰囲気があり、初見で入るには勇気がいりそうだ。
「ねぇねぇマユさん。途中にある店、入り口はあるのに、看板とかノレンがなくて何屋だかわからなかったんですけど、あれが一見さんお断りってやつですか?」
「ん〜私もよくは知らないけど、普通に予約すれば入れるお店が多いらしいよ。まぁ予約しなきゃダメなんだから、一見さんお断りといえばお断りなんだけど。でも予約なしで入れる店も、けっこうあるはずだよ」
話しながら、石畳を闊歩する和装ロックのマユさん。
通り過ぎる男の視線が、高確率でマユさんを追いかけている。
うんうん、かっこいいよね〜、美人だよね〜、と思わず私も頷いてしまう。
もちろん普通の着物でも良いんだろうけど、マユさんが着ているような黒レースの着物は、観光地だからこそ許される記念コスプレの感覚に近い。
なんていうかテーマパークに行って、キャラクターグッズを身につけるのと同じ感覚だ。
「まさに旅の思い出に、普段とは違う特別な体験を〜って感じですね」
「なんの話よ?」
首を傾げるマユさんに、それですと指をさす。
「あぁ〜着物ね。そだね。体験型イベントとして考えれば、ちょっと楽しいかも。どうせなら、二人で着たかったけど」
「まぁ、半分仕事ですからね」
「全力で仕事だよ!」
ポクっと脳天に、手刀を落とされる。
「痛ぁっ!」
「あんたが、馬鹿なこと言うからでしょ」
「うぅ〜。ちなみにその着物、何時まで借りられるんですか?」
「一応、撮影協力ってことで特別に二十時まで。遅れそうなら、連絡してくださいだって」
ふむふむ。
二十時ならバーの取材も終わっているはず。
もちろんそのためには、スムーズに撮影が進むよう、しっかりと段取りを整えなくてはならない。
「よし。じゃぁ〜気合い入れ直して行きましょう!」
私が右手を振り上げると、マユさんが「おう〜」っと同じように手を上げて応えてくれた。




