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【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。1

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31/101

モッチー・チィーク!

「だめだめー、こんな湿気。機材ぶっ壊れますよ。窓全開にしますね!」


 真希さんがバタバタと走り、露天風呂に出る扉と大きな窓を押し開けていく。


「あれ、ていうかモッチー、メガネは?」


 ぐぐいと覗き込んでくる真希さん。

 顔が近い。


「モッチー?」

「望月夕璃、略してモッチー」


 たしかにマユさんの言う通りだ。

 真希さんの距離感は、かなりバグってる。


「モッチー、モチ肌だね。適度な肉感」


 モニモニと、ほっぺたを摘まれる。

 ものすごい距離感だ。

 というか、ぽっちゃり体型の真希さんの方が、よっぽどモチモチタマゴ肌だと思う。


「こら、うちの後輩に何してるの。大字苑1枚だよ、それ」


 マユさんの一言で、真希さんがパッと手を離して解放する。

 また、大字苑1枚だ。

 何の話なのだろう。


「だって、モッチー可愛いんですもんー。抱き枕にしたい」


 今度は抱きついてきた。

 なるほど、ほんとに相手を選ばずこの距離感なんだ。


「すみません、もう服ベタベタなんで、これ以上は勘弁してください」

「あれぇ、ほんとだー。着替えなよー?」

「これ終わったら、いったん着替えます。あとメガネは、脱衣所に置いてきました」

「なるなるほどほどー。じゃあ、浅田さん呼んできますねー」


 言ってバタバタと走り、出て行ってしまう。

 元気な人だなー。

 確かに憎めないし、すぐ仲良くなれるタイプではある。


「すんごい人ですね」

「うん、まぁ悪い娘じゃないんだけど……」


 マユさんが、じぃと見つめてくる。


「なんですか?」

「とりあえず、ジャケット着なよ?」

「あぁ、そうだった! みんな来ちゃう!」


 慌てて脱衣所に向かい、置いておいたジャケットを羽織る。

 あまりにシャツがベタベタしていて、本当に気持ちが悪い。

 袖を通すのも一苦労だ。

 メガネは……一応もっていっとこう。

 濡らせば、しばらく曇らないだろうし。


「すみません、マユさん。お待たせしました」


 にへへ〜と緩んだ笑みを浮かべると、マユさんがほっぺたを摘んできた。


「ひゃ……ひゃんでひゅは(なんですか)?」

「たしかにモチモチ……」

「ひゃなひへふらはいほー(はなしてくださいよー)」

「うーん」


 モニモニと指先で遊んでくる。

 モチモチさで言えば、真希さんのが絶対すごいと思うけど。


「たしかに、ちょっと妬けるかも」

「ふぇ?」


 私が聞き返すと、マユさんが摘んでいた頬を放して背中を向ける。


「え? え?」

「ほら、準備するよ!」


 そしてそのまま、また撮影の準備をし始めるのだ。

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