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【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。1
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ベアハッグ!

 外観の撮影を、している時のことだ。

 それは、ちょっとした合間に起きた出来事だった。


「マユさん、久しぶりです!」


 唐突に真希さんが、わきゃっとマユさんに抱きついた。


「久しぶりだね、真希ちゃん」


 真希さんは、私より身長が低い。

 たぶん百五十センチちょっとだろう。

 ちょうどマユさんの胸の高さに、頭がきている。


「半年ぶりくらいじゃないですか? 相変わらず、腰細いですねー!」


 真希さんが、ぎゅううっと力を込めて抱きしめる。


「あははー。真希ちゃんは相変わらず……あったかくていいねー」

「なんです、それ。はっきり、ぽっちゃりって言ってくれればいいのに!」

「やだよ。それって、大字苑1枚コースでしょ?」


 さも楽し気に笑い合う二人。

 大字苑1枚って、なんの話だろう。

 あと……なんか、すごく仲がいい。

 ついでに、どうでもいいけど抱きついてる時間が長いと思う。


「ん?」


 私がマユさんのことを後ろから観察していたら、真希さんと視線がぶつかってしまった。


 バチンと音を立てたのち、瞬きも忘れて見つめ合う二人。


 たまらず、先に目を逸らしたのは私の方だった。


「ふぅん♪」


 何かを見透かしたかのような、声が聞こえた。


「ねぇ、マユさん。今度、一緒にカラオケとかどうですか?」

「何でまた……私、カラオケは苦手だから嫌だって言ったじゃん」

「えぇー。マユさんの歌、聞きたいですよー!」


 ふ、ふーん。

 行ってないんだ。

 へー。

 私なんか、二人きりで行ったけどねー。

 マユさん、私のために歌ってくれたし。

 しかも、ライカさんだし。


「ん?」


 ……しまった。

 また、目が合ってしまった。

 さりげなく、すい〜っと視線を外す。

 たぶん、さりげなくないけれども。


「ほら、真希ちゃん。浅田さん呼んでるよ、行かないと」

「はーい。マユさん、またあとでね!」


 そう言って真希さんは、私の方にもう一度視線を向けると、意味深な笑顔を見せてきたのだ。

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