表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】あなたが、ユリを望むなら。  作者: Ni:
あなたが、ユリを望むなら。3【アフターストーリー】
100/101

ヘイ・ブラザー!(2)

「夕璃さんは、大学生ですか?」


 悠斗くん、でかいなぁ。

 でもこれ……ちょっと矢代さん思い出しちゃうな。

 同じくらいの高さだ。


「夕璃さん?」

「あぁ、ごめん。違うよ、社会人」

「あ、そうなんですね。てっきりボクと同じかと……失礼しました!」

「いやいや〜、いいのいいの〜」


 だらしなく頬を緩ませながら、手をパタパタとふる。

 まだまだマユさんのような、大人の女性には見えないらしい。

 でも女子大生に間違えられるのは、悪くない気分だ。


「悠斗くんは学生さん?」

「はい、大学三年です!」


 元気だなぁ。

 理由もなく可愛く感じてしまうのは、何故なんだぜ。


「そのメモのマンション、初めて行くの?」

「あ、はい。住んでいるところの、最寄りの駅は知ってたんですけど……」


 話しながら、キョロキョロと辺りを見回す。

 まさに「初めて来た土地」って感じだ。


「夕璃さんは、この辺の人なんですか?」

「あ〜違うよ。私の恋人が、この辺に住んでるの」

「えっ、もしかして向かってる途中でしたっ!? すみません! ぼくっ、道を教えてもらえれば自分で行きますんで!」

「あぁ〜大丈夫、大丈夫〜。だって、ほら……」


 私が、目の前にあるマンションを指差す。


「ここ、悠斗くんの目的地……で、私の恋人のマンションも、ここなの」

「え……えぇーっ!」


 おぉ〜おぉ〜、派手なリアクション、ご馳走様です。

 そうなのだ。

 私が、わざわざここまでしたのは、単に目的地が一緒だっただけなのだ。


「ここ、暗証番号式のオートロックだけど、番号とか大丈夫? わからなければインターホン鳴らして、部屋の人に直接開錠してもらうしかないけど」

「あ、はい。番号は聞いてあります!」


 悠斗くんが、慌ててメモを取り出す。

 そういえばさっき見せてもたった住所のメモ、凄く達筆だったけど、悠斗くんが書いたのだろうか。

 とても大学生が書いたと思えない大人の文字だったけど、もしかしたらお相手さんかな。

 年上の人か何かかな……と、いらぬ邪推が始まってしまう。


「じゃあ〜私、お先に行くね〜」

「あ、はい! ありがとうございました!」


 悠斗くんが勢いよく頭を下げると、またしてもポケットからスマホが飛び出し、ジャリジャリと音を立てながら地面を滑っていった。


「わぁぁぁ!」


 慌てて、スマホを追いかける悠斗くん。

 もう既にご臨終しているのだからいいだろうに、それでも大声を上げる悠斗くんを見て、可愛いなぁと私は思ってしまうのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ